アルコール依存症の子供への影響…我が家での3つの対処法【プリームみどりさん】

2018.05.28公開 2018.06.01更新
 
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父親(母親)が酒ばかり飲んでいては、子どもに悪い影響があるのでは…、子どもの将来が心配だ…

 

そう悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

私自身も、息子への影響をとても心配していた一人です。

 

我が家は、2007年生まれの一人息子がいる3人家族。

 

義理の両親はすでに他界しており、パートナーは一人っ子。

 

日本にいる私の両親とは滅多に会えませんから、典型的な核家族です。

 

狭い閉ざされた環境の中で、子どもへの悪影響が怖くて、

 

「家庭内からお酒の問題をなくさなければ」

「パートナーに自覚させて、お酒をやめてもらわなければ」

 

と、躍起になっていました。

 

しかし、子どもたちは、父親(母親)のお酒だけに影響を受けるわけではありません。

 

 

家族の病気とも呼ばれるからこそ

アルコール依存症は、家族の病気とも呼ばれます。

 

依存症でない方の親も、不安から混乱し、感情的に不安定になっています。

 

私の不安定な精神状態も少なからず、息子に影響を与えていたはず。

 

アルコール依存症は、大人でもなかなか理解するのが難しい病気です。

 

子どもなら尚更のこと。

 

口にはしなくても、不安に怯え傷ついているかも知れません。

 

子どもには安心してのびのびと育ってほしい。親なら当然の願いです。

 

では、アルコール依存症の問題を抱える家庭で、私たち親は子どものために何ができるのでしょうか。

 

 

「パパ死んじゃえばいいのに」

当時6歳だった息子が放ったこの「パパ死んじゃえばいいのに」の一言が、それまでただ途方にくれていた私に、具体的な行動を起こさせました。

 

2014年の春のことです。

 

すでにその数年前から、アルコール依存症の問題は家庭内に現れていましたが、酔っ払うのが夜遅かったため、息子はその場を目撃せずに済んでいました。

 

しかし、しだいに酔っ払う時間が早くなるにつれ、息子も、父親がまともに歩けない姿や、大声でわめくのを目にするようになりました。

 

そのうち、息子も父親に怒鳴り返したり、クッションでぶったりと、怒りをあらわにするようになりました。

 

当時の私は、決して子どもにとって良い状況ではないと思いつつも、何をどうしたら良いのか分からず、途方にくれていました。

 

そんなある晩、酔っ払って大声でわめき散らした後、ソファでつぶれていたパートナーが、失禁しているのに気づいてびっくりしました。

 

最初は着替えさせようと奮闘していたものの、酔いつぶれた大の男を着替えさせるなんて、到底無理。

 

結局、半裸状態のまま、ソファに放っておくしかありませんでした。

 

とても情けなく惨めな気持ちになって、涙が止まらなかった時に、息子が呟いた一言を聞いて

 

「このままでは私も、家族もダメになってしまう。なんとかしなくては。」

 

と決意したのでした。

 

 

家族が自分を取り戻すことが先決

私は、自助グループ(アラノン)に定期的に通うようになり、本やインターネットでもアルコール依存症について学び、自分の状態を良くすることに力を注ぎました。

 

そして、落ち着きを取り戻し心に余裕ができるにつれ、息子も少しずつ落ち着いていきました。

 

子どもへの影響という点においても、アルコール依存症患者をどうにかしようとするより、依存症でない方の親が自分を取り戻すことの方が、先決かつ大事だと感じています。

 

 

子どもへの3つの影響と要因

では、アルコール依存症の問題が子どもに与える影響として、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

混乱し、自信が育まれにくく

アルコール依存症の親は、酔っている時としらふの時では、言うこともやることも違います。

 

依存症ではない方の親も、感情的にいつも不安定なため、子どもへの対応にも一貫性がありません。

 

そのため、子どもは混乱し、自分のやることに対していつも自信がなく不安を感じます。

 

人の言葉が信じられなくなる

アルコール依存症の親は、言ったことを忘れていたり、酔っ払って約束を破ったりします。

 

また、その場を取り繕ったり、お酒を飲ませまいと脅したりと、家族の言葉にも嘘があることが多いのです。

 

言葉の信頼性が失われた家庭で育つ子は、人の言葉を信じられなくなります。

 

感情を表に出さなくなる

両親のケンカや、泥酔時の怪我や事故などを何度も見るうちに、徐々に感情的に鈍感になってきます。

 

普通なら、不安や恐怖、恥ずかしさを感じる状況でも、何事もないように対処する術を身につけ、感情を表に出さなくなります。

 

その結果、親しい人間関係を作りにくくなることがあります。

 

 

自分を好きになれない

アルコール依存症の親は、まるで子どもよりお酒の方が大事なように見えます。

 

また依存症でない方の親も、飲酒を見張ったり、飲酒による問題の後始末で精一杯であることが多いため、子どもは両親から無条件に愛されていると感じられません。

 

そして、自分を好きになれず、自分は価値がない存在だと感じます。

 

 

私が実践した子どもへの接し方

とはいえ、家庭内にアルコール依存症の問題があるからといって、将来必ず精神的な問題を抱えると決めつけ、絶望する必要はありません。

 

あなたが適切な対処をすることで、子どもへの影響を少なくすることは可能だからです。

 

ここでは、そのための対処法を3つ挙げたいと思います。

 

子どもに正直に事実を伝える

まずは、子どもには正直に事実を話しましょう。

 

