わがままな子供への接し方とは?簡単3ステップを臨床心理士が解説
おもちゃがほしい、お母さんの料理を手伝いたい、友達と遊園地に行きたい、お小遣いを上げて欲しい、ゲームがほしい、携帯がほしい・・・など、年代を問わず、子どもの要求(わがまま)は際限なくあります。
全てにいちいち取り合っていたら、キリがないともいえますが、子どもが自分の希望や欲求を言葉で主張できるのは、成長のあかしであり、喜ぶべきことでもあります。
「これがほしい!」「これをしたい!」という意思を持って、それを人に伝えることは、自立のために不可欠な要素だからです。
とは言っても、すべての要求やわがままを叶えるわけにはいきません。ではどうするのがいいでしょうか。
全てのわがままを叶え続けると
私は、これまでの臨床活動の中で、成人にも関わらず、親に数々の要求を押し付け、それを叶え続けてきてしまった結果、親御さんが「奴隷」のように扱われてしまっているケースを多数見てきました。
彼らの多くは、自分の要求が通らないと、親へ暴言を吐き、暴力を振るい、どんな手を使ってでも望みをかなえようとします。
この様なケースでは、親御さんが子どもの要求をうまく処理できていません。
子どもの要求をすぐに叶えてあげることはとても簡単ですが、その要求の意味を子ども本人に考えさせることも心の成長には必要なことでもあります。
以下の3つのステップを使いながら子どもと話ができたらいいのではないかと思います。
STEP1 子どもの要求を受け止める
まず、子どもが何を望んでいるのかを詳しく聞いて受け止めます。
明らかによくないことを主張してきたとしても、すぐに「そんなの絶対ダメ!」と切り捨てずに、いったんは「へぇ、そうなんだ」と肯定も否定もせずに返します。
時間があれば、要求を詳しく聞いてあげてください。聞いてもらえるだけで気が済んでしまう場合もあります。
この段階で、一方的に子どもの要求を否定し続けた場合、子どもは自分の要求を訴えることを諦め、親に対して嘘をつくようになります。
嘘をつく子どもの多くは、親に一方的に否定された経験を少なからず持っています。
STEP2 要求している理由を聞く
何かをしたいと子供が望んだ背景は、実際に子どもに聞いてみないとわかりません。
そこで「どうして、そうしたいの?」と聞いてみてください。子どもが言葉に詰まっても、うまく説明できなくても、じっくり待って根気よく話を聞いてあげてください。
「やりたいんだから、やりたいの!」「ぜったい欲しいの!」などと大声をあげて押し切ろうとしても、何度か同じ質問をして話し始めるのを待ちます(先に挙げた親が奴隷になってしまったケースは、ここで子どもの要求をのんでしまいます)。
子どもの話を十分に聞かないうちに、「でも、お母さんは・・・」などと割って入らず、子どもが少し話すごとに「それで?」などと相づちを打ち、何度も掘り下げて話を聞きます。
この段階では、子どもは無意識で、親が許してくれそうなギリギリのラインで要求を出してきます(親が子どもに試されている段階でもあります)。
STEP3 メリットとデメリット・対応策を聞く
次に望みがかなうことで、どんな良い点(メリット)と悪い点(デメリット)がありそうか、悪い点にはどう対処するか(対応策)を聞いてみて下さい。
例えば、「3DSが欲しい!」という要求に対してメリットは一人でも楽しめる時間が持てる、友達と共通の話題が持てる、デメリットは目が悪くなる、家族と話す時間が少なくなるなどが考えられます。
「3DSを買うと、目が悪くなるし、家族と話す時間が少なくなるかもね。そのときはどうする?」といったデメリットと対処法を話し合っておけば、うまくいかなかったときでも子どもが主体的に責任を受け止めやすくなります。
また、必要に応じて親のアイディアを加え、一緒に結論を出すのもいいかもしれません。この段階で、初めて親の正直な意見を子どもに伝えてみてください(要求に応えられるのか、応えられないのかを含めて)。
お子さんの年齢が低く、あれこれと物を欲しがるときには、ほめられる・認められるなどの社会的欲求が満たされないために、物質的に心を満たそうとしていることもあります。
そういった時には、一緒に楽しい時間を過ごすようにするなどの工夫をしていくのもいいかと思います。
【記事提供】
佐藤文昭 臨床心理士
おやこ心理相談室 室長
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2016年11月17日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。