【第16話:そりゃそうだよね】〜お父さんうつ日記〜
今回は父の母、つまり私の祖母についてのお話しです。
祖母は持病があって、かれこれ10年以上も定期的に大学病院で診察を受けています。
その大学病院は祖母の家から車で1時間ほど掛かるところにあります。祖母はここ数年で急に老いが進んだので、通院には父が付き添うようになっていました。
父が、うつ病を再発して以降は、私も交代で祖母の通院の付き添いをするようになりました。
祖母は疲れるからといって、通院を嫌っていました。少し認知が弱まったこともあってか、妙にせっかちになって、順番を待つことに強いストレスを感じていたようでした。
そんな祖母との会話は同じ内容の繰り返しも多く、
「もう診察室行こうかな」
「そうだね、でもまだ順番が来てないよ」
と、5分に1回は言っていたような気がします。
もちろん、ストレスを感じていたのは祖母だけでなく、私もそうでした。
朝早く起きて、病院に向かって、長い時間待って診察をしたら、またお会計で待って、そして長い道のりを帰って……。
こんなことを月に1~2回もやってたら嫌になるだろうぁと思ってたところに、祖母が「もう行きたくない」と言ったんです。
「そりゃそうだよなぁ」と思いました。できるならそうしてあげたい、と。
ちなみにその後、主治医に祖母の家の近くの病院を紹介してもらい、今では随分通院も楽になったようです。
今思えば、当時、父が病気になっても、祖母の通院に付き添いをしていたことは、結構すごいことなんじゃないでしょうか。
私たちの家から祖母の家までは、電車で2時間半ほど掛かります。
ターミナル駅での人込みを掻き分けての乗り換えや、満員電車は父にとってとてもストレスフルだったかもしれない。
そんな中、実家に向かい、母親の通院の付き添いをするというのは、病気じゃなくてもそこそこ大変なことです。
それでも私に任せっきりにしなかったのは、きっと父がそれだけ祖母のことが好きだったからなんでしょうね。
(ちなみに私も祖母のことが大好きです。)
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【執筆】
シブ子
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- 本記事は2017年4月23日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。