【臨床心理士解説】機能不全家族を克服するには?連鎖を断ち切る3つの視点とは?
親の力というものは何歳になっても子どもにとっては大きく、残念ながら子どもの力だけで親を変えようとすることはとても難しいことです。
しかし、機能不全家族の影響を最小限にコントロールする工夫や、連鎖を断ち切って生きていくことで自分自身を守りながら自分らしく生きていくことは十分可能です。
そこで今回は、臨床心理士に機能不全家族の影響を克服し、連鎖を断ち切っていくためのポイントについて解説いただきました。
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機能不全家族を克服するには?連鎖を断ち切るには?
家族以外の場所に居場所を見つける
家族以外の場所に居場所があると、心理的に家族から距離を置くことができます。
家族の前では自分らしさを出せなくても、別の場所でなら自分を出せることもあり、機能不全家族に心を飲み込まれてしまうことから守ってくれます。いわば、心の避難所です。
心の避難所となる場所は年齢によって変わってきますが、例えば学生であれば学校、部活、友達の家や友達と集まる場所などがあります。
もう少し行動範囲が広がれば、図書館やカフェ、アルバイト先や職場等があります。
居場所として自分に合っているかどうかの目安として以下のポイントがあります。
■息苦しさやモヤモヤを感じない
■後ろめたさや周りからの視線を気にせずにいられる
■自然と笑顔になれる
■穏やかな気持ちで話せる相手がいる
ここで気を付けていただきたいのは、ネットの中に居場所を見つけるときです。
顔を知らない相手だからこそ安心して話せることもありますが、自宅からアクセスしている場合、その時間を家族から妨害されてしまう可能性もあります。
そんな時は、インターネットカフェなど家族の邪魔が入りにくい場所からアクセスすることをおすすめします。
家族と物理的な距離をとる
まだ幼い子どもの時は一人で生きていくことが難しく、どうしても家族と一緒に生活しなくてはいけない状況となってしまいますが、大人になってしまえば話は違ってきます。
幸い、今は成人年齢の引き下げで18歳以上から成人として認められますので、自分の力でできることも多くなってきます。
進学や就職などで家を出る機会が得られそうなら、ぜひ一人暮らしやルームシェアといった方法で家族とは物理的な距離をとりながら生活することを検討してみてください。
まだ家を出ることが難しい年齢ならば、いつか来るチャンスのために食事の用意をはじめとした家事や、お金の管理などの勉強を今から始めておいてもいいかもしれません。
物理的に距離があれば、安心して静かに過ごせる時間が格段に増えます。
また、両親からの干渉の手段も電話や訪問などに限られてきますので、一緒に生活している時と比べて、逃げることや、心の準備をする余裕ができます。
専門家の力を借りる
機能不全家族の中で育った子どもにとって難しいのは、両親が自分に与えている影響がどれほどあるかに気が付くことです。
これは自分の顔や後姿が、鏡を見ないと自分では分からないのと似ています。
鏡で見て分かるから身なりを整えたり体のチェックをしたりができるように、機能不全家族を克服・連鎖を断ち切るにも自分の内面を知っていくことは大切なことです。
自分の内面を見つめ、機能不全家族を克服するには、心の専門家の力を借りるのがおすすめです。
「話したって何も変わらない」
と思うかもしれませんが、はっきりと言葉にして話すことで今までの出来事や自分自身の気持ちを整理することができ、その上で専門家にアドバイスをもらうことで自分一人では気づけなかった突破口をみつけられることもあります。
また、継続して専門家に関わってもらうことで、何かあったときにすぐに話ができるという安心感も得られます。
心の専門家には様々な人がいますが、特に「臨床心理士」「公認心理師」と呼ばれる専門家がおすすめです。
専門家に出会うには以下の方法があります。
■学校
通学しているならば、学校のスクールカウンセラーの心の専門家です。直接スクールカウンセラーと会う機会が無ければ、担任の先生や保健室の先生(養護教員)に「スクールカウンセラーと話がしてみたい」と伝えるとスクールカウンセラーにつなげてもらえるかもしれません。
また、大学生の場合は大学内の保健センターや心の相談室などにカウンセラーが配置されていることが多いです。
■精神科
全ての精神科にカウンセラーがいるわけではないので、受診前に事前にホームぺージを閲覧するか、電話で確認をしてみてください。
■カウンセリングルーム
個人で開業しているところや、沢山のカウンセラーが在籍しているカウンセリングルームなど形態は様々です。インターネットで「カウンセリングルーム ○○(地名)」と検索すると、近隣のカウンセリングルームが見つかります。
カウンセリングルームは場所によって料金に違いがありますので、費用の面も忘れずに確認してみてください。
■オンライン相談室(SNS、アプリ、メールなども)
直接会いに行く必要が無いのがオンライン形式の相談室の特徴です。
外出が難しい場合や、直接人と会うことに抵抗があるときも安心して受けることができます。また、自分に合った専門家に住んでいる場所を問わず出会えるメリットもあります。
さらに最近ではツイッターやライン、メールなどを使ったものもありますので、自分に合った方法で専門家に相談することができます。
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【参考・引用文献リスト】
〇西尾和美(1999):機能不全家族 「親」になり切れない親たち、講談社
〇岸見一郎、古賀史健(2013):嫌われる勇気、ダイヤモンド社
【参考ホームページ】
〇子供虐待防止オレンジリボン運動(2022)
子ども虐待とは
https://www.orangeribbon.jp/about/child/abuse.php
(2022年8月10日閲覧)
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- 本記事は2022年9月19日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。