精神科の入院費用や役立つ制度とは?看護師&心理相談員が解説

2017.01.25公開
 
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精神科に入院する必要が出てきたときに、気になるのはやはり「お金」の問題ではないかと思います。

 

精神科といえば、長期入院する印象もあり、入院期間と入院費が気になってしまうと、不安の種がメンタルにも影響してしまいそうですよね。

 

そこで今回は、精神科の入院費の仕組みについてご説明します。

 

 

病棟によっても違う入院基本料

精神科にも、いくつか病棟の種類があります。

 

看護基準10対1(簡単に言えば、10名の患者さんに対し、1人の看護師を配置)の精神科急性期病棟での入院基本料が一番高く、看護基準が13対1、15対1、18対1、20対1となると、看護師の配置人数も減少するとともに、入院基本料も低くなります。

 

また、入院期間によっても加算が変わります。

 

特に、精神科急性期治療病棟などでは、入院日数14日以内の加算点数が高く設定されています。これは、できるだけ早期に病状を安定させ、退院させることで病院にとっても利益になるため、結果として早期退院となる仕組みです。

 

そのほかにも、点滴や内服薬、検査などの医療費、室料などがかかることになります。

 

そのため、1か月の入院で、精神急性期治療病棟に入院し、点滴などの治療を受けると、それなりの金額が請求されることになります。

 

ですが、日本の病院は、基本的には保険診療です。

 

かかった医療費は、あなたが加入している保険者(国保や社保など)に請求されますが、入院した本人に請求される医療費は、年齢や保険区分によって1割から3割の間になります。

 

精神病床の平均在院日数は、平成1年では496日だったものが、平成26年には281日まで短縮されました。それでも、280日といえば、9か月以上ですよね。

 

長期になればなるほど、入院費の自己負担はボディブローのように効いてきます。では、実際にどの程度の自己負担が必要になるのでしょうか。

 

 

精神科の入院も保険診療

うつ病や総合失調症、認知症などで精神科病棟に入院する場合にも、普通の外傷や病気と同じように保険診療となります。そのため、自分が加入している健康保険が適応になります。

 

そのため、収入に応じて異なりますが、一般的には

 

〇69歳までは医療費自己負担分は3割

〇70歳から74歳までは医療費自己負担分は2割負担

〇75歳以上では医療費自己負担分は1割

 

となります。ただ、医療費ではない食費や病衣、室料、診断書などは自己負担となるため、医療費自己負担にプラスされて請求されることになります。

 

例えば、普通の会社員の方が、初めてうつ病などで入院が必要になったとしますと、点滴やお薬などを含めた治療費の全額が約50万円かかり、少量ずつでも30日間、毎食病院食を食べたとすると

 

69歳以下では、15万円+食費(1食360円×3×30日)+雑費=18万2400円+雑費

 

となります。

 

1食の負担額も所得区分によって違ってきますが、自炊でも食費はかかるものと考えれば、一日1,080円で収まるのであれば仕方がないのかもしれません。

 

ですが、毎月の入院費がざっと見積もって18万円以上となると、休職により仕事での収入が得られなくなった場合には、精神的にも負担になってしまいますよね。そんな時に、役立つ制度が「高額療養費制度」になります。

 

 

高額療養費制度は一定額を超えた医療費が戻る制度

高額療養費制度とは、公的医療保険制度の一つで、入院費をはじめ医療機関などの窓口で支払った金額が、一定額を超えた場合に、申請を行うことでその超えた金額が戻ってくる制度のことになります。

 

手術などで高額な治療費がかかった場合や、慢性疾患で長期に入院治療が必要な患者さんにとっては、医療費負担の軽減につながる制度になります。

 

高額療養費制度も、年齢や年収などによって区分が変わってきます。特に、70歳以上であるかどうか、保険が国保か社会保険かによっても、請求方法が変わってきます。

 

70歳未満の方では、自分で社会保険に加入している方などは、自己申請して初めて適応になるため注意が必要です。

 

