ADHDで仕事を先延ばししてしまう…対処法を臨床心理士が解説
ADHDの「過集中」
また、ADHDの人の中には「過集中」という現象が起こります。
これは、好きな活動ならば何時間もできるという現象です。
これも、報酬系の問題です。
目の前の活動が快感過ぎる状態です。
過集中は、その人が好きではまってしまう活動にしか生じません。
ADHDの人の「あるある」として、はまっているうちは何時間もできるのに、「飽きた」と思った瞬間できなくなるという現象があります。
これも、報酬系の問題からです。
「多動」「過集中」による仕事への影響
このようなことからも、ADHDの人は『やる気が起きない』『やるべき仕事を先延ばししてしまう』という状況が起こりがちです。
これは、仕事をする上ではとても困ります。
例えば、就業記録や日誌など、面倒くさくてコツコツしなければならない仕事が先延ばしになりがちです。
また、ADHDの人の中には、楽しくない仕事をやらされすぎて、調子が悪くなる人もいます。
楽しい活動をある程度しないと、抑うつ状態になりやすいのかもしれません。
仕事を先延ばしする対処法とは?
①障害特性だと知ろう
病院の外来で仕事をしていると、案外、自分の特性について知らない人が多いです。
まずは、「楽しいことを先延ばしできない」「楽しくないことをやるまでに時間がかかる」というのは、障害特性であることを認識しましょう。
あなたが悪いわけではありません。
②自分にとって何が楽しいのかを探る
意外にこれが、できていないと苦しいです。
何が楽しい作業かというと、単純に長い時間やっている(やれている)作業などが考えられるでしょう。
③可能であれば、まとめてやる
毎日、コツコツと続けると、楽しくないんです。
まとめてやったほうが、達成感が得られたりするし、やりやすいです。
しかし、仕事上のことで溜めすぎると危険なものもありますよね。
そこで、貯めるリミットを作りましょう。
例えば、報告書は3枚溜まったらやる、などです。
④先延ばしする仕事の後に、楽しい仕事をする
これは、行動療法の中のプレマックの原理と呼ばれるものの応用です。
子供だましのような発想ですが、先延ばししている活動の最中に、「あとすこしで◯◯ができる」と思うと、少しやる気がアップします。
⑤楽な仕事を目につかない場所に置く
ADHDの不注意がかぶっている場合、目の前にやるべきではない楽しい仕事があると、その仕事に飛びついてしまうことがあります。
なので、なるべく、環境を整理することはとても大切です。
⑥嫌な仕事をする際に、同時に楽しい作業をする(ながら作業をする)
これは仕事上、推奨されないのかもしれませんが…
例えば、音楽を聞きながら勉強をする人もいますよね。
あのような感じで、何かをしながら何かをするといい場合があります。
例えば、報告書を書きながら、時々、メールをチェックするなどです。
メールチェックは、なにげに好きな人多いんじゃないでしょうか。
⑦細かい達成感が得られる工夫をする。(連続、日誌書いている記録など)
達成感が得られると、その作業が少し楽しい活動に変わります。
営業成績とかが伸びると楽しいですよね。
To doリストを書きだして、チェックしていくのも達成感が得られます。
子どもなら、シールとか貼りますよね。
なるべく、目に見えるものがよいです。
また、作業の終わりが明確でないものもありますね。
例えば、1時間は◯◯をしよう等。
むしろ、◯◯までは終わらせようというように、終わりを明確にした方が良いです。
また、ものが多く動くほうが達成感が得られます。
例えば、資料をコピーすると、パソコンにデータを入力するよりも達成感がでますね。
人からフィードバックをもらうというのも達成感が得られます。
可能であれば、facebookとかにアップしていいね!を押してもらうなどです。
このように、楽しい仕事の特徴を楽しくない仕事にフィードバックしていくと、楽しい仕事に変わっていく場合があります。
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- 本記事は2016年8月15日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。