焦らずに、ゆっくりと。クローズ就労での失敗から学んだこと
目次
オープン就労のメリット
まず、『オープン』でのメリットは、心身の状態に合わせて、会社が配慮し勤務時間や日数を決めて、勤務をするというのがあります。
心療内科や精神科に通っている人はもちろんの事、自分に合った体調で勤務して、「ここまでだったら」というのを予め決めることが多いようです。
体調の変化に敏感になりやすい、うつと発達障害を患っている人には大きなメリットの一つと言えるでしょう。
また、精神障害者手帳を持っていれば、年末調整や確定申告の際に、障害者控除も適用されます。
障害者雇用を積極的に雇っている企業であれば、この年末調整などの控除については、一度確認してみる事をお勧めします。
次に、オープンで勤務したいとき、精神障害者手帳を持っている方は、ハローワークでの障害者求人に応募および、障害者専用の窓口で就職相談できるというのがあります。
これは、オープンでの就職の不安や負担を減らせるだけでなく、予約すれば産業カウンセラーとの相談が出来るというのがあります。
これは私もハローワークに通っていた時に大変お世話になりました。
履歴書と職務経歴書の添削を指導してもらい、現状の体調で勤務可能かという事にも相談にも乗ってくださいました。
これは就職で不安だった私にも、大きな力につながりました。
オープン就労のデメリット
逆にデメリットは、勤務時間や日数が定められてしまうことです。
条件面が正社員と異なる事が殆どであるため(契約社員、アルバイトなど)、給与面について少し下がってしまうというのがあります。
私が今まで勤務した企業でも、ほとんど年収は約240万と低賃金。
おまけに一人暮らしもしているので、家族の仕送りが無いとまともな生活出来ないという状態です。
また2013年4月に施行された『改正労働契約法』で、契約社員(アルバイト、パート、派遣社員も含む)は5年以上勤務すると無期労働契約に切り替わるというのがあります。
しかし、5年以上勤務してもアルバイト、パート、契約社員のまま雇用を続けているのが現状です。
また、自分だけで就職活動を行った場合、求人の選択幅が狭くなってしまう事があります。
自分の力だけでは難しいと思ったらならば、障害者雇用に力を入れている転職エージェントや、就労移行支援施設を利用するのも一つの方法であると言えるでしょう。
特定求職者雇用開発助成金
そして会社には、『特定求職者雇用開発助成金』という援助金の制度があります。
これは労働者の対象者によって主に異なりますが、最大でも約2年間援助金が出るというものです。
つまり助成金目当てで社員を雇い、2年経ったら離職を促す事もあります。
もちろん障害者の法定雇用率を守るために社員を守ることもありますが、大体は精神障害ではなく、身体、知的の方、優先的に雇用率を守る会社が殆どです。
うつや発達障害、精神障害の方を、クビにしてしまうのは簡単です。
体調が悪くうつ状態の人は、会社で勤務するというのは難しいし、体力もないと思っている事でしょう。
オープンで働くというのは、確かに負担にならずに勤務する事は可能だけれど、会社から見れば、
『いつも疲れている社員』
『使えない社員』
としか言いようがありません。
しかし、精神障害を理解してくれる人や会社は必ずあるはずです。
辛くて大変かもしれませんが、無理をせず根気よく探して、面接のときに相談して、オープンで勤務するという事を誇らしく思い勤務していければと思います。
クローズ就労のメリット
では、『クローズ』で勤務するメリットとデメリットは一体何なのか?
メリットは健常者と同じ条件で働く事が出来るというのが大きいポイントでしょう。
オープンと違い、まず雇用形態が正社員と同じ条件で勤務出来るかもしれないという事。
もちろんこれは、オープンでも同じ事が言えると思いますが、たいていの会社の場合、悪くても契約社員、良くて正社員というのが実情です。
また、オープンと違い、業種や職種が多種多様で求人数も豊富であること。
これは、自分で仕事を探して、やりたい仕事が出来るというのが大きなポイントですね。
また就職後、様々な仕事を任せられる事もメリットの一つ。
オープンの場合、身体の負担を考え一つの仕事を与えられるというのが殆どですが、クローズで勤務した時、もっとキャリアを積み重ねて、上を目指していきたいという向上心が出てくる事でしょう。
オープンの場合でも向上心を持って勤務するのは大切ではありますが、それをどうやって上司の方に伝えたら良いか、難しい部分もあります。
クローズで勤務したとなると、上司の方々が『一生懸命頑張っているな』という姿を見てくれて、評価も多く頂けるかもしれない。
そこがクローズで勤務する一番大きなメリットと言えるでしょう。
クローズ就労のデメリット
デメリットは、うつを治療していく上での問題です。
週休2日制の会社を導入しているのが殆どですが、もしクローズで入社して、うつを治療するという事になれば、まずは通院面での問題です。
私の場合は、土曜日に通院できる心療内科に行く事が出来ましたので、問題は無かったのですが、土日祝日の心療内科と精神科は、休診日が殆ど。
また、通院となった場合、どの時間帯にどの曜日に行けばいいのかというのが出てきます。
これは、主治医の先生や病院でよく相談して、通院日時を決めた方が良いかもしれません。
また、クローズで勤務するとなると、うつや発達障害は隠して仕事をしなくてはいけません。
そのため、うつや発達障害だった事が会社にばれてしまった場合、トラブルや解雇という可能性が出てきます。
