こころ百科KEYWORDS

選択性緘黙症せんたくせいかんもくしょう

2016.07.07公開
2017.03.16更新

選択性緘黙症とは

言葉の理解や発話能力に問題がないにもかかわらず、特定の場面になると全く喋らなくなる状態です。

 

小児期の不安障害の一つと考えられていて、幼稚園・保育園や学校などの社会的な場面で喋れなくなることが多いです。そのため、家庭の外での人間関係が形成されず、社会性全般の発達が阻害されます。

 

成人すれば自ずと治るもの…と考えられていた時期もありましたが、近年では改善せずに不登校や社会不適応、引きこもりなどに発展する可能性も指摘されています。

 

社会不安障害のセルフチェックはこちら

 

 

選択性緘黙症の初期症状

小児期に、家では自分の好き嫌いを表現したり、家族の話しかけに十分な応答をしているように見えるものの、児童館や公園、その他の子どもが遊ぶ場では黙り込んでしまうことから明らかになります。

 

黙りこむだけで、決してその場への参加を拒否しているわけではないこともありますが、意思疎通が必要な場面には消極的な態度が目立ちます。

 

行動も抑制的で大人しく、ときに大人に協力的で分をわきまえた「お利口さん」に見られることもあります。

 

 

選択性緘黙症の原因

複合的な要因と考えられていますが、近年では先天的に刺激への過敏性を持っているのではないかと考えられています。刺激に過敏な人は、強い刺激を避けようと内向的になりがちです。

 

言葉を発することで他者が自分に注目してきたり、自分に何らかのリアクションをしてくるとこれも刺激になります。発言が刺激を生むことを直感的に察する中で緘黙という習慣が獲得されていくという考え方です。

 

この他にも、母親などの安心感を与える他者から離された不安が原因とする考え方もあります。

 

 

選択性緘黙症の克服法

選択性緘黙症は原因がはっきりしない症状の一つなので、根本的な対策が難しいのが実情です。

 

ただ、自分の意志で話さないのではなく、話せないという本人の状態を周りの人が理解して、緊張や不安感を軽くするように取り組むことが大切です。

 

無理やり会話を強要しても事態の改善に役立たないばかりか、さらに不安感をあおり、周囲との不和を生んで、引きこもりなどの社会不適応に追い込んでしまうこともあります。

 

「話せない」ことを周囲が受け入れ、安心感を得ることがより深刻な不適応を回避する手段になりえるのです。

 

 

選択性緘黙症の人との接し方

上記のように「話せない」ことを理解することが関わり方の基本です。

 

また理解できて疎外はしないまでも、密なコミュニケーションが取れないので、ついつい放置や無関心に陥ることもあります。これはこれで脅かされはしませんが、守られていない状態なので不安を高めやすい状況です。

 

一般的な言語を介したコミュニケーションでは刺激が強すぎて負担が大きいだけで、全くコミュニケーションを拒否しているわけではありません。

 

本人なりのコミュニケーションの方法があるはずなので、それを一緒に見つけて上げるなど放置しない試みが必要です。

こころ百科 監修
杉山崇

杉山崇

臨床心理士

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

神奈川大学人間科学部 教授
学習院大学大学院人文科学研究科修了。精神科、教育委員会、産業カウンセリングなどで20年あまり心理職を務める。日本学術振興会特別研究員、山梨英和大学准教授などを経て、2013年より現職。

シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
0