【オンラインカウンセリング】効果や活用ポイントを臨床心理士に教えてもらいました

コロナ禍でカウンセリングはどうなってるんだろう?

 

様々な領域でオンラインを活用した事例が増えてくる中、オンラインでのカウンセリングの実際や先行研究でどのような効果が示されているのか気になる…。

 

そこで今回は、オンラインカウンセリングやオンラインでマインドフルネスのワークショップを行う二人の臨床心理士にお話を伺いました。

 

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中村洸太さん(写真左):臨床心理士・精神保健福祉士。NPO法人日本オンラインカウンセリング協会理事。心療内科・精神科クリニック、大学病院でのカウンセリング・検査・研究を経て、EAP関連企業における臨床・研究や、国立大学での相談や高等学校でのスクールカウンセラーを中心に幅広い分野での活動を行う|中村さんのホームページはこちら

 

藤本志乃さん(写真右):臨床心理士・公認心理師。大学院修了後、スクールカウンセリング、東京大学医学附属病院・日本赤十字社医療センターにおいてカウンセリング業務に従事。全人的総合的腎不全医療の推進・普及を目指し、患者の精神心理面に関する臨床・研究・講演活動なども行う。2020年にカウンセリングルームLe:selfをオープン|藤本さんの詳しい情報はこちら

 

【藤本志乃さんの記事はこちら】

>>【カウンセリングの効果】8つの疑問に論文を用いて臨床心理士に答えてもらいました

 

〈進行:近藤雄太郎(Reme)〉

 

コロナ禍とオンラインカウンセリング

近藤
中村さんは日本オンラインカウンセリング協会理事でもあり、2017年にはメール・オンラインによるカウンセリングの書籍も出されていらっしゃいますね。

 

かなり前からオンラインカウンセリングに取り組まれていたのでしょうか?

中村さん
協会としての活動は1998年からなので、今でいう「ガラケー」が出てきた頃から取り組んでいました。
近藤
20年前から!?
中村さん
先取りをしていたか分かりませんが、海外赴任者や不登校・ひきこもりなど、対面でのかかわりが難しいケースにおいてオンラインカウンセリングは必要な手段だったんです。
近藤
困りごとを抱える人からのニーズがあったと。
中村さん
オンラインというと、COVID-19によるイメージが強いかもしれません。

 

しかし、アメリカでは2000年代にはアメリカ心理学会が遠隔心理学を定義して、ガイドラインが出されるなど発展していました。

近藤
なるほど。

 

中村さん自身、当時はかなりご苦労があったのでは?

中村さん
「こんなのはカウンセリングじゃない」

 

「カウンセリングとして認めない」

 

などなど、どちらかというと同業者、つまり支援者側からの批判が多かったように思います。

 

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近藤
それでもブレずに続けてこられたんですね。
中村さん
言われ慣れたところもあります。笑

 

ただそれ以上に、実際にやってみてクライアントさんからの反応から、

 

「やれることはオンラインでもたくさんある」

 

との実感があったことが大きかったですね。

近藤
コロナ禍でオンラインニーズは嫌でも高まっている状況で、カウンセラーさんもオンラインでやる人が増えているのでしょうか?
中村さん
感覚値ですが、そんなに変わっていないと思います。

 

対面、オンラインでそれぞれ特徴があって、活かし方があるはずなのですが、対面と違うからできないといった論調はまだまだ多いですね。

 

キャリアコンサルタントの方なんかは、オンラインでの支援に興味を持ってくださる人が多いような印象があります。

近藤
何がボトルネックになっているのでしょうか。
中村さん
同じ空間の中にいることの重要さがあるのは私も同感です。

 

目の前にいるからこそ作られる関係性があることや、相談者の肌感、息遣い、全⾝の動きや様⼦、動いている姿(⼊室や座り⽅など)などがオンラインでは掴みにくく、対面に比べると情報量が少ないと感じる部分はあると思います。

近藤
たしかにオンラインが万能なわけではないですもんね。
中村さん
そうですね。

 

それから、カウンセリングにおける枠の作り方にも工夫が必要になってきます。

近藤
「枠」ですか?
中村さん
例えば、対応時間や文字数、どんな相談テーマが対象なのか、有料なのか無料なのか、利用にあたってどのような約束やルールの中で運用しているのか、などですね。

 

これらが、提供する側とクライエントさんの間で認識がずれていると、期待値がずれてしまい、クライエントさんも混乱してしまったり、不要なストレスが生じて、安全な相談の場にならなくなってしまいます。

近藤
それは重要なポイントですね。

 

だからこそ、オンラインカウンセリングを先駆けてやってこられた中村さんにカウンセリングをお願いしたい人は、このコロナ禍で増えたのではないでしょうか?

中村さん
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、ZoomやSkypeなどのビデオ会議ツールを用いて相談を提供する機会も非常に増えました。

 

その意味では、相談よりも支援者側からの問い合わせが非常に増えましたね。

 

コロナ前は「オンラインカウンセリング=電話」の認識でカウンセラー側から問い合わせが多くあった状況だったのですが。笑

近藤
ある意味、電話もオンラインなのでしょうけど…。
中村さん
オンラインでのカウンセリングニーズがあっても、心理士側で経験が少ないことでニーズに応えきれていない状況もあったり。
近藤
なるほど。

 

藤本さんもオンラインでカウンセリングをやっていらっしゃるんでしょうか。

藤本さん
私の場合は、テキストよりZoomを使ってのオンラインカウンセリングが多いですね。
近藤
やってみていかがでしたか?
藤本さん
私も、今まで経験したことのないオンラインで、

 

・クライアントさんの情報をしっかりキャッチできるのか

 

・アセスメント・カウンセリングにおいて「枠」をしっかり保てるか

 

といった心配はありました。

近藤
ニーズがあるからといってすぐに飛びつけばいいわけではない側面もありますよね。
藤本さん
そうですね。

 

例えば、メールカウンセリングを行う場合は、一度お会いした人に限定するなどの工夫はしています。

 

もちろん、オンラインでの不安もありますが「オンラインでやったことない=できない」で止まるのはもったいないなと。

 

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近藤
なるほど。

 

オンラインの場合、通信環境の問題もよく指摘されてます。

 

事前にできるだけ丁寧な案内をしたり、通信トラブル時の対処法を予め把握しておかないとお互い不安ですよね。

中村さん
通信状況などで相談を止めてしまうリスクはあります。

 

もし途切れてしまったり、聞き取れなかったのであれば、しっかり接続しなおした上で、シンプルに聞き直す。

 

その上で、相談が途切れてしまったことで不安になってしまっていないかなどのアセスメントはしっかり行う必要があります。

藤本さん
電話や対面でも聞き取れないこともあるのでしょうが、オンライン特有のリスクへのケアも大切にしたいですね。
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近藤雄太郎

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  • 本記事は2020年10月11日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。