「悪くない、まあまあ」なら最高。双極性障害との私なりの付き合い方【水樹さん】

現在、43歳となった私は、2年程前から症状が安定して、ありがたいことに薬もごく少量で済んでいる。

 

 

気分の浮き沈みを深く考えない

多少の浮き沈みはあるが、重大な行為は犯していない。希死念慮は消えないが、ぼちぼち生きている。

 

日々の生活の中で、「今日は気分が上がっているな、下がっているな」と感じることはある。

 

だが、それを深くは考えないようにしている。人は誰でも気分の浮き沈みはある。

 

ただ、今日起きあがって歩ければ生きていける。

 

 

仕事を人生の目的にしない

生きる上で、仕事は重要だ。

 

だが、仕事は私にとって賃金を得て生活するための手段で、人生の目的ではないと思うようにしている。

 

私は人と接することも苦手だし、事務処理能力もない。

 

やはり料理が好きだし、それしか出来ないので、半年程前からある居酒屋チェーンで調理をしている。

 

ただ、今までと違い、深く調理について考えることはないし、正社員だが出世しようとも考えていない。

 

忙しく調理したり、野菜を切ったり掃除したりを無心にすることが、一番心が落ち着く。

 

 

理不尽な人への対処法

人と接すのが苦手とはいえ、飲食店、厨房はチームで働く必要がある。

 

周りはほぼアルバイトの若者たちだ。

 

年を重ね、以前と違い、他人に寛容になった。

 

正直、若者が何を考えているか分からないことが多いが、性根がいい方ばかりなので助かっている。

 

おとなしく自己主張しないタイプなので、他人にバカにされることも多い。

 

そんな時は相手がかわいそうな人だなと思うようにしている。

 

年齢を重ね、多少は人を見る目もでてきた。

 

相手が年上でも年下でも立場が上でも、意見を受け入れ、尊重した上で、かりに理不尽な場合でも、

 

「その人はこんな考えしかできないんだな」

「こういう生き方をしてきたんだな」

 

と思うと、一時は頭にきても、冷静になれる。

 

これも自分はバカだと思っているからできるのかなと思う。

 

 

私は生きている。何事にも感謝をしたい

また病気が深刻になって仕事ができなくなったとしても、そのときはそのときだ。餓死しなければいいかな。

 

生きると決めた以上、だらしない私であるが、少しずつでも真人間になる努力をしなければ生きる意味がない。

 

善行を積むとか、金持ちになるとか、社会的に上の地位になるとかではなく、まずは自分に嘘をつかない生き方をしたい。

 

裸の自分を他人にさらけ出して、恥ずかしくないようになりたい。

 

女好きでもギャンブル好きでも酒飲みでも、「これが私です」と堂々としていたい。

 

他人にどう思われてもいい。

 

私の過去や現在を知れば、不快になったり、蔑む人も確かにいるだろう。

 

しかし私は生きている。何事にも感謝をしたい。

 

過去を振り返ると私に関わった全ての方々に迷惑をかけてきた。恩を仇で返すことばかりした。

 

これからは、朝の太陽をはじめ、全ての人、物事に感謝したい。

 

 

「悪くない、まあまあ」と思えれば最高

昔、元妻から発病後、「あなた、人間でなくなってきてるよ」と言われたことを思い出した。

 

なんともレベルの低い話だが、私は人間になりたい。

 

いろいろと目標を書き連ねたが、現在の私はバカなので、恥ずかしいことばかりしている。

 

先日も、職場で店長になんでも無いことでガミガミ言われ頭に血が上り、帰宅途中、道ばたの消火器を蹴り上げて右足の甲を捻挫した。

 

なんてバカなんだ。でも痛いのも生きている証拠だ。

 

最終目標は、出家して多くの悩んでいる方々の救いに少しでも力になれればと考えている。

 

今の私では到底無理なので、もし70歳位まで生きられれば、死ぬ1、2年前にでも出来ればいいなあと思う。

 

そして死ぬときは、布団の上で「C’est pas mal.(悪くない。まあまあ)」と思えれば最高だ。

 

 

さいごに

最後に、今回コラムを連載する機会を与えていただいたReme運営事務局の方々に感謝いたします。

 

過去を振り返り文章にすることで、今まで私は無意識に過去を忘れようとしていたことに気づきました。

 

なんとも悲惨な過去を整理することで、これから生きる勇気が改めて涌きました。

 

読者の方々は、病で悩んでいる方も多いと思いますが、最低な奴だなとか、自分よりひどい奴がいるなとか思って笑っていただければ幸いです。

 

参考にはなにもならないと思いますけど。批判でもいいので、感想を送っていただけたらうれしいです(感想はこちら)。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

【書いた人】水樹 さん

 

水樹さんの連載一覧

【Part 1】28歳で大うつ病と診断。料理人のキャリアが一転し何もかも失った

【Part 2】小さなハートマークに心躍った…何でも話ができた最初で最後の人へ

【Part 3】「悪くない、まあまあ」なら最高。双極性障害との私なりの付き合い方

 

 

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  • 本記事は2018年7月13日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。