「やる気のない自分」が研究テーマ【長内優樹さん Part2】

2017.02.04公開 2017.05.07更新
 
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研究テーマとやる気のない自分

実は若いとき、やる気がなかったんです。高校ぐらいからずっと(笑)。

 

今でも、人から「やる気ないよね」と言われることがあるので、やる気のなさが、つい出てしまっているのかもしれませんね。

 

やる気のなさで、例を挙げると…僕はつけ麺を食べません(笑)。

 

つけ麺って、一度つけ汁につけなきゃいけないじゃないですか。そうすると、ワンバウンドするから面倒で、最初から汁につけといてくれないかなと思ったりとか。

 

焼き肉とかしゃぶしゃぶとかもあまり好まないんです。手間がかかる過程が「面倒くさいな」と思うタイプだったりするんですね。

 

そんな風に、ずっと日常生活でもやる気がない人間でした。

 

 

研究テーマはやる気のなさ

「もしかしたら、僕はもともと何に関してもモチベーションが低いのかな」

「生まれつきか何かの病気なのかな」

 

そういった想いが自分の中でずっと引っかかっていました。

 

決定的だったのが、大学受験のとき、周りが頑張っているから自分もその影響を受けて変われるものだと思っていたんですが、あまり変わらなかったんですね。

 

これはもう、何か心の問題だろうと思って心理学を勉強し始めたんです。勉強していくと、やっぱり「抑うつ」にたどり着くわけです。

 

でも、自分はどう考えても、うつじゃないなと思いました。

 

気分が暗かったり、沈んだりもしてないし、楽しいこととかおいしいものとかが、そういうふうに感じられなくなっていることもないし、「うつ」の症状がまったく見当たらない。

 

意欲の低下はありますが、それだけですし、単純にやる気がないだけなのかと(笑)。

 

 

研究テーマを先生に相談

「やる気のなさ」という研究テーマについて、大学の心理学の先生に言ってみたんです。

 

心理学には「無気力」というくくりはない、自分みたいにやる気なくて困っている人っているかもしれないのに、と。

 

本屋に行けば、「やる気を出す100の方法」とか、そういう自己啓発本がたくさん置いてありますよね。

 

それでもやる気は全然でないし、心理学として「無気力」という分野が研究されてないだけじゃないのか、みたいな話です。

 

もちろん、うつとしての無気力とか、「スチューデント・アパシー」という、学生が学問に意欲を示さないといった社会的な視点はありますが、僕が言っている「無気力」は心理学的にはどう説明されるのか、ということを聞いてみました。

 

すると先生は「学問というのは習うものじゃなくて、ある程度先からは自分でやるものなんだ」と。途中からは自分自身の興味や意思でやるものだと。

 

「何でも聞けば、答えをもらえるものだと思っているな」

「教科書に書いてないんだったら、自分で書くぐらいの気概を見せてみろ」

 

と仰いました。

 

そう言われて、不思議と「やってやるぞ」という気持ちになって。今思えば、たきつけられたのでしょう。最初は調査研究から始めて、学園祭でも、みんなが焼き鳥を焼いてるのに、僕はアンケート調査していましたよ。

 

そのうち、「研究内容を発表したら?」と言われて、教授たちの前で発表した内容が、初めて研究と言えるものでした。

 

 

受け身な自分に変化が

与えてもらったチャンスは、それまでの無気力で受け身な自分を大きく変えてくれました。

 

だから今の若い人たちにも、やる気のある学生には、どんどんチャンスを与えていきたいですよね。

 

ある程度まで勉強は必要ですけど、チャレンジさせてあげて、失敗させてあげることも教育なのかなと思っています。そして、研究のまね事をしてみるのも、一つの方法。

 

それが倫理的に問題があったら駄目ですけど、まずはまね事をやってみて、「やっぱりこれ、勉強してからじゃないと駄目」だと思って勉強し始めるのだってアリですよね。

 

だから、若い人で研究したいという人がいれば応援したいと思っています。

 

 

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「無気力」の研究に没頭

それからずっと、無気力の研究をしています。30歳前後のとき、長年付き合っていた彼女がいたんですけど、ずっと無気力の研究ばかりしているので、将来性が見えないとフラれてしまいました。

