「私の障害について(疾病・障害について)」という書類は必要?必要ない?

ご自身の疾病・障害のこと、就活でどのように開示していますでしょうか?

 

その伝え方によっては、企業に伝わっていなかったり、マイナス評価になるリスクもあります。

 

そこで今回は、「私の障害について(疾病・障害について)」について、の元・神奈川県難病患者就職サポーターである中金竜次さんに詳しく教えていただきました。

 

〈インタビュアー 近藤雄太郎〉

 

>>【無料】中金竜次さんに質問できるオンライン難病就職サポートコミュニティはこちら

 

難病患者就職サポーターってどんな人がやっているの?

中金さん
今回は就職活動の際に「ご自分の障害を伝え、説明する書類」(「私の障害について」「自分の障害説明書」など様々な呼び名があります。)をご紹介したいと思います。

疾患・障害について>>PDF版はこちら 「疾患・障害について」

 

近藤
簡潔に1ページでまとまっていていいですね。

 

こういった書類は、障害者や難病の方が就職活動で通常活用しているのでしょうか?

中金さん
本来であればそれが望ましいです。

 

ただ最近、就労支援機関やハローワークの相談窓口などで、「疾病・障害について」の書類作成等の説明を聞かれていない方と何人も出会いました。

近藤
履歴書などと比べて優先順位が低いのでしょうか。
中金さん
そもそも、こういった書類作成のサポートがされていなかったり、作っていたとしても数ページにもわたっていてとても情報量が多かったり…

 

こういった状況は、6年余り携わった神奈川県の難病患者就職サポーターとしての活動の中でも散見しています。

近藤
たしかに読む量があまりに多いと企業側はつらいですね…
中金さん
もちろん、疾病・障害について整理すること自体の意義はあります。

 

しかし、整理用と事業者への提出用を分けるなどの工夫は必要だとも考えています。

 

(必要な方は、就職後に別途、詳細な書類を渡すなど)

近藤
たしかに疾病・障害の伝え方も採用評価に影響ありそうです。
中金さん
福祉職目線では当事者配慮な視点に傾きがちではありますが、履歴書や職務経歴書同様に、事業者に対する提出書類である以上、

 

・採用選考の際の事業者目線
・採用選考の場である認識やバランス

 

などは与したいものですね。

近藤
長々と書かれた文章を渡されても、人事労務や事業者が全部を読み込まない可能性も高そう…。
中金さん
一般的に、障害に関する説明資料は必ず作らなければならないものとは言われていません。

 

が、事前に説明資料を送ったり提出することで、障害のことや必要な配慮について事業者に伝えることは障害者雇用率制度での応募では可能でうまく活用する必要があります。

近藤
お互いにとってプラスになりますよね。
中金さん
そうですね。障害者雇用率制度の適用にあたって、安全配慮義務や合理的配慮という観点からも重要と言えます。

 

「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」(厚生労働省)

 

ガイドラインの中では、障害者雇用率制度や障害者雇用納付金制度の適用にあたっては、各事業主において、障害者である労働者の人数、障害種別、障害程度等を把握・確認する必要について触れられています。

 

これらの情報については、個人情報保護法をはじめとする法令等に十分留意して適正に取り扱う必要があり、プライバシーに配慮をしながら障害者本人の意に反した制度の適用等が行われないようガイドラインには記載されています。

 

また「把握・確認に当たっての禁忌事項」の項では、

 

・利用目的の達成に必要のない情報の取得を行ってはいけません
・労働者本人の意思に反して、障害者である旨の申告又は手帳の取得を強要してはいけません
・障害者である旨の申告又は手帳の取得を拒んだことにより、解雇その他の不利益な取扱いをしないようにしなければいけません。
・正当な理由無く、特定の個人を名指しして情報収集の対象としてはいけません。
・産業医等医療関係者や企業において健康情報を取り扱う者は、障害者雇用状況の報告、障害者雇用納付金の申告、障害者雇用調整金又は報奨金の申請の担当者から、労働者の障害に関する問い合わせを受けた場合、本人の同意を得ずに、情報の提供を行ってはいけません。

 

と明記されています。

 

【参考】プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン 厚生労働省

近藤
さきほどの書類は、一般雇用枠で難病患者の人が就活をする際に、病気を開示し、配慮を求めるために活用できるのでしょうか?
中金さん
そうですね。

 

私の相談経験の中でも数例、病気を開示する書類を事業者に提出した上で、一般雇用枠として就職した事例があります。

 

しかし、書類の内容は、一般雇用用にアレンジしています。

 

近藤
企業側はどんなポイントを意識しているのでしょうか?
中金さん
障害者雇用の研究発表、事例発表の中で散見されるのは(いくつかありますが、主要な点としては)、

 

①当事者に支援者がいること
②障害や疾病について説明を他者にできる準備性

 

といった点を事業者が重要視しているという意見です。

近藤
なるほど。
中金さん
また、障害者雇用促進法における合理的配慮にはケースバイケースという性質があります。

 

そのため、双方のコミュニケーションを軸にした合意形成によって個別的に「合理的配慮」が出来あがっていくんですね。

近藤
一人ひとり、配慮事項は異なりますしね。
中金さん
だからこそ、合理的配慮を求める方が「どんな配慮があると働きやすいのか」を自己決定していることが大切です。

 

と同時に、企業に求める配慮の情報を整理し、そして伝えることで合意形成を醸成していく「双方の準備性」も大切になります。

近藤
双方の準備性…なるほど。
中金さん
障害者雇用率制度での障害者採用の際には、制度や法律の側面からも「疾病・障害について」は実質、必要書類になっています。

 

ですので、履歴書・職務経歴書と同様な準備をして就活に臨まれるのが、双方にとっていいのではないかと考えます。

 

>>【無料】中金竜次さんに質問できるオンライン難病就職サポートコミュニティはこちら

シェア
ツイート
ブックマーク

中金竜次

看護師

難病患者の就労支援ネットワークONE代表・難病患者就労支援ネットワークコーディネーター

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2020年5月6日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。

関連記事