【アルコール依存症家族】子供への3つの影響と子供への伝え方のコツ【体験談】

2018.05.28公開 2020.05.13更新

子どもへの3つの影響と要因

では、アルコール依存症の問題が子どもに与える影響として、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

混乱し、自信が育まれにくく

アルコール依存症の親は、酔っている時としらふの時では、言うこともやることも違います。

 

依存症ではない方の親も、感情的にいつも不安定なため、子どもへの対応にも一貫性がありません。

 

そのため、子どもは混乱し、自分のやることに対していつも自信がなく不安を感じます。

 

人の言葉が信じられなくなる

アルコール依存症の親は、言ったことを忘れていたり、酔っ払って約束を破ったりします。

 

また、その場を取り繕ったり、お酒を飲ませまいと脅したりと、家族の言葉にも嘘があることが多いのです。

 

言葉の信頼性が失われた家庭で育つ子は、人の言葉を信じられなくなります。

 

感情を表に出さなくなる

両親のケンカや、泥酔時の怪我や事故などを何度も見るうちに、徐々に感情的に鈍感になってきます。

 

普通なら、不安や恐怖、恥ずかしさを感じる状況でも、何事もないように対処する術を身につけ、感情を表に出さなくなります。

 

その結果、親しい人間関係を作りにくくなることがあります。

 

 

自分を好きになれない

アルコール依存症の親は、まるで子どもよりお酒の方が大事なように見えます。

 

また依存症でない方の親も、飲酒を見張ったり、飲酒による問題の後始末で精一杯であることが多いため、子どもは両親から無条件に愛されていると感じられません。

 

そして、自分を好きになれず、自分は価値がない存在だと感じます。

 

 

私が実践した子どもへの接し方

とはいえ、家庭内にアルコール依存症の問題があるからといって、将来必ず精神的な問題を抱えると決めつけ、絶望する必要はありません。

 

あなたが適切な対処をすることで、子どもへの影響を少なくすることは可能だからです。

 

ここでは、そのための対処法を3つ挙げたいと思います。

 

子どもに正直に事実を伝える

まずは、子どもには正直に事実を話しましょう。

 

病気のことを、子どもが理解できる言葉で話してあげてください。

 

お酒を飲むと人が違ったようになったり、約束を守らないのは、子どもがかわいくないからではなく、病気のせいだと教えてあげましょう。

 

これだけで、子どもは随分と救われるのではないでしょうか。

 

私も息子には正直に話しました。

 

パパは、自分ではお酒を止められない病気であること。大声でわめいたり、変になるのは、病気のせいであること。だから本人は覚えていないこと。

 

ママはお酒を止めてほしいと思っているけれど、それにはパパが病気を治したいと思う必要があること。

 

ママはどうしたらいいのか考えるために、話し合いに行っていることなど。

 

私が息子に病気について正直に話した一番の理由は、パパが私たちを嫌いになったとか、どうでもよくなったと、誤解して欲しくなかったからです。

 

親が問題を隠しているつもりでも、子どもは敏感に感じ取ります。

 

子どもが勝手に誤解をして、不必要に傷つくのは避けたいですね。

 

こんな話をしても子どもは分からないに決まっている、と決めつけないで下さい。

 

内容をすべて理解出来なくても、あなたが子どもを信頼して、正直に話しているかどうかは、子どもにはちゃんと伝わります。

 

子どもを大事に思っていることを伝える

対処法の2つめは、子どもを大事に思っていることを、言葉と態度で繰り返し伝えること。

 

親からすると、子どもを愛しているなんて当然すぎて、わざわざ伝える必要がないだろうと思うかも知れませんが、やりすぎる心配はありません。

 

子どもを抱きしめて、話を聴いてあげる時間を作って下さい。

 

甘えさせてあげて、甘えていいんだと知らせてあげて下さい。

 

もし今まで、十分にかまってあげられず、悲しい思いをさせていたと感じたら、

 

それは病気に巻き込まれて気持ちに余裕がなかったのだと、率直に謝りましょう。

 

また、子どもはなぜか、家庭内の問題を自分のせいだと考えてしまうことがあります。

 

そして、その問題をなんとかしようと頑張るものの、解決できない自分の無力さを責めてしまいがちです。

 

ですから、

 

・問題は子どものせいではないこと

・問題を自分がなんとかしなくてはと思う必要はないこと

 

も話してあげて下さいね。

 

子どもはそのままでかけがえのない存在であることを、何度でも伝えてあげて下さい。

 

子どもの声を否定せず聴く

対処法3つめは、子どもの立場を尊重することです。

 

アルコール依存症という病気に散々振りまわされてきたあなたは、アルコール依存症のパートナーに対して、強い怒りや恨みを持っているかも知れません。

 

もしかしたら子どもも同じように、父親(母親)に腹を立てているかも知れませんが、それでも子どもにとっては大事な親なのです。

 

怒りの感情は二次感情なので、その前には悲しみや寂しさ、不安や落胆などの感情があるはず。

 

なので、根底に愛情があってこその怒りの感情なのですね。(それはあなた自身にも当てはまります。)

 

だから、子どもを愚痴のはけ口や聞き役にしてはいけませんし、子どもを自分の味方に引き込むのも止めましょう。

 

親子と言えども、違う人間。子どもには子どもの感情があるのです。

 

子どもの気持ちを否定せずに、感じていること、望んでいることを聴いてあげて下さい。

 

また、お酒を飲んでばかりのパートナーに絶望した母親(父親)が、この子にはしっかり育ってもらわねばと、子どもに多大な期待をかける場合もあります。

 

子どもの人生を、自分の理想どおりにコントロールしようとするのは、子どもを苦しめるばかりです。

 

子どもの人生ではなく、まずは自分の人生に集中しましょう。

 

 

さいごに

子どもへの悪影響が心配で、アルコール依存症のパートナーを憎らしく思っている方もいるでしょう。

 

私自身もそういう時期がありました。

 

けれど、息子に対して正直で率直なコミュニケーションを心がけるうちに、息子は父親に腹を立てながらも父親のことが大好きなのだと分かりました。

 

私より寛大で心の優しい息子の言葉に、母親の私が反対に気づかされたり、励まされることも多いです。

 

まずは、あなたが病気について正しく理解することが大事です。

 

そして、自分自身を大切にし、自分の回復のためにできることをやっていく。

 

お酒の問題がまだそこにあったとしても、子どもはそんなあなたの態度に安心するものです。

 

心の基地であるお母さんに笑顔が戻れば、子どもにも笑顔が戻ってきますから。

 

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プリームみどり

ベルギー在住。夫がアルコール依存症になり家庭崩壊の危機に直面するが、 病気について学び自分自身を取り戻す。 自身のブログ「私から始めよう」では、周りに振り回されずに、 幸せに生きるためのメッセージを発信している。>>blog

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年5月28日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。