【書評】『うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた』
Twitterで約2.4万もRTされたうつマッピング。皆さんはご存知でしたか?(実際のうつマッピングはこちら)
発信源は、双極性障害と向き合いながら当事者視点で情報発信をされている、ほっしーさん(@HossyMentalHack )。
そのほっしーさんが、2018年10月20日に「うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた」を出版され、うつマッピングが再び注目を集めています。
ほっしーさんとは、うつマッピングをテーマにしたイベントを臨床心理士とコラボで開催したご縁もあり、今回は精神保健福祉士の方に実際に読んでもらい、書評を書いていただきましたのでご紹介します。
『うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた』
精神保健福祉士による書評
うつの当事者である筆者のほっしーさんが、ご自身で試してきたうつの対策方法を解説した本である。
筆者は会社員として働いているなかで、ある日突然、3か月の休職が必要と言われた。
それまで、「うつ病=社会の落ちこぼれ」と感じていた筆者は、自分がその「称号」を得たショックにしばらく何もできなくなってしまう。
薬を飲んでいれば治ると信じ、しばらくはじっとしていたものの、実感としては「ちょっと良くなった程度」だった。
そんな中、Twitterやブログを活用することでメンタルを分析し、自分の心をプログラムしなおす「メンタルハッカー」として、うつにいいとされている事柄をマッピングしたものが本著である。
SNSの活用から当事者グループの参加まで幅広い方法を
「お手軽」
「難しい」
「効果高い」
「効果低い」
の4つを軸に評価し、試してみた感想がまとめられている。
いわば、「当事者による症状改善法の辞書」である。
この本のよいところは3点。
「読みやすい」
「試しやすい方法が数多く記されている」
「当事者の率直な感想に基づいている」
である。
33もの方法を1冊にまとめるとなると、その文量は膨大なものになりがちである。
医学的な客観性を持たせようとすれば尚更で、端的に読み手に伝えることは難しい。
一方で、どんなに個人差があっても、この本を読むのにかかる時間は1時間程度。サクサク読み進められる。
その読みやすさを作り出しているのが、当事者である筆者の率直な感想である。
「効果がある」と感じたものについて、具体的に「どう思ったか」を記載している一方で、「効果がない」と感じたものについても、はっきりと「やってみたけど無理だった」または「あまり意味がない」と論じている。
それは医師や専門職でも、客観的には感じることのできない「当事者ならではの感想」であり、他の当事者がぜひとも知りたいところだろう。
読者が自分自身のマップを作れるよう、評価軸のシートも付いており、試した方法を自分なりにマッピングしていけるのも活用しやすい点である。
もし、読者が筆者と異なる評価をしても、自分なりに効果のある方法をまとめる助けになる1冊だ。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2018年12月4日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。