障害者職業能力開発校とは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を専門家が解説

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障害者職業能力開発校とは?

現代では、ノーマライゼーションが進み、精神疾患を抱えながらも仕事に就いている方々もたくさんいます。

 

ですが、精神疾患はささいな環境の変化に影響を受けやすかったり、各々の能力に格差があるため、一通りの支援ではカバーできないことも多くあります。

 

そのために、各就労施設や障害者トライアル雇用制度、精神障害者ステップアップ雇用などのサービスが設置されていますが、能力の差などで、それらのサービスでも網羅できない方々もいます。

 

そういうケースに陥った時は、「障害者職業能力開発校」を利用してみるのはいかがでしょうか?それぞれの能力に応じた訓練を行うことができますよ。

 

 

障害者職業能力開発校の対象者

一般の職業能力開発施設などで、訓練を受けることが困難な障害者の方すべてが対象となります。

 

また、精神障害者だけではなく、身体障害者や知的障害者も含まれます。

 

 

障害者職業能力開発校の支援内容

障害者職業能力開発校は、精神疾患を抱える方に対して、各々に適した普通・短期の職業教育や仕事に就いている方でも、今後、より本人の能力を開発することができるように訓練を行っています。

 

訓練期間は、原則として1年で、訓練期間中は訓練生として訓練手当も支給されます。訓練手当は障害者の方の住まいの立地条件や年齢によって異なります。

 

住まいは、1級地と2級地、3級地に分れており、それぞれ、日額で4300円、3900円、3500円程度です。また、20歳未満の方は、一律3500円程度となります。

 

また、障害者能力開発校は、専門学校のように職業訓練を集中して行う場所もありますし、一般の事業所にて訓練し、訓練終了後には引き続き雇用をしてくれることを目標とする場所もあります。

 

また、職場実習として短期で求人を出している事業所を訪れ、実際の仕事を体験することで対象者が自信をつけ、雇用者には能力の確認をしてもらうといった場所もあります。

 

 

障害者職業能力開発校の費用

上記でお話ししたように、職業訓練開発校で訓練をすることで、障害者の方は訓練手当が支払われます。

 

また、技能習得手当や職業訓練を受ける施設への交通費なども支給されます。

 

 

障害者職業能力開発校の申請方法、利用方法

障害者職業能力開発校を利用したい方は、各々の職業訓練校の窓口に申し込んでください。各学校で書類審査等が行われ、入校できるかどうか決まります。

 

また、ハローワークでも職業能力開発校の情報を扱っているので、ハローワークの担当職員に尋ねてみるのも良いでしょう。

 

 

障害者職業能力開発校の該当する事例

【Aさん10代男性】ADHD

Aさんは、幼い頃より落ち着きのない子どもで、授業中にも先生の話をよく聞かなかったり、勝手に席を立ち教室の外に出て行くというような特徴を持っていました。

 

教師や家族が何回注意しても、Aさんの行動が治ることはありませんでした。

 

中学生に進学すると、それらの行動はやわらぎましたが、やはり不注意が目立ったり、立て続けにクラスメイトから話しかけられると、頭がいっぱいになるなどの出来事が続いていました。

 

そのような息子の様子が他の子とは違うのではないかと感じた母親は、息子に精神科受診を勧め、彼も自分の言動に嫌気がさしていたため、共に精神科を受診。

 

問診と心理検査を行い、ADHDと診断されました。その後Aさんは通院治療とカウンセリングを続けながら、特別支援学級がある高校に進学。

 

支援学級では、教師も疾患に理解があり、クラスメイトもさまざまな障害を持つ人がいたため、比較的穏やかに高校生活をおくることができました。

 

高校卒業後の進路を決める時期になったある日、クラスメイトのほとんどが障害者枠などを利用して、企業に就職が決まっていくのを目の当たりにするものの、Aさんは企業に就職する自信がなく、その旨を担任教師に相談しました。

 

教師は、Aさんの話にじっくりと耳を傾け、「突然就職する自信がないなら、職業訓練開発校に行って、自分の興味が持てる分野の職業訓練をしてみてはどうか」とアドバイスしてくれました。

 

Aさんは、そのことを家族と主治医ともに相談し、「Aさんの負担がない方法を選んだ方が良い」と言うことで、彼は自宅から通うことのできる職業能力開発校に進みました。

 

その開発校は、専門学校のようにしっかりとプログラムに沿って職業訓練が出来る場所でした。

 

他人とのやり取りでパニックになることも多いAさんは、食品加工の技術を学ぶことのできるコースを選び、1年間の訓練を受け始めました。

 

日額3500円程度の訓練手当と交通費が支給されたため、親に迷惑をかけているという気持ちに支配されることなく、真面目に訓練を積むことができました。

 

 

その後のAさんの就労

 

訓練校で1年の訓練を経て、Aさんは食品加工工場に就職することになりました。

 

ある程度の仕事はできましたが、訓練の場と現場はやはり異なり、仕事が忙しい時期などは軽いパニック状態に陥り、仕事を放り出して休憩室に行ったり、トイレにこもったりと1人の時間を過ごすことで落ち着きを取り戻していました。

 

就職したこの職場は、Aさんが訓練生時代に職場実習でお世話になっていたこともあったため、Aさんの指導担当の職員や同僚は彼の特性を理解し、パニックになった時は、同僚に一声かけて外にでることのマナーなどを教えるなどして、彼を支えました。

 

まだ、仕事に対して不完全な部分があるAさんですが、訓練で教わった技術をより応用し、対人面のコミュニケーションも少しずつ学びながら、将来の人生設計に向け、日々努力しています。

 

 

障害者職業能力開発校の注意事項

職業訓練開発校には、主に専門学校的な施設や一般の事業所での訓練、短期の職場実習の3タイプの種類があります。

 

それぞれ1年、6ヶ月、2週間以内と訓練期間が異なります。また、専門学校的な職業訓練開発校は、全国でも数が少ないので、注意が必要です。

 

 

Misudu Kukita【執筆者】

久木田みすづ 精神保健福祉士 社会福祉士

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