ピアカウンセリングとは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を専門家が解説

2017.01.18公開 2017.01.19更新
 
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ピアカウンセリングとは? 

カウンセリングという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。カウンセリングは、臨床心理士などによって、クライエントの問題や悩みを傾聴し、彼らがより良く生きることができるように、共に自己成長を促す方法だと言われています。

 

一方で、ピアカウンセリングは、専門家によるカウンセリングではなく、精神疾患を体験した当事者が同じような問題で困っている他の精神疾患を抱える人に向けて行うものです。ここでは、「ピアカウンセリング」についてお話致します。

 

 

ピアカウンセリングの対象

精神疾患を持つ方。自分の問題や悩みを、同じ障害を持つ人に聞いてもらい、相互にカウンセリングを行い合いたい方。

 

 

ピアカウンセリングの支援内容

ピアカウンセリングは、1970年代のアメリカで始まりました。それ以前は、精神疾患を持つ方は地域で生活するというより、病院や施設に収容するという考え方が主流でした。

 

ですが、今後彼らは治療の対象というよりも、地域で自立した生活を送りながら自分で決定し、選択しながら社会生活を行うということが目的とされたのです。

 

そのためには、自分と同じ障害を持つ仲間と自身が抱える悩みを相互に聞き合い、障害を抱えているからこその共感や利用できる制度などの情報収集の場が必要となり、ピアカウンセリングが生まれました。

 

ピアカウンセリングは、病院や地域社会、個人で発足したグループなどさまざまなものがあります。

 

 

ピアカウンセリングの費用

ピアカウンセリングの費用は、高額なことはほとんどありません。無料で体験できることも多いですし、会費制で行っているところもあります。

 

 

ピアカウンセリングの申請方法、利用方法

ピアカウンセリングは、病院や市町村、個人的グループなどで開催されています。ピアカウンセリングを受けたい方は、このような各々のグループへ問い合わせてみると良いでしょう。

 

また、統合失調症専門のピアカウンセリンググループやうつ病専門のピアカウンセリンググループなど、疾患別に行われている場所や精神疾患の種類は問わない場所もありますので、自分に合うところを選ぶと良いと思います。

 

 

ピアカウンセリングに該当する事例 

【Aさん10代男性】不安障害

Aさんは、高校2年生。いじめにより不登校となり、自宅に引きこもる生活を続けていました。

 

家族はAさんの気持ちに寄り添い、理解を示していたので、Aさん自身も救われていましたが、不眠や息苦しさ、死んでしまいたいという気持ちなどが現れるようになったため、精神科病院を受診。不安障害と診断されました。

 

しばらく通院治療とカウンセリングで様子を見ていたAさんは、薬物療法による効果と臨床心理士が悩みを受け止めてくれたことで、身体的・精神的な症状は徐々に改善していきました。

 

ですが、Aさんは時々ある悩みに支配されることがありました。それは、「自分は社会から孤立してしまっている」「自分と同世代の話を聞いてくれる仲間がほしい」というものでした。

 

その思いがなかなか消えないため、Bさんはカウンセリングの際に、このような気持ちを臨床心理士に打ち明けてみました。すると、不登校の人たちやかつて不登校だった人が集まるピアカウンセリングを行っている団体があるので、そこを1度覗いてみてはということでした。

 

Aさんは、初回は1人でその場所に参加することが不安だったので、母親とともに参加しました。その際、Aさんより少し年上でかつて不登校体験があり、うつ病を患っていた人との出会いがあり、彼はAさんの気持ちに寄り添い、熱心に話を聞いてくれました。

 

また、不登校の人のためのサポート校の情報を教えてくれたり、高校を卒業しなくても大学検定試験に合格することで大学受験にも挑戦できることを知りました。

 

他の不登校経験者との出会いや未来への希望が見え始めたBさんは、今後自分の進路をどうして行けばいいのかピアカウンセリングを受けながら、模索中です。

 

 

Bさん40代女性】うつ病

Bさんは、両親と一緒に暮らす独身女性です。1年前にうつ病により長年働いていた会社を退職し、その後もなかなか症状が改善せず、再就職が難しい状態となっていました。

 

そんなときBさんは決まって、「私は仕事も失い結婚もしていない負け組だ」と自分を卑下する気持ちになり、うつ病を患っていることも、友人に隠したいため、親しかった人とも連絡を取らないようにしていました。

 

ですが、心の中ではいつも自分のことを理解してほしい、この不安な気持ちを誰かに打ち明けたいと望んでいました。そんな折、Bさんの母親が市役所に行った際、たまたまうつ病のピアカウンセリングのチラシが目に入ったため、Bさんにそのチラシを見せてみました。

 

ピアカウンセリングは、同じ経験をした当事者が参加しているいうことを知ったBさんは、その会に参加してみることに。意外にも、自分と同じような立場の女性がたくさんおり、彼女らに悩みを聞いてもらったり、必要があれば自分の経験を伝えるなどお互いに有意義な時間が持てました。

 

また、病気のせいで再就職がしずらい状態が続くようなら、職業訓練をさせてくれる施設があることや障害年金の申請も視野に入れてみることなどの情報も分かち合うことができました。

 

Bさんは、以前よりも気持ちが軽くなり、ピアカウンセリングに通いながら、自分にはどの選択肢を選ぶことが最善なのかを決める予定でいます。

 

 

ピアカウンセリングの注意事項

ピアカウンセリングは、自分と同じ当事者によるカウンセリングを体験できる点が魅力です。ですが、それだけに相手に感情移入しすぎたり、依存関係になってしまう危険性もはらんでいます。

 

同じ疾患を持つ者同士でも、相手と自分の問題を同一視しずぎないように気を付けることが重要です。

 

 

Misudu Kukita【執筆者】

久木田みすづ 精神保健福祉士 社会福祉士

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