デスカンファレンスが活かされず、意見もベテランに否定されます【看護師の相談室Vol.1】

2017.01.27公開 2017.01.28更新
池上枝里子

回答者
池上枝里子
正看護師 上級プロフェッショナル心理カウンセラー

 
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ご質問

私は30代看護師です。働く病棟はいわゆる緩和ケアが対象な患者が入院してきます。

 

多くの患者が元気に退院していきますが、なかには残念ながら亡くなる患者もいます。

 

亡くなった患者に関してデスカンファレンスを行うことがあり、ケースを振り返ることは大切なことだと思います。

 

それは否定しないのですが、亡くなられた患者との関わりが、いつも「急変時の対応を決めておいてよかった」「個室で良かった」という言葉ばかりが意見として出てきて、個別性のある関わりでもなんでもないなって残念に思います。

 

本人はもちろん家族がどういう気持ちで最期を迎えたのかは関わりが十分に行えていないためでてきません。

 

緩和ケアについての勉強も「よくわからない」の一言で片づけられてしまい不満です。私が出す意見もベテランの方々に否定されますし、悔しいです。

回答

投稿を拝見いたしました。

 

投稿者様は、デスカンファレンスを通して、個別性のある看護に活かしたいとお考えのようですね。

 

なのに、カンファレンスは深まらず、意見をしても否定されてしまうとは、なんとも悔しいことですよね。カンファレンスを活かしたいとお考えでの意見なのにと、むなしくもあるだろうと思います。

 

それでも、こうして相談されている投稿者様のがんばりを、応援したいと思いました

 

今回のご相談ですが、「カンファレンスの持ち方」についてと、「意見を否定するベテランの心理」に対応できるといいかと思います。

 

カンファレンスでケースを振り返る場合には、「振り返るポイント」が明確でないと、カンファレンスは深まりません。何を基にして意見を言えばいいのかがわからないからです。

 

それは、投稿者様がおっしゃるように、緩和ケアの勉強をして「緩和ケアの基本」を基に「今回のケースはどうだったのか」を考えて意見を出し合うと、ケースの個別性が見えてきます。

 

そして、カンファレンスでは、発言者の意見を否定しないで、違うと思う「自分の意見を出し合う」というルールは必要になります。

 

そして、ベテランの方々が意見を否定する心理には、「変化を好まない」ことにあると思います。

 

人間はもともと、変化を好まない傾向にあります。何年も続けてきた、続けることができたことに変化を起こすことは、無意識に怖さもあり、労力もいることです。

 

そして、年齢を重ねると柔軟に対応することも億劫になります。

 

しかも、後輩に主導を取られると、今まで築いてきたご自分の立ち位置を危ういと感じ、そこに執着したいと思う人もいるかもしれません。

 

すると、後輩から変化を求められたように感じると、カンファレンスの意見であっても、内容を吟味しないで否定することも考えられます。

 

よって、「変化を求める」ように受け取れる言葉で促すのではなく、勉強もケースの振り返りも「カンファレンスの時に自然な流れ」でできるようにすると、抵抗が少ないと思います。

 

例えば、「緩和ケアを勉強しよう」と言うと、正しいことだと分かっていても、後輩に言われて従うことや、勉強するのに抵抗を感じてしまうのです。

 

よって、デスカンファレンスの資料として、緩和ケアの看護の基本が箇条書きになっているような、1、2枚程度(あまり枚数が多いと抵抗感が増します)の資料を配布して、「この項目のもとに、今回のケースを考えてみましょう」といった流れを作ってみるのです。

 

すると、その資料の内容を勉強することにもなり、ケースに合わせて資料を変えると、勉強も深まってきます。

 

しかし、ひとりで資料を準備するのは、毎回だと大変ですね。有効なカンファレンスになるとみんなが感じられたら、資料を準備する人を順番で決めていくのもいいでしょう。

 

すると、勉強の方法を知らない人にとっては、ケースに合わせた資料準備も勉強になります。

 

そうやって勉強が深まると、家族や患者の気持ちを知ることが大切だといったことにも気がついてくるかもしれません。

 

また、カンファレンスを始める前に「人の意見は否定しないで、自分の考えを伝えていきましょう」と一言伝えてから開始するのもいいかもしれません。

 

また、否定した人がいたら「ならば、どうしたらいいと思いますか?」とその人に聞いていくのもひとつの方法です。

 

投稿者様の病棟の状況に合わせて、できそうなところはありますでしょうか?

 

何らかの変化を起こそうとする時には、ひとり一人の気持がぶつかるものですね。厄介だと感じる時もあると思います。

 

それでも、投稿者様の看護のやりがいに繋がることで、やってもいいと思えるところがあったなら、ぜひ、実践してみてください。

 

そこで何かあるようでしたら、またご相談を頂ければと思います。

 

投稿者様の病棟の看護が深まって看護をより楽しんでいけることを、心から応援しています。

池上枝里子

池上枝里子

正看護師 上級プロフェッショナル心理カウンセラー

スマイル・ココロオフィス 代表

池上さんのインタビュー記事はこちら

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