息子の発達障害を契機に児童発達支援・放課後等デイサービスを立ち上げるまで

2017.06.09公開 2020.07.11更新

こだわりが強い、パニックになって暴れる、人に対する攻撃も強い…

 

いわゆる発達障害の特性などでトラブルを起こしてしまうケースは少なくありません。

 

今回のインタビューは、児童発達支援・放課後等デイサービスの多機能型事業所Smile Seed(東京都指定多機能型事業)を2017年4月に開所した濱島寛乃さん。

 

濱島さんも、ご自身の息子さんのアスペルガー症候群、ADHD、LD(学習障害)といった発達障害の特性から、周囲とのトラブルが絶えない日があったと言います。

 

そんな状況で、濱島さん自身が生きることがつらくなってしまった一方で、前向きな力を取り戻したきっかけも息子さんだったと言います。

 

そこで今回のインタビューでは、濱島さんが母親として息子さんの発達障害とどう向き合ってきたのか、そして現在の支援を通じて感じていることなどについてお話しいただきました。

 

>>Smile Seedさんの詳しい内容はこちら

 

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学校の先生を目指していた頃

小学生の頃から学校の先生になりたいと思っていました。

 

大学入学後、生意気にも、

 

「こんな勉強をして現場に出て役に立つの?」

「人の心を育てる側の人間になれるの?」

 

と、よく先生と喧嘩をしていました。笑

 

一番の疑問として、今も私に残っていることがあります。

 

それは、先生が生徒に「分かった?」と聞いてはいけないことでした。

 

その理由は、例えば「1+1は2になります。分かった?」と先生が言うと、分からない子が「分からない」と言えなくなるからでした。

 

でも、「分かった?」と聞いたことに対して、「先生ごめん、分からないから、もう1回言って」と言える子どもを育てることも、先生の仕事だと思ったんです。

 

オブラートに包んだ教育をしたところで、社会に出て活躍できる人間になれるのかなと。

 

大学での授業を受けていくうちに、「学校の先生になりたい」よりも、「教育心理や障害児教育に関する研究職に就きたい」と思うようになっていました。

 

そんな矢先、当時バブルがはじけて、バタバタと倒産する会社が増える中、実家の建設業も苦境に立たされてしまったんです。

 

金銭的にも苦しいし、「大学院に行けないから」と自分の目標も見失い、「このまま大学にいても、今の自分には何にもならない」と大学3年次に退学で終了しました。

 

「今は実家を助けることが一番」という気持ちから一般企業に就職することになり、その就職先で知り合った人と最初の結婚をしました。

 

ところが、彼の親が結婚資金とくれたお金が全部無くなっていた上に借金だらけに。それから、食事も滅多に取れない日々を過ごすようになりました。

 

それでも「親に迷惑かけちゃいけない」と、妊婦な上に慣れない土地でバイトをするようにもなりました。

 

栄養が足りていないせいか、全然お腹が大きくならない時期が続いていました。

 

なんとか出産した後も、借金ばかりが増えていて、ミルクが買えない、おむつが買えない、おっぱいも止まっちゃう、私もご飯が食べれない悪循環でした。

 

「もうだめだ」「このままだと死んじゃう」と思って、離婚覚悟で私の実家がある東京に帰って就職をして保育園に子どもを預けました。

 

子供の発達障害と夫の暴力

もともと、私が障害児の勉強をしていたこともあり、

 

「うちの息子がちょっとおかしいな」
「もしかしたら発達障害、もしくは自閉傾向がある子なんじゃないかな」

 

って気付いたのが、1歳ちょっと前ぐらいでした。

 

そう気付いたきっかけは、話しかけても目が合わなかったり、癇癪が多かったり、発育も遅かったことがあります。だっこもすごく嫌がる子でした。

 

初めての子だったこともあり、心配しすぎなのかもと思ったり、「抱っこされるの嫌な子もいるよ」って周りの人から言われていたのですが、やっぱりちょっとおかしいなと。

 

歩き始めた時も、机やイスなどがあっても避けずに、目的の場所に向かって一直線に進んでしまうんです。

 

机やイスといった物ならまだいいのかもしれませんが、人の場合でも関係なくぶつかっていってしまう感じでした。

 

そんな中、2人目の子どもも生まれたのですが、旦那さんは育児を一切しませんでした。

 

育児をしないどころか、子どもに暴言を吐いたり、手をあげるようになったんです。

 

例えば、テレビを観ている時に、子どもがテレビの前を横切ったりすることってありますよね?そんな些細なことでも、子どもに向かってすごく怒っていました。

 

