
【臨床心理士解説】機能不全家族で引きこもりやうつ病に…日常生活のヒントや医療にかかるタイミング
機能不全家族の中で育ったことで社会に積極的に出ていくことができなくなったり、人と関わるのが怖くなったりすることもあります。
その結果として家の中に引きこもってしまうことや、時にはうつ病や不安障害などになってしまうこともあります。
そこで今回は、普段から心を守りながら前向きな日常を送っていくためにできることと、病院への受診を検討するポイントを臨床心理士に解説いただきました。
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機能不全家族で引きこもりやうつ病に…どうすれば?
リラックス・リフレッシュできる自分なりの方法を見つける
毎日常に緊張状態にあると、心も体も疲れてしまい、前を向く元気もなくなってしまいます。
一日に一回でもいいので、自分にあったリラックス・リフレッシュ法を見つけてみてください。
例えば
・お気に入りの香りのハーブティーを飲む
・ゆっくり温かい湯船につかる
・好きな音楽を聴く
・趣味に没頭する
・散歩やランニングをする
・ストレッチやヨガをする
・カラオケで大声で歌う
・スポーツを習う
・サウナに行く
といったことがあります。
また、お気に入りのハーブティーを見つけたところで、自宅で飲んでいても家族の存在に気持ちが落ち込む、という場合にはあえて散歩やスポーツを習うなどの外出できることを試してみてもいいかもしれません。
適度な運動で程よく体を疲れさせると意外と頭や心がすっきりして気持ちよくなることもあります。
逆に、毎日慌ただしく時間が過ぎていき身も心もすり減っている、という場合には毎日お風呂に入るときだけは静かにゆっくり湯船に入って15分くらいはボーっとする時間を作る、というものいいかもしれません。
どんなことがリラックス・リフレッシュになるかは個人差がありますので、色々試して自分に合ったものを見つけることをおすすめします。
「私とあなたは別々の人間」という距離感を意識する
「私とあなたは別々の人間」と聞くと当たり前のことだと感じるかもしれませんが、機能不全家族の中で育っていると、感覚としてこの距離感があいまいになっていることがあります。
相手の機嫌に敏感になって、機嫌が悪そうなときに自分から相手のご機嫌取りをするような言動をとってしまったり、びくびくしてしまったりすることで人と関わることに疲れてしまっているケースも少なくありません。
機嫌が悪い相手に対して、
「私が何か余計なことしたかな」
「嫌われたかもしれない、どうしよう」
とソワソワしてしまう時には、相手との距離感を意識してみることで気持ちが少し楽になることがあります。
考え方や行動のコツとしては、
・相手の機嫌が悪くてもそれは自分とは関係がなく、相手の問題だと「放っておく」
・八つ当たりされそうなら早めにその場所から離れる
・機嫌が治るまでは極力話しかけない
といったものがあります。
他にも、相手との間に分厚く透明なガラスがあることをイメージして心理的に距離を置く方法もあります。
家族に期待しない
期待しない、というとネガティブな印象を感じるかもしれませんが、家族に対して
「本当はこうしてほしかった」
「どうしてあの時こうしてくれなかったの」
と思えば思うほど過去に囚われ、前を向けなくなっています。
自分のこれからの人生を豊かにすることを考えるならば、家族に対して一種の諦めをもって見切りをつけるのも前を向くのに効果的なことがあります。
家族への想いや悩みは一旦置いておいて、
「これからを生きていくために今自分に必要なものは何か」
ということを考えてみてください。
そうすると、例えば仕事をして収入を得て家を出たい、とか、友達と楽しく遊びたい、一人旅に出てみよう、といった前向きな欲求が生まれてくるかもしれません。
「家族だから」と自分の人生を縛る必要は全くないのです。
医療にかかるタイミング
昼夜が逆転している、もしくは眠れない
朝起きて夜眠る、という基本的な生活リズムがうまくいかないときは、医療にかかることを検討する目安になります。
昼夜が逆転していたり、夜に眠れなかったり、または眠れるけれども夜中に何度も起きてしまって寝た気がしない、といった場合は、一旦そのリズムを自分で整えようと試してみてください。
例えば、
・朝起きて日の光を浴びる(できれば朝9時までに15~30分程度)
・昼間に散歩など軽い運動をする
・カフェインの入った飲み物は午前中までにする
・夕方以降ゆっくり温かい湯船につかる
・夜20時以降はスマホ・パソコンの画面を見ない
・夜23時までに部屋を暗くする(真っ暗でなく、間接照明などでもいい)
といったことをしばらく試してみて、それでも改善する気配がない場合は内科・心療内科・精神科などの受診をおすすめします。
動悸や息苦しさ、手の震えなどを感じる
日常生活の中で特に激しい運動をしたわけでもないのに動悸や息苦しさを感じたり、何か特定のことを考えると手や体が震える、といった場合にも受診をおすすめします。
例えば、
・電車に乗っていると急に閉じ込められたような気持になって恐怖を感じて息苦しくなる
・職場で仕事をしようとしたり、来客にお茶をだそうとしたりすると手がどうしても震える
・(外出先で)帰宅することを考えたら動悸がする
・親のことを考えると胸が激しくドキドキして苦しい
などといったことです。
急に涙が出てくる、漠然と悲しくなったり焦燥感を感じて日常生活や仕事に支障が出ている
悲しい話を聞いたわけでも、涙を誘うような映画を見たわけでもなく、急に悲しくなったり、時には涙がでたりする場合や、特に焦らなくてはいけないものはないはずなのに焦燥感ばかりが大きくなって辛いという場合、心がSOSを出しています。
また、誰かと一緒にいるときや仕事をしているときにそのような状態になってしまうと普段の生活にも支障がでてしまって困ることもあります。
ぜひとも医療にかかることを検討してみてください。
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【参考・引用文献リスト】
〇西尾和美(1999):機能不全家族 「親」になり切れない親たち、講談社
〇岸見一郎、古賀史健(2013):嫌われる勇気、ダイヤモンド社
【参考ホームページ】
〇子供虐待防止オレンジリボン運動(2022)
子ども虐待とは
https://www.orangeribbon.jp/about/child/abuse.php
(2022年8月10日閲覧)
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2022年9月21日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。