年末調整で、障害者控除に印をつけてしまったらアウトです。
年末調整ではなく、確定申告で障害者控除を受けられるようにした方が良いでしょう。
そして、会社は異動が付き物。もし辞令で、他の業種で仕事をするとなった場合にも、対処の方法を考えなくてはいけない事も考えなくてはいけません。
軽いうつで寛解(うつが治りかけている)状態であれば、無理をせずにゆっくりと深呼吸をして。
新しい仕事に挑戦していった方が良いかもしれません。
私もクローズで内定を頂いて勤務した時、覚える事が山ほどあって、頭の中がノイローゼになってしまいました。
そして上司の方には注意叱責されて、身体を壊し辞めざるを得なかった事があります。
クローズで勤務するというのはリスクがありますが、
・軽いうつ状態であって叱責にも耐えられる
・上を目指したい
といった希望であれば、クローズで応募し勤務するのも一つかもしれません。
仕事を探す上でのポイント
オープンとクローズ、勤務する上でのメリット、デメリットをまとめましたが、どちらにとって自分が有利なのかは、自分次第です。
第三者の意見も考えてまとめ、どちらで勤務するかを決めて、仕事探しをしてみましょう。それが一番大事なポイントです。
また、仕事を探して、自分のやりたい職種や業種を紙やパソコン、スマートフォンにメモを取るなどしてまとめてみる。
そして、ハローワークのカウンセラーや転職エージェント、就労移行支援施設の営業担当の方に報告してみる。
そうすれば、必ず自分に合った仕事が見つかるかもしれません。
データ入力や事務の仕事をして、もっと事務に関わる仕事がしたいと転職したと思ったら、パソコンでプログラミングを打ち込む作業をする仕事をする。
『そんなの自分には出来ない!』となってしまいます。
そうならないためにも、自分の強み弱みを見つけて、やりたい仕事を根気よく探し続けていきましょう。
仕事探しで活用したもの
まずは会社の情報や社内の雰囲気の様子をよく読んでみる事でしょう。
公式ホームページや就職サイトだけだと、良いだけしか書かれていないのが事実です。
そこでお勧めしたいのは会社の情報サイトです。
会社の雰囲気や様子、そして社員として働いていた方々の本音が書いてあります。
実は私も就職した会社に入社する前に、社内の雰囲気を知りたく会員登録をして、社内の雰囲気を知りえる事が出来ました。
どんな社風であるか、また障害者に本当に配慮してもらっているだろうかというのを事前に調べておき、面接に臨んだ方が良いかもしれません。
仕事探しで今一つだったもの
ハローワークの求人票は、事細かに書かれていない事が多いです。
障害者雇用の求人票を見ても、多くは身体障害、知的障害で配慮している所しか書いてない案件が殆どでした。
また、うつ、発達障害を持っている皆さんが、仮に仕事に就いたとして、実はそこはブラック企業だったというのも考えられます。
ハローワークの求人票の殆どがブラックであると言われていますが、転職サイト、求人サイトでも、ブラック企業があるという事は否定できません。
前途で述べた会社の情報サイトで検索し、ブラックであるかホワイトであるかを調べてみてください。
その上で、最終的にオープンでもクローズでもより良い企業でお仕事をさせてもらうという事を条件にして、仕事探しをしていった方が良いでしょう。
仕事探しをする中で重視したこと
私が経験したうえで重視したことは、まず最低限のビジネスマナーを守ることでした。
挨拶で始まり挨拶で終わる。
面接のときには、もっとここをアピールすればよかったなと自分を振り返る。
また縁がなかったら、悔しがるのではなく、お客様として会社を見てほしいというのを頭に入れておく。
そして、障害者でも健常者でも、一人の社会人として見て欲しい事。
自分はこういう事が得意で、将来はこんな企画を立案して会社に貢献したいという気持ちを前向きにアピールするという事が、大事なのではと思います。
履歴書や職務経歴書、エントリーシートを書いて面接官に見て読んでもらい、伝わらない事があればまっすぐに面接官に言ってみてください。
失敗を恐れずに前向きになって、「この会社で仕事をしたいんです」と言ってみてください。
多少、遠慮がちになる事も必要かもしれませんが、きっとあなたを見てくれる人がいるはずです。
読者に伝えたいこと
近年は雇用率もアップし、会社で勤務する人達の採用率も高くなってきています。
しかし、うつや発達障害を理解していない会社は、まだまだ多くあります。
オープンでもクローズでも採用されれば一社会人として見てくれてはいますが、自分自身の事を見てくれないと思うとなると、それは悲しい現実なのかもしれません。
しかし、何度も言うようにうつや発達障害、精神障害を持っていても、働いてもらえる場所は必ずあるはずです。
とにかく焦らない事。
そして自分が仕事探しをする上で、今何をすべきかをもう一度考えてみましょう。
一人で考え込まずに、友人やカウンセラー、そして転職エージェントや就労移行支援のスタッフに相談をして、オープン、クローズ、自分がどのような方法が最適な就職の方法なのか、考えて仕事探しをして行きましょう。
あなたを認めて見ている人は、必ずどこかにいるはずですから・・・。焦らずに、ゆっくりと。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2019年4月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。