働くの「先」を見つめる、一人ひとりに合った障害者就職支援

2019.02.15公開 2020.04.22更新

障害のある方の就職や職場定着などを日本全国でサポートする、ウェルビーさん。

 

「障害は”隠す”ものではなく”生かす”ものである」という想いから、どんな支援が行われているのか気になる…。

 

そこで今回は、就労移行支援事業所ウェルビーさんで働くお二人にお話を伺いました。

【ウェルビー】

「障害を生かし自分らしく働く」ことを追求する全国66拠点(2019年1月時点)の就労移行支援事業所

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芸術→IT企業→ウェルビーへ

リミー
今日はよろしくお願いします!田中さんはスーパーバイザーとありますが、どういうお仕事なんですか?

 

田中さん(臨床心理士・スーパーバイザー)

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田中さん
ウェルビーのいくつかのセンターの管理・運営をしています。支援の方向性やスタッフが支援するうえでの困りごとを一緒に考えたりします。
リミー
現場ではどういう困りごとがありますか?
田中さん
特に福祉未経験のスタッフだと、最初の頃は利用者さんとの接し方に悩む方もいます。社内研修を踏まえて、支援の現場でどう実践していくかを一緒に考えています。
リミー
なるほど。田中さんは福祉畑でずっと活躍されていらっしゃっているんですか?
田中さん
いえ、大学卒業後はIT企業に就職したんです。大学でも福祉系は専攻していなくて、芸術の勉強をしていました。
リミー
福祉の世界に入るきっかけは何だったんですか?
田中さん
就職活動の時期にリーマンショックがありまして、就職活動って自分の希望を叶えていくステップの1つなのに、挫折してしまったり、精神疾患になる方もいて…。
田中さん
そういった方に対して、「何かサポートできないかな」と思うようになり、そこで方向転換して大学院で臨床心理の勉強をしました。
リミー
田中さんの想いの強さを感じます。
田中さん
一方で、「働く人をサポートするのに働いた経験が無いってどうなの?」と思って、まずは民間企業に就職して採用関係の仕事を経験して、今に至っています。

 

支援に活かす研究実践

リミー
田中さんは支援に活かす研究実践も行っていると伺いました。
田中さん
はい。「セルフモニタリングシート」を活用した研究実践も行っています。

 

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リミー
セルフモニタリングシート…?
田中さん
セルフモニタリングシートは、生活の記録を取っていく際に使用するものです。体調不良が原因で辞められる精神疾患の方は多いので、体調面の安定を図るために必要なものなんですよ。
田中さん
あと、自信をつけてもらう意味でも重要視しています。
リミー
自信がつくんですか?
田中さん
はい。個別支援計画で3ヶ月毎の目標を設定するのですが、さらに小さな目標を1週間ごとに立てるんですね。
田中さん
小さな成功体験を積み重ねることは自信にも繋がります。たとえ達成できなくても実践したからこそ課題面が見つかるので、次に活かしていくことができるんです。
リミー
自己効力感を高め、職業準備性も向上するというところですよね。
田中さん
そうですね。また、セルフモニタリングシートを通じて利用者さんと支援員が共通認識を持つこともできるので、コミュニケーションも円滑になりますよね。

 

ハローワークを経てウェルビーへ

リミー
木所さんはウェルビー渋谷のセンター長とお伺いしました。

 

木所さん(社会福祉士・ウェルビー渋谷センター長)

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木所さん
はい。スタッフ教育も含め、センター全体の運営・管理に携わっています。利用者さんの担当もしているので面談などで定期的な関わりもあります。
リミー
就労移行支援に携わるきっかけは何だったんですか?
木所さん
以前、ハローワークで働いたとき、就職しても辞めてすぐ戻ってくるケースが少なくなかったんです。理由を聞くと、コミュニケーションの問題や報連相が出来なくて…という方が多かったんです。
リミー
ふむふむ。
木所さん
報連相を含め、コミュニケーションのスキルってやれば身につくんですよね。そういった経験から、就労移行支援の重要性を感じるようになりました。
リミー
なぜウェルビーさんに?
木所さん
ハローワーク時代の経験からも、支援者側に色んな年齢層やキャリアを持つ人がいた方が役立つと思っていたので、その点が魅力でした。
リミー
利用者さんの年齢層やキャリアも様々ですもんね。

 

就職を体験できる「企業実践」

リミー
お二人から見てウェルビーさんの特徴や独自性ってどんなところですか?
田中さん
カリキュラムの「企業実践」は特徴のひとつかと思います。
リミー
企業実習ではなく「企業実践」。
田中さん
仕事を始める前のリハーサルのような実践の場ですね。企業実習の有無は企業のスタンスによるところもあり、全員にその機会があるわけではないんですね。
田中さん
企業実践を通じて、職場で起きうる事に自分でどのくらい対応できるのか、これからの訓練で何を身に付ければいいのかを考える機会として活用してもらっています。
リミー
具体的にどういったことをされているんですか?
木所さん
企画課や総務課といったいろんな課があるんです。例えば企画課だと、イベントの企画から運営までをやるので面白くて人気ですよ。この前だと「格付け大会」やったり。

 

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リミー
格付け大会ですか?!
木所さん
安いジャムと高級なジャムを用意して「利きジャム大会」とか。利用者さんが主体で楽しみながらコミュニケーションをとってもらうことも大切にしています。
リミー
すごく楽しそうでいいですね!
木所さん
楽しみもありつつ、自分たちで企画して運営する難しさも経験していただきながら、コミュニケーションのスキルも高めてもらえればと思っています。
木所さん
上司役のスタッフが付いているので、報連相の練習にもなりますし、逆に上司の指示を理解してちゃんと仕事を進められるかもポイントですね。
リミー
利用者さんもどんどん変わっていくんでしょうか?
木所さん
徐々に話せるようになったり、主体的に動けるようになっていく姿は見てて嬉しいですよね。報連相ができない人でも、できる人を間近で見て学ぶ機会にもなりますし。

 

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木所さん
最後の振り返りの中で、出来たことや学んだこと、次に活かしたい課題なども挙げてもらうことも必ず行います。
リミー
実践の場で自主的に学べるというのは良いですね。企画課以外には何課があります?
田中さん
総務課もあります。パソコンでの事務処理、書類作成、電話対応などですね。電話対応では、実際に全国のウェルビー内でやり取りしているんですよ。
リミー
実際に、各事業所間で電話でやり取りするんですね。
木所さん
はい。苦手な方にも全社共通の原稿があるので、慣れていくことで、大体みんな上手になりますね。
木所さん
電話対応で自信をつける方が多いので、意外と総務課も人気があります。
田中さん
それ以外にも、庶務や広報、営業などもありますよ。
リミー
すごい、本当に色々あるんですね…。
田中さん
企業実践だけではなく、自己理解のための時間、ソーシャルスキルを高めるグループワーク、パソコンやビジネスマナーの研修といった土台作りも大切にしています。
リミー
一人ひとりに合ったサポートが大前提ということですね。

 

【ウェルビー】

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近藤雄太郎

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  • 本記事は2019年2月15日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。