「やる気のない自分」の研究で心理学と出会い、心理学を事業にするまで

2017.02.04公開 2020.05.16更新

今回は、心理学の教育や研究の支援事業を中心に活動する、長内優樹さんへのインタビューです。

 

心理学との出会いが自分の無気力感だったと振り返る長内さんが、心理学の道を志されたきっかけや、現在の活動などについてお話しいただきました。

 

研究テーマは「やる気のない自分」

学生の頃から、やる気がないことが悩みでした。

 

今でも、人から「やる気ないよね」と言われることがあるくらい。笑

 

例えば、食事にしても焼肉やつけ麺など手間がかかる過程があると「面倒くさいな」と思ってしまうくらい、やる気がない人間だったので、

 

「僕はもともとモチベーションが低いのかな」

「生まれつきか何かの病気なのかな」

 

と、自分の中でずっと引っかかっていましたが、決定的だったのが大学受験のとき。

 

周りが頑張っているから、自分もその影響を受けて変われるものだと思っていたのに変わらなかったんですね。

 

これはもう何か心の問題だろうと思って、心理学を勉強し始めたことが心理学との出会いでした。

 

やる気のない自分の状態について調べていくと、やっぱり「抑うつ」にたどり着くわけです。

 

でも、気分が暗かったり、沈んだりもしてない。楽しいこととかおいしいものを感じられなくなっていることもない。

 

意欲の低下があっても、それ以外で「うつ」の症状がまったく見当たらない。単純にやる気がないだけなのかと。笑

 

本屋に行けば、「やる気を出す方法」といった自己啓発本がたくさん置いてありますよね。

 

うつとしての無気力とか、「スチューデント・アパシー」という学生が学問に意欲を示さないといった研究はありましたが、あまり自分と当てはまらない…

 

それでもやる気は全然でないし、やる気がでなくて困っている人って自分だけじゃないかもしれない、と。

 

そこで、当時学生だったので「やる気のなさ」について大学の心理学の先生に聞いてみたんです。

 

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受け身な自分に変化が

すると先生に「学問というのは習うものじゃなくて、自分自身の興味や意思でやるものだ」と言われ、自分のやる気のなさを研究テーマにすることになりました。

 

先生の言葉に刺激を受け、与えてもらった研究のチャンスがそれまでの無気力で受け身な自分を大きく変えてくれました。

 

それからずっと、無気力の研究をしていますが、無気力の研究を始めてからは「無気力になる」ということが不思議とありませんでした。

 

無気力の研究しかしていなかったので、「将来、本当に大丈夫なのだろうか」という不安もあって、無気力になっている余裕なんてなかったんだと思います。笑

 

30歳前後のとき、長年付き合っていた彼女がいたんですけど、ずっと無気力の研究ばかりしているので、将来性が見えないとフラれてしまったこともありましたが。

 

研究をしていても、なかなか納得のいく答えが見つからなかったということもありますし、「もうだめだ」と思ったこともあります。

 

「学問」の場合、正解があって、正解と同じものが作れたときに認められることが多いため、言われたことをやるという姿勢になりがちかもしれません。

 

でも「研究」はそうではなくて、評価されるかされないか分からないけど、自分の責任の下で行うもの。究極の自己責任だと教えてもらいました。

 

だから、人のせいにはできない。その教えが、こうやって今、会社を作ったりしていることに続いているかものしれないですね。

 

究極的なことを言えば、勉強だったら「教え方が悪い」「教科書が悪かった」とか人のせいにできます。

 

でも、研究の場合は、計画を立てるところから自分自身が行います。事業を始めたり、会社を作ったりするのも同じですよね。

 

「世の中に、こういうサービスがあったほうがいいよね」「やっぱり、必要だよね」と思っているんだったら、「自分でやろう」という発想と近いものがあります。

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近藤雄太郎

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  • 本記事は2017年2月4日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。