「やめて、そんなに怒らないで」と言うと、もちろん私に手をあげてきます。

 

最初のうちは、暴力が私だけだったので我慢していたんですが、だんだんとエスカレートしてきて、私も顔面が腫れるようにまでに。

 

腫れた顔は、「自転車で転んだんです」などと言っていたんですけど、さすがに両親や近所の人、保育園の先生にも気付かれるようになりました。

 

しばらくそんな日が続き、とうとう長男に手を出したんですよね。しかも、長男を掴んでバーンって投げつけて。死ぬんじゃなかろうかと思うぐらい。

 

それを見た時に「もうだめだ」と思って、離婚することを決意しました。

 

発達障害の特性が目立つように

離婚したのは、長男が3歳頃でした。

 

当時の長男はこだわりも強いし、パニックもすごいし、人に対する攻撃もすごく強い子だったんです。いわゆる発達障害の特性が目立ち始めました。

 

お友達ともトラブルも3歳ぐらいになってくるとどんどん増えてきました。

 

それと離婚の時期が重なったので、ママ友や保育園の先生に「母子家庭だから教育がなっていない」って散々言われましたね。

 

ましてや、私は23歳で子どもを産んでいたので、「若い親が…」など散々言われて、心身共にボロボロの状態でした。

 

私の祖父は、保育園の先生や区役所の人との繋がりが多く、最初にそういった人にSOSを出しました。

 

それで、障害児の支援センターを紹介していただいたり、当時有名だった精神科の教授を訪ねたり、発達障害や療育に関する本を読み漁ったり。

 

ごほうび制や絵カードなど、良いと言われることは全部やりました。

 

うまくいく時もあれば、うまくいかない時もありました。

 

そして通っていた保育園の先生や保護者の方に、「今更だけど、うちの子には障害がある」とちゃんとお話をした上で、

 

「今後ともどうかお力を貸してください」

「みなさんで一緒に育てていただきたいです」

 

と保護者会の時にお願いさせてもらい、保育園生活を何とか終えることができました。

 

小学校は普通学級に入学するも…

小学校の入学前検診の時、授業中に座っていられなかったり、暴れたりパニックになる可能性が高いと分かっていたので、「うちの子は障害があるから、特別支援学級が良いです」と言っていました。

 

ただ、就学前検診のきちんとした場での個人面談で、暴れたりする様子が出なかったんです。それで結局、普通学級に通学することに。

 

それでも、障害を持っていることには変わりはないので、何かあった時のことをすごく心配していました。

 

「なんとか少人数とかで調整してやります」と、校長先生がすごく熱心な方で、担任の先生も真面目な方で色々とやってくださっていましたが、だんだんうちの息子と折り合いがつかなくなっていきました。

 

ある日、学童の先生から、

 

「頭を見たら、すごいたんこぶができてて、びっくりして『何があったの?』って聞いたら『先生にやられた』って言うんですけど、お母さんそっちに連絡ないですか」

 

って、仕事場に電話がかかってきたんです。

 

「いや、知らないです」「ちょっと待ってください、そんなにひどいんですか」と聞き返すと、「すごいんですよ。赤黒くなってますよ」って言われて。

 

すぐに学校に電話したら、担任の先生は「知らない」と言うので、会社を早退して、まず学童へ行って状況を確認して、すぐに先生にも話を聞きにいきました。

 

実は当時、1年生の教室が2階にあって、うちの子どもがパニックを起こしたり、授業妨害をしたら、担任の先生が校長室に連れていくルールみたいなものを作ってもらっていたんです。

 

毎回それを繰り返していくうちに、長男が「校長室に行かない」「頑張るから行きたくない」と言ったんです。

 

赤黒い大きなたんこぶができた日、先生は「そんなこと言ったって、どうせやるでしょ」と、息子を引きずって階段を下ろしてしまったそうなんです。

 

階段の角に、ガンガンガンガン頭をぶつけながら、1階に連れて行ったと。

 

パニックを起こしている人に、感情的に言ったところで、さらにパニックを増幅させるだけで、何の解決にもならないことぐらい先生だったら知ってるはずなのにと…とてもショックな出来事でした。

 

まして、隠ぺいしようとした事実は、私にとっても息子にとっても先生への信用を一気に喪失させました。

 

それ以降、特別支援学級に移るする2年生になるまで、息子はほとんど校長室で、星座の本を読んだり、たまにプリントで勉強したり、校長先生と一緒に給食を食べたり…そんな生活が続きました。

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近藤雄太郎

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年6月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。

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