泣くと得られる心理学的7つの効果とは?臨床心理士が解説
泣くと得られる7つの効果
涙は大きく分けて、
目の機能を保護するための「基礎分泌の涙」
外部からの刺激による「反射の涙」
感情が高ぶる=泣くことによる「情動の涙」
の3種類あります。
その中で心理学的効果があるといわれているのが、泣くことによる「情動の涙」です。
①ストレス解消効果
ストレスを感じているとき、体内ではストレスホルモンが放出されています。
涙には、そのストレスホルモンを体外に流して排出する役割があるのです。
いわば、「心のデトックス効果」ですね。
泣いたあとになぜか気持ちがスッキリしたと感じるのは、このストレス解消効果によるものです。
②「痛み」が緩和される
涙のなかには、苦痛を和らげるエンドルフィンというホルモンも含まれています。
エンドルフィンの鎮静作用は、モルヒネより大きいともいわれるもの。
身体の痛みだけでなく、心の痛みも緩和してくれる効果があります。
③リラックス効果
泣くことで、私たちの自律神経は交感神経から副交感神経へとスイッチが切り替わります。
副交感神経が優位になるということは、全身がリラックスした状態になるということ。
高ぶった気持ちも、泣くことでゆったり落ち着いた状態に戻っていきます。
④睡眠の質が上がる
たくさん泣いたあと、急に眠くなったり、ぐっすり眠ってしまうという人も多いと思います。
実はこれも、副交感神経が優位になっていることによるものです。
緊張や不安でよく眠れないときは、泣くことでうまくスイッチを切り替えてみるのもよいかもしれません。
⑤免疫力が上がる
笑うことで免疫力が上がるという話を聞いたことがあるでしょうか。
実は、泣くことでも同じように、免疫が活性化するといわれています。
健康が促進され病気にかかりにくくなるので、ストレスで体調を崩しがちな人にもおすすめです。
⑥気持ちが整理される
気持ちが高ぶっているときは、視野が狭くなったり、あせってしまったり、なにかと失敗することも多いものです。
泣くことで全身がリラックス状態になると、混乱していた頭も心もだんだんと落ち着いてきます。
気持ちが整理され、冷静に考えることもできるようになります。
⑦自分を解放できる
カウンセリングのなかでも、涙には大きな意味があります。
泣くことで自分の本当の気持ちに気付き、少しずつ自分を解放できるようになる人も少なくありません。
ふだん自分の気持ちを抑え込みがちな人は、あえて泣いてみることで新たな自分の一面に出会うことができるかもしれませんね。
「泣く」の2つのメリット
泣くことのメリットは、
・自分の気持ちに気付きやすくなること
・自分の気持ちをコントロールできるようになること
の2つが挙げられます。
涙が出ること自体は生理的な現象ですが、それを意図的に活用すれば、泣くことによる効果を最大限に引き出すことができます。
ストレスで気持ちがいっぱいいっぱいになったとき…
悲しさやくやしさで心が押しつぶされそうなとき…
怒りで頭がかっと熱くなっているとき…
思わず涙があふれそうになったとき…
それを無理におさえようとすると、かえってストレスが増大したり、不快な気持ちが長引いてしまうこともあります。
ときには泣くことを我慢しないで、あえて自然のまま涙を流してみてはいかがでしょうか。
ストレスで気持ちが疲れたとき、泣くことを「心の健康法」として取り入れてみるのもよいかもしれませんね。
さいごに
涙が出るのは、あなたの心が豊かで、そして健康にはたらいているという証です。
これまで泣くことにネガティブなイメージを持っていた人も、ぜひ涙とポジティブに付き合ってみてください。
泣くことの効果を知って、ふだんの生活に上手に活かしていけるといいですね。
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- 本記事は2019年3月22日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。