父が3度目のうつ病を再発…引き金となった出来事【クローバー さん第7回】
わたしは社会人になり、10年ほどで自分自身はいろいろな変化がありましたが、家族としては、父の病気も落ち着いていたことで、平穏な日々が続いていました。
しかし、その状況も、あるときから一変してしまいます。
「お父さん、またうつ病になっちゃったよ」
それは、2015年の3月初旬でした。
前回、わたしは3回転職したとお話しましたが、実は初めての転職を決意し、両親に話した2週間後のことです。
母から、1本の電話がありました。
「お父さんが、またうつ病になっちゃったよ…青天の霹靂とはこのことを言うんだね…」、と。
わたしは、まったく予想もしていない事態に気が動転しました。
家族がみんな、父のうつ病はもう治ったものだと思い込んでいました。父はもう病気を乗り越えたものだと思っていました。
うつ病再発…一番の引き金は?
詳しく話を聞くと、数ヶ月間、父の仕事はかなり忙しい状況だったようでした。
うつ病を再発した一番の引き金は、父が誇りを持って取り組んでいた仕事にミスが発覚し、会社に損害を与えてしまったことでした。
会社に損害を与えたということを分かってからの父は、食事もとれず、眠れなくなり、会話も一切せず、笑わなくなってしまったと、母から聞きました。
「これはまずい」、と母が感じ、その状態になって1週間後、10年前に通院していたクリニックに行きました。
うつ病の診断が下り、3ヶ月の休職となりました。
本当にショックでしたし、人のメンタルを支えたいと思った自分が、なぜ気付けなかったのだろう…と後悔しました。自分の無力さを痛感しました。
3度目の療養生活。母を支える決意
3度目の療養生活に入りますが、このときも徒歩10分の実家で休むことになりました。
このタイミングで、都内の大学に通っていた弟が、地元で働くことになったため、暮らしが変わるのは父にとってストレスになるのではないかという叔父の配慮でした。
また、母は、祖母の介護が重なってきた時期だったため、この形をとってもらえたことはありがたいと言っていました。
つくづく、「周りに恵まれたな」とこのときは思いました。
10年前とは違う再発への不安
しかし、10年以上ぶりの再発ということで、母には、今後の生活の不安、特にお金のこと、日々の悩み…など、50歳半ばを迎えたからこそ、前とは違う不安がのしかかっていました。
生活にまつわる現実的な悩みが、わたしも大人になって理解できるようになったので、
そして、わたしも、離れているからこそ心配していました。
「父は本当に休めているのか…」
「母はどんな気持ちなのか…」
「弟に負荷はかかっていないか…」
「わたしは実家に帰って家族を支えるべきなのか…」
「そもそもなぜ気づけなかったのか…」
など、ぐるぐると悩みました。
ですが、
「今できるのはやっぱり母を支えることだけだ。」
「話を聴いて、母が少しでも元気でいられるように、母を孤立させないようにすることが、一番必要なことなのではないか。」
と、ふと思いました。
中学時代と同じですが、大人になったいまだからこそ、強くそれを感じました。離れている分、冷静に見られるようにもなりました。
それを決意してからは、なるべくメールや電話でこまめに話をして、母が溜め込まないように話をすることを心掛けています。
私の転職も再発の原因だった?
正直、3度目のうつ病のきっかけには、私の転職も原因としてあるかもしれない…と自分を責めた時期もありました。
なぜなら、両親ともにわたしの転職に反対していたからです。
父は自分が転職によって、15年前にうつ病になってしまったため、「どうしても応援できない」「茨の道をたどってほしくない」、と言っていました。
しかし、わたしは自分の人生を歩むために、決断しました。
奇しくも、その1週間後に父は病気になってしまいました。
自分なりに家族を想いながら生きる
でも、やはり自分の人生は自分の人生です。
ただ、わたしは、家族があってこその自分だと思っていますので、自分なりに家族を想いながら、生きていけばいいんじゃないかと今は思っています。
離れているけれど、母を支えながら、父の様子を聞き、わたしにできる支えをする。
父の病気に気づけなかった後悔もありますが、家族だけでは防げなかったことなので、今できることをやろうと思うようになりました。
また、大人になったからこそ、わたしという大人に対して母も打ち明けられる話もある。
そう思って、3度目の父の病気と向き合うこととなりました。
残り2回の連載は、15年前との闘病生活の違い、現実的な悩みなど、お話していきたいと思います。
ペンネーム:クローバーさん
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- 本記事は2017年8月27日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。