仕事辞めたいから専業主婦に?メリット・デメリットをキャリアコンサルタントが解説

2016.11.22公開 2017.01.04更新
 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
2

近年、女子学生の間で「専業主婦願望」が広がっているようです。つらい仕事を辞めたい衝動から、専業主婦になりたいと思う若い女性も少なくないのではないでしょうか?

 

この「専業主婦願望」は、ともすると「夫に経済的に依存したい願望」と捉えることもできますが、本当にそうなのでしょうか。

 

この願望の裏には、仕事と家庭の両立は難しいという強い不安が潜んでいるように思います。

 

 

働く女性が専業主婦を選んでいる本当の理由

専業主婦になることで、当然良いことも悪いこともあります。

 

あなたが自分らしい生き方をするために、何を選択したいのか、一度立ち止まって考えてみることで、冷静に判断することができます。

 

働く女性は、仕事に全力を注いでも、女性が男性と同じように高く評価されないという現実を、目の当たりにすることがあります。

 

そんな現実に直面した時、いくら頑張っても自分は正当に評価されないという、諦めの気持ちを持つこともあるでしょう。

 

また順調にキャリアを重ね、責任も増えて、仕事の面白さにようやく気付き始める30歳前後は、女性が結婚を強く意識する年齢でもあります。

 

そんな時、結婚という重大なライフイベントを目の前にして「仕事か家庭か」の二択に迫られていると感じることもあるでしょう。

 

長時間労働が当たり前であり、子どもの保育の受け皿も十分ではない現在の日本の社会環境では、女性が出産後も仕事と家庭を両立できる感覚を持つことができません。

 

そして、出産の身体的なリミットを考えると、決断を遅らせるわけにはいかないという感覚に襲われます。

 

そんな時、結婚して専業主婦になり、家庭を築くことを優先することは、本能的に自然なことともいえるでしょう。その反面、仕事を切り捨て、専業主婦を選択することは苦渋の選択とも言えます。

 

 

専業主婦になるメリットとデメリット

喜んで専業主婦になるという方も、苦渋の選択で専業主婦を選ぶ方もいると思います。それでは、専業主婦になるということはどういうことなのでしょうか。本当にそれで幸せになれるのでしょうか。

 

そこで、専業主婦になると決断する前に、メリットとデメリットを考えてみましょう。

 

 

税制上、社会保険上のメリット

①<103万円の壁>

 

配偶者控除が受けられます。所得税のかからない範囲で働くか、仕事をしないことで、夫の所得税の課税対象金額を少なくすることができます。つまり夫の所得税を節税できます。

 

②<130万円の壁(106万円の壁)>

 

社会保険(=健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険)の保険料を支払わずに保証が受けられます。会社員や公務員の家庭は一般的に夫の「扶養」に入ることで、被扶養者として社会保険に入ることができます。

 

この場合、被扶養者である奥さんは健康保険の保険料を支払う必要はありません。また、国民年金の第3号被保険者となり、保険料を支払わなくても夫の定年後に国民年金をもらうことができます。

 

ただし、国民年金の二階建て部分にあたる厚生年金は、妻には支払われません。

 

また、2016年10月から「106万円の壁」が新たに加わり、パートタイムの方で「社会保険加入者が501名以上の会社に勤務し、勤務年数1年以上」「月額8万8000円(年間106万円)以上、週20時間以上勤務」という条件を満たす場合は、社会保険に加入することになりました。

 

これにより、社会保険に入らなければならない収入額が引き下げられ、条件に該当する方は社会保険に加入することになりました。

 

 

時間的なメリット

家事や子育てをする時間が十分に取れる、自分の時間が持てるなど、仕事に縛られない時間が専業主婦のメリットです。

 

家族や親族にもしものことがあった場合、病気や入院、介護などに対応できることは、家族としては安心できることでしょう。

 

次に、専業主婦のデメリットをみてみましょう。

 

 

世帯収入が少なくなる

当然ですが、世帯収入は減ることになります。結婚して会社を退職すれば、その分収入は妻一人分減ることになります。

 

 

将来受け取れる年金額が少なくなる

国民年金の第3号被保険者の場合、国民年金の二階建て部分にあたる厚生年金は支払われません。

 

つまり、老後に受け取れる妻の年金額が少なくなり、世帯で受け取れる年金額も少なくなるということです。社会保険に加入し続けている妻のほうが、専業主婦の妻より受け取れる年金額が多くなるということです。

 

 

思い通りのキャリアを描けなくなる可能性

今は専業主婦で良くても、いずれ子どもたちは成長し、巣立っていきます。

 

その時に「そろそろ仕事でもしようかな…」と考え再就職活動を始めても、自分が望むような仕事ができないことがほとんどです。

 

専業主婦をしている間はキャリアの断絶が起こるため、結婚前にある程度キャリアを積んでいたとしても、思い描くようなキャリアを再び描くことが難しくなります。

 

時間と場所とスキルという制約の中で、何かの条件を大幅に譲歩して働くことになります。

 

 

夫に何かあった時に収入源が無くなる

終身雇用の保障など全くない雇用環境の中で、夫が職を失う可能性もあります。

 

また、夫が病気やケガなど何らかの理由で働けなくなった場合、その時は家族の収入が大幅に少なくなります。

 

加えて、夫との離婚や死別などに直面した場合は安定的な収入を妻が得なければならなくなり、対応が難しくなるでしょう。

 

 

ケア責任は専業主婦が負うことが多い

メリットとして時間的余裕がある専業主婦は、逆にそれがデメリットにもなります。

 

専業主婦の妻が、体力的にも精神的にも負担が大きい、家族や親族のケア責任負うことが多くなります。育児に加えて親族の介護が重なる「ダブルケア」という現実も起こっています。

 

時間的に融通が利くことで、かえって家庭に縛り付けられるという逆の現実も考えなければなりません。

 

 

メリットとデメリットは背中合わせ

金銭的に夫に頼ることができ、時間的な自由が手に入ることは専業主婦の大きなメリットです。

 

恐らく専業主婦に憧れている女性は、それが魅力なのでしょう。確かに現在の税制や社会保険制度においては、専業主婦が享受できるメリットはたくさんあります。

 

しかし専業主婦は、経済的に自立していないため、将来受け取れる年金額が少なくなり、夫が失業した場合は収入のあてがなくなるというリスクを抱えています。

 

また時間的な自由とは、時間的に融通が利く自由と、家族のケア責任を全て背負い込む不自由の背中合わせなのです。夫の転勤なども含めると、自分の意思で動くことは意外と難しくなります。

 

 

おわりに

専業主婦には自由も不自由もあります。

 

私も専業主婦を経験していますが、とても自由だけど、自由でもない…そんな風に感じます。メリットとデメリットを考えて、自分に合う選択をしたいものですね。

 

suzukiyumiko【執筆者】

鈴木祐美子

国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、

CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

鈴木さんのインタビュー記事はこちら

シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
2

関連記事