小学生の不登校の未来は暗い?29歳、元不登校生の今【全3回】
もし、自分の子どもが不登校になってしまったら、あなたは何を考えるでしょうか?
家庭内のこと、学力のこと、世間体…
悩みは尽きないですが、誰しもが不安を覚えるのは、「将来」のことではないでしょうか。
「ひきこもってしまうんじゃないか。」
「“普通”の人生を歩めないんじゃないか。」
そんな不安に押しつぶされ、絶望してしまうかもしれません。
あるいは、お子さんに対する責任感から、必要以上に強く叱ってしまうことがあるかもしれません。
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「不登校でも大丈夫」
私は29歳の元不登校生です。
小学校2年生から中学校1年生まで、約5年間の不登校を経験しました。
現在は、葬儀社のマネジャーとして働いており、2児の父です。
もし、あなたがお子さんの不登校で、悩み、絶望されているのであれば、私は声を大にして言いたい。
「不登校でも大丈夫。」だと。
なぜならば、不登校を経験した私が、社会一般でいわれる“幸せ”を手に入れているからです。
両親が教師。母に引きづられて学校へ
私が不登校になった当初、母は無理やり、学校に連れていこうとしました。
文字通り、引きづられながら、学校に連れて行かれたことを今でも覚えています。
私の父は中学校の教師、母は小学校の元教師でした。
今思えば、息子が不登校だということが受け入れられなかったのではないかと思います。
母の言動から感じる自責の念
しかし、不登校が長引くにつれ、母は「学校に行きなさい。」と言うことが減り、外に連れ出してくれることも増えました。
思い返してみれば、母が学校に行かない私を受け入れてくれたおかげで、劣等感や罪悪感が大きく緩和されたように思います。
私が不登校になって、母がどういう気持ちだったのか、直接聞いたことはありませんが、言動の端々から自責の念を感じることがありました。
でも、母のせいで不登校になったわけではないし、私が不登校になってから、できることはすべてやってくれたと思っています。
葛藤の中、母は外に連れ出してくれた
母は独身時代、小学校の教師をしていたので、家で勉強も教えてくれました。
先にも述べた通り、折に触れて外にも連れ出してくれました。
当時はなんのありがたみも感じませんでしたが、平日の昼間に小学生の子どもを連れて外出すること自体、非常に勇気のいることです。
周囲の目も気になるでしょうし、学校に行っていないのに、外出させても良いものか、葛藤もあったことと思います。
静かに見守ってくれた父
一方、父は過度の干渉をせず、静かに見守ってくれていました。
私の性格は、父から譲り受けた部分が大きいので、父は「自分に似た息子には、とやかく言っても進展しない」と分かっていたのかもしれません。
私は世界で一番、父のことを尊敬しています。
思考が理路整然としていて、言ったことは守る、普段はふざけていても、いざという時は、誰よりも頼りになる…
私の目指すべき人間像を、父が態度で示してくれていました。
父は「俺の背中を見せて育てよう」などと考えていないとは思いますが、父のおかげで早くから「こうなりたい」という目標を持てたことは事実です。
ひとりの人間として尊重してくれた
両親に共通していたのは、私にアドバイスをすることはあっても、強制することがなかったという点です。
基本的には、私の興味のあることを尊重し、私を“自分の息子”としてだけでなく、“ひとりの人間”として扱ってくれました。
こうした両親の態度が私の人格を形作り、結果的に、社会に出ても強く生き抜くことができる力を与えてくれたと感じています。
今、私は葬儀社のマネジャーとして、管理職に就いていますが、部下であっても“目下の人間”ではなく、“同じ目標を持つ同志”として尊重できる心の土壌は、間違いなく両親が与えてくれたものです。
私は、他者への批判を避け、受容の視点から人と付き合うことを心がけています。
これもまた、両親の影響にほかなりません。
不登校に悩む親御さんへ
私は、自身の経験から、お子さんの不登校で悩んでおられる親御さんには、以下のことをおすすめします。
お子さんはもちろんのこと、ご自分のことも責めないこと
おそらく、お子さんのことを責めないでおこうと心がけておられる方は多いことと思います。
しかし、ご自分のこととなるとどうでしょうか。
「自分の育て方が間違っていたんじゃないか…」と思っておられる方が多いのではないでしょうか。
私個人の話ばかりで恐縮ですが、少なくとも私は、両親のせいで不登校になったなどと思っていません。
むしろ、両親はできる限りのことを必死にやってくれたと感じていますし、本当に心から感謝しています。
不登校になる原因は人それぞれです。
しかし、いじめのように、原因がはっきりしているケースを除けば、誰かのせいではなく、学校に行くのが向いていなかっただけの話ではないでしょうか。
だから親御さんも、ご自分の中に不登校の原因を探すのではなく、これからできることに注力してほしいと切に願います。
復学させることを目標にせず、お子さんが主体的に、幸せに生きられる道を模索すること
親として子どもに願うことはなんでしょうか。
立派になってほしいとか、孫の顔を見せてほしいとか、考え出すと色々を願いが出てきますが、もっとシンプルに突き詰めて考えてみてください。
究極的には、「幸せな人生を歩んでほしい。」この一言に集約されるはずです。
では、なぜ学校に行くべき、行ってほしいと考えているのでしょうか。
それは学校に行くことで、一般的に幸せだといわれる将来を手に入れやすくなるからではないでしょうか。
学校に行くことは“目的”ではなく、幸せな人生を手に入れるための“手段”です。
確かに、学校に行くことで将来を見通しやすくなり、親としては心配も少ないでしょう。
学校に行けなくなると、将来の見通しが立たず、その不安から有無を言わさず、学校に行かせようとしてしまうケースが多いように感じます。
しかし、“将来の見通しが立たない”ということは、それだけ“将来を自由に描ける”ということでもあります。
画一的な道に囚われない不登校生は、大きな可能性を秘めています。
上記のほかにも、私自身の不登校の経験からおすすめしたいことがありますが、以降の回に譲ります。
不登校当事者の子どもたち、そしてその親御さんが不安から解放されて、幸せな人生を歩めることを心から願っています。
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- 本記事は2018年2月24日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。