自己顕示欲が強い3つの原因・克服法・周囲の対処法は?臨床心理士が解説

2019.01.22公開 2019.05.16更新

自己顕示欲が強くなる3つの原因

自己顕示欲とは誰もが持つ欲求でもあるのに、人によってその程度が違うのは何故なのでしょうか。

 

その理由について考えてみましょう。

 

承認欲求が強い

自分のことを過剰にアピールする背景には、それだけ自分のことを「認めてもらいたい」という思いが強くあります。

 

その中には、幼いころに自分を認めてもらった経験が少ない人々もいます。

 

幼いころの経験を大人になってから補うのは難しい場合も多く、だからこそ、より強く承認を求めてしまうのです。

 

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他者に与える印象を操作したい(よく見せたい)

対人場面において、自分の言動をコントロールして他者に「自分を見せたいように見せる」ことを「自己呈示」と言います。

 

自己顕示欲が強い人の中には自己呈示を得意とする人が多く、自分のことを演出しようとする傾向もあります。

 

「今の私のままでいい」という感覚の希薄さ

また、自分の価値を感じることが難しく、ありのままの自分を受け入れることが困難な場合もあります。

 

しかしそのままでは心のバランスを保つことが難しいため、必要以上に自分のことを発信して自分の価値を補強しようとするようです。

 

 

強い自己顕示欲を治すには?

強すぎる自己顕示欲をクールダウンさせるには、自分中心の視点から脱却することが有効です。

 

そのためには、他者の存在を適度に意識したり、欲求に捕らわれすぎないよう心がけることが大切です。

 

人の話は3、自分の話は1

自己顕示欲が強い人の中には、自分が話題の中心にいたいと感じる人もいるようです。

 

しかし、人の話を聞き続けるのは体力が要るもの。

 

対人場面では、例えば、

「人の話と自分の話とが3:1くらいの割合となるよう気を付けてみる」

といった具合に、話の聞き手にまわることを意識してみましょう。

 

自分を俯瞰するクセをつける

自分のことを発信したい気持ちをコントロールするためには、そういった気持ちが湧いている自分に気が付く必要があります。

 

欲求が湧きおこっているときは、自分について「こう感じているなぁ」と意識的に俯瞰しようとする(客観的に見ようとする)ことで、欲求に没入してしまうことを防ぐことが出来ます。

 

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6秒間ルール

怒り感情のコントロールの方法に「6秒間ルール」というものがあります。

 

カッとなって怒りの感情を爆発させたくなったときに、アドレナリン分泌のピークである6秒間を我慢してみる、というものです。

 

最初の6秒間をやり過ごせば、その後は少しずつ冷静さを取り戻すことが出来ると言われています。

 

このことは、自己顕示欲を抑えることにも応用できるように思います。

 

自分のことをアピールしたくなったら、まずは6秒間我慢してみましょう。

 

強い気持ちを抱えながら、6秒間こらえるのは難しいことですが、まずはチャレンジしてみましょう。

 

ワンクッション置くことで、自分の行動にブレーキをかけるきっかけになるかもしれません。

 

 

自己顕示欲が強い人への対処法

さて、一方では自己顕示欲が強い人との付き合い方に困っている人もいるかもしれませんね。

 

そんな人に向けて、上手く付き合っていくためのヒントを探ってみましょう。

 

関わる時間を決めておく

自己顕示欲が強い人と付き合っていく上で、自分の限界を超えないようにすることは大切な点の一つです。

「連絡は1日3回までしか返さない」

「30分、話を聞いたら切り上げる」

といったようにルールを作り、付き合いに対して無理をしすぎないようにしましょう。

 

冷静な反応を返す

また、冷静な反応を返すことも良いでしょう。

 

私たちには誰しも、自分に快の感情を与えてくれない人には近づきがたい傾向があるからです。

 

「そうなんだね」「そう感じたんだね」といったような、優しいけれどもフラットな返答の方法をいくつか持っておくと良いかもしれません。

 

適度な距離を取る

自己顕示欲が強ければ強いほど、その裏に隠された「認められたい」という気持ちも強いものと思われます。

 

また、自分を認めてもらえる人にはより強い結びつきを求めてくることも。こちらがまいってしまわない程度に、時には相手から適度に距離を取ることも必要です。

 

 

さいごに

繰り返しになりますが、自己顕示欲は誰もが持つ人間として自然な欲求です。

 

そういった意味では、必要以上に抑制する必要はありません。

 

自分のことを誰かに持ち掛けることが出来るのは、一つの重要な能力でもあるからです。

 

その上で、人間関係を円滑に進めていくには、

「お互いが穏やかな気持ちを保てているか」

という視点が大切です。

 

誰かとの関係に難しさを感じたときは、そういった点も1度振り返ってみると良いかもしれませんね。

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鈴木さやか

臨床心理士・公認心理師

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。福祉分野のケースワーカーとして従事したのち、公的機関でテスター兼カウンセラーとして勤務。子どもの問題(不登校、非行、発達障害等)や労働、夫婦問題をはじめ、勤労者、主婦、学生など幅広い立場への支援を行っている。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年1月22日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。