例えば、先ほどの例で考えますと、社会保険に加入し、年収が500万の69歳の方が、一月の治療費が50万、食費が3万2400円+雑費が入院費用として掛かったとします。

 

70歳未満の高額療養費制度は5つの区分があり、計算式があるのですが、

 

69歳で年収500万の方であれば、

 

 80,100円 +(医療費―26700円)×1%

 =80,100円 +(500,000-267,000円)×0.01=82,430円

 

つまり、高額療養費制度を使用すれば、82,430円分の医療費を支払えば良いことになるため、1か月の医療費15万円を窓口で支払ったとしても、加入している保険者に申請をすることで、大よそ3か月後には、差額の6万7570円が戻ってくることになります。

 

また、高額療養費制度は、本人の自己負担分を軽減する制度であるため、入院3か月を超えると、4か月目からは、自己負担限度額が44,000円となり、有給などもなくってしまった方にとってはとても助かる制度なのです。

 

ですが、いくつかの注意が必要です。

 

それは特に70歳未満の方に対してですが

・自分(家族などでも可)で保険者に申請を行う

・対象となる医療費は、月初めから末日まで

・食費や室料、書類雑費などは対象にならない

・入院中に加入している保険が変更した場合には新規扱いとなる

 

ということです。

 

特に、仕事を辞めて社保から国保に変えてしまうと、たとえ加入していた社保では44,000となったとしても、次の月に国保に変えてしまうと、最初の式での対応になります。これはあまり知られていませんが、要チェック情報です。

 

ですが、戻ってくるとは言え、数か月18万円以上を支払うことがつらいときには、「限度額適応認定証」が、強い味方となります。

 

 

限度額適応認定証を取り寄せる

高額療養費制度は、あくまで一度医療機関に請求額を収めた後に制度を利用することによって、限度額を超えた以上の金額が払い戻される制度です。そのため、一旦は高額の金額を準備する必要があります。

 

それに引き換え、加入している保険者にあらかじめ限度額適応認定証を申請し、医療機関に限度額適応認定証を提示することで、その月の支払いが限度額までとすることができます。

 

そのため、1月に支払う入院費の目安が付きやすくなり、入院費の不安がかなり軽減されます。

 

この制度にも、いくつかの注意が必要です。

 

・自分(家族などでも可)で保険者に申請を行う

・予め医療機関に限度額適応認定証の提示が必要

・限度額適応認定証には使用期限があるので要チェック

・対象となる医療費は、月初めから末日まで

・食費や室料、書類雑費などは対象にならない

 

などがあります。

 

70歳以下の方は、自分(あるいは家族)が申請する必要があるため、急な入院の場合には、手続きができないこともあると思います。ですが、入院後に症状が落ち着いたら保険者に連絡し、対処すれば大丈夫です。

 

 

相談室を活用しよう

医療費の支払いなどに不安を感じたら、病院にある相談室に相談してください。他にも、障がい者手当や、傷病手当、生活保護などの制度についても説明してくれます。

 

また、精神科の入院も、加入している医療保険での入院給付金の申請は可能です。

 

制度を使うためには、なんでも自分で連絡し、書類を取り寄せる必要はありますが、精神症状が安定したら、支給される給付を受け取る手続きをすることが、入院費の不安を軽減することになります。

 

 

まとめ

精神科の入院費用は、入院した病棟区分や入院日数、内服薬や点滴・検査などの治療費、室料などによって異なります。

 

ですが、治療費に関しては、高額療養費制度や限度額適応認定証を使用することで、ひと月の入院費の目安が付きやすくなります。

 

70歳未満の方は、入院が決まったらご自身が加入している保険者に連絡して、手続きを進めましょう。

 

お金の心配は、心にも影響します。病院の相談室も上手に利用して不安を軽減できるように支援してもらいましょう!

 

 

【執筆者】

村松真実 看護師・心理相談員

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