仕事辞めたいから専業主婦に?メリット・デメリットをキャリアコンサルタントが解説
専業主婦になるメリットとデメリット
喜んで専業主婦になるという方も、苦渋の選択で専業主婦を選ぶ方もいると思います。
それでは、専業主婦になるということはどういうことなのでしょうか。
本当にそれで幸せになれるのでしょうか。
そこで、専業主婦になると決断する前に、メリットとデメリットを考えてみましょう。
税制上、社会保険上のメリット
① 103万円の壁
配偶者控除が受けられます。
所得税のかからない範囲で働くか、仕事をしないことで、夫の所得税の課税対象金額を少なくすることができます。
つまり夫の所得税を節税できます。
② 130万円の壁(106万円の壁)
社会保険(=健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険)の保険料を支払わずに保証が受けられます。
会社員や公務員の家庭は一般的に夫の「扶養」に入ることで、被扶養者として社会保険に入ることができます。
この場合、被扶養者である奥さんは健康保険の保険料を支払う必要はありません。
また、国民年金の第3号被保険者となり、保険料を支払わなくても夫の定年後に国民年金をもらうことができます。
ただし、国民年金の二階建て部分にあたる厚生年金は、妻には支払われません。
また、2016年10月から「106万円の壁」が新たに加わり、パートタイムの方で、
「月額8万8000円(年間106万円)以上、週20時間以上勤務」
という条件を満たす場合は、社会保険に加入することになりました。
これにより、社会保険に入らなければならない収入額が引き下げられ、条件に該当する方は社会保険に加入することになりました。
時間的なメリット
家事や子育てをする時間が十分に取れる、自分の時間が持てるなど、仕事に縛られない時間が専業主婦のメリットです。
家族や親族にもしものことがあった場合、病気や入院、介護などに対応できることは、家族としては安心できることでしょう。
【専業主婦】5つのデメリットとは?
次に、専業主婦のデメリットをみてみましょう。
①世帯収入が少なくなる
当然ですが、世帯収入は減ることになります。
結婚して会社を退職すれば、その分収入は妻一人分減ることになります。
②将来受け取れる年金額が少なくなる
国民年金の第3号被保険者の場合、国民年金の二階建て部分にあたる厚生年金は支払われません。
つまり、老後に受け取れる妻の年金額が少なくなり、世帯で受け取れる年金額も少なくなるということです。
社会保険に加入し続けている妻のほうが、専業主婦の妻より受け取れる年金額が多くなるということです。
③思い通りのキャリアを描けなくなる可能性
今は専業主婦で良くても、いずれ子どもたちは成長し、巣立っていきます。
その時に「そろそろ仕事でもしようかな…」と考え再就職活動を始めても、自分が望むような仕事ができないことがほとんどです。
専業主婦をしている間はキャリアの断絶が起こるため、結婚前にある程度キャリアを積んでいたとしても、思い描くようなキャリアを再び描くことが難しくなります。
時間と場所とスキルという制約の中で、何かの条件を大幅に譲歩して働くことになります。
④夫に何かあった時に収入源が無くなる
終身雇用の保障など全くない雇用環境の中で、夫が職を失う可能性もあります。
また、夫が病気やケガなど何らかの理由で働けなくなった場合、その時は家族の収入が大幅に少なくなります。
加えて、夫との離婚や死別などに直面した場合は安定的な収入を妻が得なければならなくなり、対応が難しくなるでしょう。
⑤ケア責任は専業主婦が負うことが多い
メリットとして時間的余裕がある専業主婦は、逆にそれがデメリットにもなります。
専業主婦の妻が、体力的にも精神的にも負担が大きい、家族や親族のケアなど責任負うことが多くなります。
育児に加えて親族の介護が重なる「ダブルケア」という現実も起こっています。
時間的に融通が利くことで、かえって家庭に縛り付けられるという逆の現実も考えなければなりません。
メリットとデメリットは背中合わせ
金銭的に夫に頼ることができ、時間的な自由が手に入ることは専業主婦の大きなメリットです。
恐らく専業主婦に憧れている女性は、それが魅力なのでしょう。
確かに現在の税制や社会保険制度においては、専業主婦が享受できるメリットはたくさんあります。
しかし専業主婦は、経済的に自立していないため、将来受け取れる年金額が少なくなり、夫が失業した場合は収入のあてがなくなるというリスクを抱えています。
また時間的な自由とは、時間的に融通が利く自由と、家族のケア責任を全て背負い込む不自由の背中合わせなのです。
夫の転勤なども含めると、自分の意思で動くことは意外と難しくなります。
おわりに
専業主婦には自由も不自由もあります。
私も専業主婦を経験していますが、とても自由だけど、自由でもない…そんな風に感じます。
メリットとデメリットを考えて、自分に合う選択をしたいものですね。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2016年11月22日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。