病気のことを、子どもが理解できる言葉で話してあげてください。

 

お酒を飲むと人が違ったようになったり、約束を守らないのは、子どもがかわいくないからではなく、病気のせいだと教えてあげましょう。

 

これだけで、子どもは随分と救われるのではないでしょうか。

 

私も息子には正直に話しました。

 

パパは、自分ではお酒を止められない病気であること。大声でわめいたり、変になるのは、病気のせいであること。だから本人は覚えていないこと。

 

ママはお酒を止めてほしいと思っているけれど、それにはパパが病気を治したいと思う必要があること。

 

ママはどうしたらいいのか考えるために、話し合いに行っていることなど。

 

私が息子に病気について正直に話した一番の理由は、パパが私たちを嫌いになったとか、どうでもよくなったと、誤解して欲しくなかったからです。

 

親が問題を隠しているつもりでも、子どもは敏感に感じ取ります。

 

子どもが勝手に誤解をして、不必要に傷つくのは避けたいですね。

 

こんな話をしても子どもは分からないに決まっている、と決めつけないで下さい。

 

内容をすべて理解出来なくても、あなたが子どもを信頼して、正直に話しているかどうかは、子どもにはちゃんと伝わります。

 

子どもを大事に思っていることを伝える

対処法の2つめは、子どもを大事に思っていることを、言葉と態度で繰り返し伝えること。

 

親からすると、子どもを愛しているなんて当然すぎて、わざわざ伝える必要がないだろうと思うかも知れませんが、やりすぎる心配はありません。

 

子どもを抱きしめて、話を聴いてあげる時間を作って下さい。

 

甘えさせてあげて、甘えていいんだと知らせてあげて下さい。

 

もし今まで、十分にかまってあげられず、悲しい思いをさせていたと感じたら、

 

それは病気に巻き込まれて気持ちに余裕がなかったのだと、率直に謝りましょう。

 

また、子どもはなぜか、家庭内の問題を自分のせいだと考えてしまうことがあります。

 

そして、その問題をなんとかしようと頑張るものの、解決できない自分の無力さを責めてしまいがちです。

 

ですから、

 

・問題は子どものせいではないこと

・問題を自分がなんとかしなくてはと思う必要はないこと

 

も話してあげて下さいね。

 

子どもはそのままでかけがえのない存在であることを、何度でも伝えてあげて下さい。

 

子どもの声を否定せず聴く

対処法3つめは、子どもの立場を尊重することです。

 

アルコール依存症という病気に散々振りまわされてきたあなたは、アルコール依存症のパートナーに対して、強い怒りや恨みを持っているかも知れません。

 

もしかしたら子どもも同じように、父親(母親)に腹を立てているかも知れませんが、それでも子どもにとっては大事な親なのです。

 

怒りの感情は二次感情なので、その前には悲しみや寂しさ、不安や落胆などの感情があるはず。

 

なので、根底に愛情があってこその怒りの感情なのですね。(それはあなた自身にも当てはまります。)

 

だから、子どもを愚痴のはけ口や聞き役にしてはいけませんし、子どもを自分の味方に引き込むのも止めましょう。

 

親子と言えども、違う人間。子どもには子どもの感情があるのです。

 

子どもの気持ちを否定せずに、感じていること、望んでいることを聴いてあげて下さい。

 

また、お酒を飲んでばかりのパートナーに絶望した母親(父親)が、この子にはしっかり育ってもらわねばと、子どもに多大な期待をかける場合もあります。

 

子どもの人生を、自分の理想どおりにコントロールしようとするのは、子どもを苦しめるばかりです。

 

子どもの人生ではなく、まずは自分の人生に集中しましょう。

 

 

さいごに

子どもへの悪影響が心配で、アルコール依存症のパートナーを憎らしく思っている方もいるでしょう。

 

私自身もそういう時期がありました。

 

けれど、息子に対して正直で率直なコミュニケーションを心がけるうちに、息子は父親に腹を立てながらも父親のことが大好きなのだと分かりました。

 

私より寛大で心の優しい息子の言葉に、母親の私が反対に気づかされたり、励まされることも多いです。

 

まずは、あなたが病気について正しく理解することが大事です。

 

そして、自分自身を大切にし、自分の回復のためにできることをやっていく。

 

お酒の問題がまだそこにあったとしても、子どもはそんなあなたの態度に安心するものです。

 

心の基地であるお母さんに笑顔が戻れば、子どもにも笑顔が戻ってきますから。

 

>>最終回

 


profile photo2プリームみどり

ベルギー在住。夫がアルコール依存症になり家庭崩壊の危機に直面するが、 病気について学び自分自身を取り戻す。 自身のブログ「私から始めよう」では、周りに振り回されずに、 幸せに生きるためのメッセージを発信している。

blog: https://ameblo.jp/beyouandshine/

 

プリームみどりさんの連載一覧

【Part 1】夫がアルコール依存症に…私が自分の人生を取り戻すまで

【Part 2】アルコール依存症で家族が崩壊…家族を救った3つのきっかけとは?

【Part 3】アルコール依存症患者の家族として実践した3つの接し方とは?

【Part 4】アルコール依存症患者の家族向け支援!活用できた3つの支援とは?

【Part 5】アルコール依存症患者の家族の相談先って?私のおすすめ3選

【Part 6】アルコール依存症の子供への影響…我が家での3つの対処法

【Part 7】アルコール依存症患者の家族がうつを予防する3つの心がけとは?

 

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