【臨床心理士解説】何もしたくない・楽しくない・イライラ⇒手軽な改善方法と通院タイミングは?

2023.01.18公開 2023.01.19更新

何もしたくない、楽しくない、イライラする…

 

このように感じることは誰しもありますよね。

 

人間ですから、一時的に無気力になったり、気分の波が出たりするもの。

 

しかし、もしあなたがこういったことで長くお困りであれば、「ひょっとしたら病気なのでは?」「病院に行った方がいい?」と心配になるかもしれません。

 

次のようなことがあるようでしたら、病院へ行くことを考えてみてください。

 

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何もしなくない・楽しくない・イライラで病院へ行くタイミングは?

精神的な症状が強い/長く続く時

・無気力/生活全体において何もしたくない(例:食事や入浴も面倒に感じる)

・以前楽しめていたことも楽しく感じない(例:趣味を楽しめなくなった、好きだったテレビが見られなくなった)

・特にきっかけもないのに常にイライラする

・以前は気にならなかったことが不安に感じられるようになった(例:戸締りをしたか何度も確認するようになった)

・気分が落ち込みやすい/落ち込みがひどい(例:自分に価値がないと感じる)

・思考力・集中力が低下している(例:読書ができなくなった、判断するまでに時間がかかる)

・神経過敏(例:以前なら気にならなかった小さな音が気に障る)

など

身体に症状が出ている時

・全身の倦怠感(例:だるくて起き上がれない)

・不眠/過眠(例:寝付けない、寝ても途中で度々目が覚める、いつもより早く目が覚めてしまう、睡眠時間を十分とっていても昼間ずっと眠い)

・食欲不振/過食/急な体重増加・減少(例:一人前を食べられなくなった、食べ過ぎて吐いてしまう)

・特に悲しいわけでもないのに涙が止まらない

・動悸がする

・過呼吸

・頭痛/頭重感/腹痛/下痢

・月経不順/月経前症候群(例:生理前になると心身の不調が強い)

・性欲の減退

など

症状の影響で生活に支障が出ている時

・学校や職場に行きたくない気持ちが強い/休みがち/行けていない

・外出したくない気持ちが強い/外出できない

・暴飲暴食

・ギャンブル中毒

・散財(例:買い物をしすぎてしまう)

・ケンカ

・物を壊す

その他にも、何か心配なことや気になることがあれば、まずは病院(精神科や心療内科)へ行って相談してみることをお勧めします。

 

お医者さんに相談してみて、「特に今治療の必要はありません」「様子をみましょう」と言われれば、それはそれで安心できるでしょう。

 

なんらかの対処が必要な場合も、早めに行っておくと、治療の選択肢が多くなります。

 

身体の問題と同じで、精神的な症状の場合も、早めに対応し始めると回復が早いことも多いのです。

 

なお、受診にあたっては予約が必要な病院があります。

 

「ここに行ってみようかな」という病院をいくつか考えたら、まずはホームページを確認したり、電話をしたりしてみましょう。

 

病院の雰囲気を感じることができますし、診察の際かかる費用の目安も確認できるでしょう。

 

なお、月経関連の不調がある場合は、婦人科や女性科の受診もご検討ください。

 

日常生活の中でできる手軽な対処法は?

また、「自分で対処してみて、それでも調子が変わらなかったら受診を考えたい」「病院に通いながら、自分でもできることをしたい」という方もいるかもしれません。

 

「何もしたくない・楽しくない・イライラする」といった意欲や気分の症状について、日常生活でできる対処法としては、次のようなことがあります。

 

睡眠や食事をしっかりとる

睡眠時間が少ないと、意欲が低下したり、気分の波が出やすくなったりすることがあります。

 

当面は睡眠時間を多めにとるようにしてみてください。

 

また、食事もしっかりとるようにしましょう。

 

何もしたくないようであれば、外出して食材を買って料理をしたり、外食に出向いたりするのも面倒に感じられるかもしれません。

 

ただ、食事は、人間が活動するためのエネルギーを蓄えるために大変重要です。

 

自分が好きなものや、おいしいものを食べる機会は大切にしましょう。

 

朝太陽の光を浴びる

精神の安定をもたらす脳内の神経伝達物質の一つに「セロトニン」があります。

 

起きてから30分ぐらい日光を浴びると、セロトニンが分泌されます。

 

直射日光に当たらなくてかまいませんので、朝起きたらカーテンを開けて、明るい部屋で過ごしましょう。

 

しっかりと朝にセロトニンが分泌されると、夜眠りやすくなるという効果もあります。

 

リズム運動を試してみる

セロトニンを分泌させる効果的な方法としては、その他にも「リズム運動」があります。

 

リズム運動とは、一定のリズムで同じ動きを繰り返す運動のことで、20分ほど続けていると効果が大きいようです。

 

具体的には、歩行や呼吸、咀嚼などがリズム運動に該当します。

 

例えば、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、スクワット。

 

自分に合った呼吸法を身につけるのもいいですね。

 

咀嚼は、食べ物を噛むことですので、普段の食事の際、食べごたえのある食材を選んで摂り、よく噛むことを意識して食べてみましょう。

 

ガムを噛むのもお勧めです。

 

さいごに

今回は、「何もしたくない・楽しくない・イライラする」といった状態について、病院に行った方がよいタイミングや、日常生活でできる対処法をお伝えしてきました。

 

ご自分で生活上の工夫をしてみることはとても大切です。

 

やってみることができそうなこと、やってもいいかなと思えることがあれば、参考にしてみてください。

 

ただ、それでも調子が変わらない、心配な状態が続いているようであれば、一人で抱え込まず周りの助けを借りましょう。

 

お医者さんはきっとあなたに合った対処やアドバイスをしてくれると思いますので、病院への相談を考えてみてくださいね。

 

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【参考文献】

●森川那智子(2007)『なんにもしたくない! ちょこっと、自分を、休ませてあげる本』すばる舎.

●大芦治(2013)『無気力なのにはワケがある 心理学が導く克服のヒント』NHK出版.

●田中正人編著(2020)『図解心理学用語大全 人物と用語でたどる心の学問』斎藤勇監修,誠文堂新光社.

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澁澤りえ

臨床心理士/公認心理師

臨床心理士資格の指定大学院を修了後、地域住民を対象とした大学院附属の心理相談センターや、中学校・高校・大学受験予備校・大学といった様々な教育分野で15年以上カウンセリング業務を担当。現在は精神科クリニックのカウンセラーを兼務。二児の母として育児にも奮闘中

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2023年1月18日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。