 

とてもショックではありましたが、それでも研究を続けているうちに、だんだんとお仕事をいただけるようになりました。

 

「どんなことでも一生懸命になれることがあれば、続けていくうちに何らかの形になるんだよ」と伝えたいですね。

 

無気力の研究を始めてからは、「無気力になる」ということが不思議とありませんでした。

 

無気力の研究しかしていなかったので、「将来、本当に大丈夫なのだろうか」という不安もあって、無気力になっている余裕なんてありませんでしたから。

 

研究をしていても、なかなか納得のいく答えが見つからなかったということもありますし、「もうだめだ」と思ったこともありましたが、周囲の支えがあったからやってこれました。

 

違う分野の研究に少し参加させていただく機会もありましたが、やっぱり最終的には「無気力」の研究に戻っていきました。

 

 

研究は勝手にやるもの

僕自身は、調査法を専門としています。もともとは心理学の実験法から学び、どんどん科学的にアプローチしていくというスタンスです。

 

10代後半の頃、心理学の実験を実習していたときに、僕のデータの取り方とか、実験の仕方を見た教授が、「お前は実験をすべきだ」と言われたときがありました。

 

「そんなこと言われたって…」と言うと、教授は「俺たちだって、頼まれて研究をやっているわけじゃない」「研究は勝手にやるもんだ」と言われたんです。

 

その言葉がものすごく強烈に残っていますね。

 

 

研究は究極の自己責任

「学問」の場合、正解があって、先生からやれと言われて、正解と同じものが作れたときに認められることが多いと思います。

 

そのため、言われたことをやるという姿勢になりがちかもしれません。

 

でも「研究」はそうではなくて、勝手に始めて、評価されるかされないか分からないけど、自分の責任の下で行う…究極の自己責任だと教えてもらいました。

 

だから、人のせいにはできない。その教えが、こうやって今、会社を作ったりしていることに続いているかものしれないですね。

 

究極的なことを言えば、勉強だったら「教え方が悪い」「教科書が悪かった」と「こんな問題を出す出題者が悪い」とか人のせいにできます。

 

でも、研究の場合は、計画を立てるところから自分自身が行います。事業を始めたり、会社を作ったりするのも同じですよね。

 

「世の中に、こういうサービスがあったほうがいいよね」と語り合って、「やっぱり、いいよね」と思っているんだったら、「自分でやろう」というような。

 

「『こういう研究ないけど、あったほうがいいんじゃない?』と言うんだったら、自分でやれば良い」という点で起業することと発想として近いかもしれないですね。

 

 

お客さまの成果が自分の喜び

「先生、学術誌に載りました!」みたいな感じで報告してくださることがあります。

 

アドバイスをさせていただいた大学院生などのお客さまが、研究をまとめて論文にして、それが雑誌や学術誌に載った…といった成果を報告しに来ていただけるということは、やはりものすごく嬉しいです。

 

あと、雑誌の中で自分のページだけ別に刷った冊子を持って報告しに来てくれたりすると、「一緒に考えさせていただいてよかったな」と感慨深くなりますね。

 

もちろん、試験の合格報告もうれしいですよ。「おかげさまで…」と言ってもらえると、「やってきてよかったな」と思います。

 

続きは、最終回へ

 

 

長内優樹さんのインタビュー

【Part1】学生の自主性や熱い想いをすくい上げたい

【Part2】「やる気のない自分」が研究テーマ

【Part3】学問をすることが「かっこいい」世の中に

 

 

長内優樹さんの活動をチェック

Secondary, LLC(セカンダリー)

公認心理師推進ネットワーク

 

 

インタビューを受けてくださる方、募集中です

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員など、すでに多くの方にインタビューを行っています。ご自身が、有名かどうか、権威かどうかは関係ありません。

 

また、精神疾患などの当事者の方、メンタルヘルスや人間関係でお悩みの方などのインタビューも行っております。

 

これまでの経験・取り組みや、ご自身の想いを読者に届けていただき、Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

ご興味をお持ちいただけましたら、下記フォームよりお問い合わせください。24時間以内にご連絡いたします。

 

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