「日本の普通に殺された」心を見失いそうになって気がついた“自分らしさ”

「自分らしさ」を取り戻して挑戦したフランス留学で、うつ状態に

くまの
YAMATOさんは、留学経験もあるそうですね。その時期に、うつ状態になったとか…?
YAMATO
はい。高校生になって、英語力を活かしたいと留学に挑戦するようになったんです。うつ状態になったのは、大学時代のフランス留学のときですね。

 

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期待に胸をふくらませて入国したフランスで、うつ状態に。

 

YAMATO
フランスでテロ事件が起きた2日後に、ぼくが入国したんですよ。国中がどんよりしていて、悲しみや憎悪が入り乱れていました。

 

それからしばらく経って、またフランスでテロが起きたんです。同時多発的なテロでした。

くまの
げ、激動の留学時代ですね…!
YAMATO
フランスに行った時期も悪かったんですよね。テロのせいで、移民への視線も厳しくなっていました。

 

そんな中で、日本からの留学生として異国で過ごすうちに、糸がぷつんと切れてしまって。留学の途中で、誰にもなにも言わずに、フランスから逃げ出したんです。

くまの
テロ事件でのどんよりした空気感が、心の落ち込みの理由に…?
YAMATO
うつ状態って、複雑な要素が絡み合っているんです。空気感もあったでしょうけど、慣れない生活や、食文化の違いも関係していると思います。

 

フランスって、パンやパスタがメインで、お米を食べる習慣がないんです。ぼくも毎日小麦を食べていたんですけど、体に合わなくて、小麦アレルギーになってしまって…。

くまの
えっ!フランスにいるときに?
YAMATO
そうです。体調が崩れることで、さらにメンタルも疲弊していって…。最終的に、うつ状態と診断されました。
くまの
うつ状態になって、自分らしく生きることに関して、なにか変わったことはありましたか?
YAMATO
めちゃくちゃ変わりましたね。

 

自分の好奇心に従って行動しようと決めてからは、その行動をしたことによる小さな成功体験を積み重ねて、それが自信になっていました。

 

うつ状態になって、その自信がすべて壊れてしまったんです。

 

今までだったら挑戦していたことも、「自分には無理かもしれない」と諦めてしまうことが増えて。リハビリには、とても時間がかかったと思います。

くまの
どういう風に、リハビリをしていたんですか?
YAMATO
自分らしく生きると決めたときと、まったく一緒です。自分がやりたいと思ったことを、少しずつ積み重ねていきました。

 

日記を書いていたんですけど、毎日書く!と決めると苦しかったんですよ。だから、書きたいときだけ書くようにしました。

 

自分の中のルールを甘くして、「できた」経験値を増やすんです。

 

自分が自分を信じてあげられないと、チャレンジってできないんですよね。小さな成功体験を増やして、自己肯定感を高めていきました。

くまの
少しずつ、自信を取り戻していったんですね。
YAMATO
そうですね。取り戻すのに、1年以上はかかったと思います。

 

今は、うつ状態になる前の「自分はこうありたい」という理想へ向かう気持ちと、うつ状態になった後の「人生どうなるかわからないから、うまいことやりましょう」という現実を受け入れた気持ちが、うまく混ざっていると思います。

 

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無理をしすぎることも、今ではなくなったそうです。

くまの
うつ状態の経験も、言ってしまえば、自分の糧になっている?
YAMATO
過去って変わらないですからね。糧にしないとしゃあないよな~と思っています。

 

せっかくうつ状態になったんだから、元を取らないともったいない!って。

くまの
おお…。ちょっと関西人の血が見えました。
YAMATO
そうですね、ケチケチしてるんで(笑)

 

野垂れ死ぬ心配がないなら、好きなことをしないともったいない

くまの
そもそも、自分らしさがわからない人もいると思うんです。自分の好きなことがわからなかったり…。そういう人は、どうすればいいと思いますか?
YAMATO
好きなことがわからない人って、「自分が挑戦したい」と思ってやってきたことが少ないんだと思うんです。親の言う通りに習い事をする、先生に褒めてもらいたいから勉強するなど、他者評価で動いているんですよね。

 

そういう人は、1日でいいので、まったく予定のない休日を作ってほしいです。

 

その日に、自分の欲求に従って動いてみてください。その動きのひとつひとつに、ヒントがあるはずなんです。

くまの
ふむふむ。
YAMATO
例えば、なんにもしなくていい日なのに、部屋を片付け始める人っているじゃないですか。たぶん、その人って「部屋を片づけるのが好き」なんですよ。

 

なにもしなくていいのに、ついやってしまうこと。その行動が、自分の好きなことのヒントになります。

くまの
へぇ~~~~。(思わず本気で感心してしまう)
YAMATO
特に現代の日本では、「自分のやりたいこと」ができる環境だと思っています。

 

これだけ社会のインフラが整っていれば、そう簡単には野垂れ死なないじゃないですか。こんな贅沢な国ってないんですよ。

 

「生存」の部分がここまで保証されている国は、なかなかない!

くまの
生存…!
YAMATO
海外を旅していた時期もあったんですけど、あたりまえのように野良犬や、ストリートチルドレンがいるんですよ。汚い水たまりに顔を突っ込んで、水を飲んでるんです。

 

生きる上での最低限の土台をクリアしているのが、日本。そんな国で、好きなことをしないなんて、とてももったいないなと思います。

くまの
色々な国を見てきたYAMATOさんの言葉だからこそ、がつんときますね…。では、自分のやりたいことを見つけた人が、それを忘れないようにするにはどうすればいいと思いますか?
YAMATO
ぼくからすれば、忘れていいと思います。
くまの
えっ…。

 

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「忘れるなら、忘れていいと思う」と、さらっと言うYAMATOさん。

YAMATO
忘れるなら、それくらいの「やりたい」だと思うんです。やりたいにも、レベルがあるんですよね。

 

ぼくの場合だと、「喋る」や「考える」は、昔からやめられないんです。ただ、実は音楽活動もしているんですけど、「歌うこと」はやらない時期もあるんですよ。ということは、ぼくにとって「歌うこと」は、そのレベルのやりたいことなんです。

くまの
なるほど…。では、自分らしさを見つけた人が、世間の普通との板挟みに苦しんでいたら、なんて言ってあげたいですか?
YAMATO
ぼくは、「人の期待に応えなくてはいけない」と思う必要は、まったくないと思います。

 

親からの愛情を受けていたとしても、あなたは親の所有物ではない。誰の所有物でもないんですよ。「普通こうあるべきだ」と言われていることも、誰が決めたか知らないし。

 

誰が決めたかわからないことを守って、その知らない誰かを喜ばせるために、あなたは生きているのかと。

くまの
うっ…(知らない誰かの声に、振り回されることってあるなぁ…)
YAMATO
幸いにも日本には人権があって、誰しもが産まれた瞬間から生きる権利を認められています。そして、生きる権利は、誰かに求められて、それに応えたからもらえるものではないんです。

 

本当に、好きに生きたらいいと思う。犯罪を起こしたりとか、誰かに迷惑をかけない限りは。考えすぎてしまう人が多いのかなぁと思いますね。

くまの
考えすぎてしまうこと、きっと多くの人が経験していると思います…。
YAMATO
もちろん、好きなことをしていても、悩むことはありますよ。ぼくだってそうです。

 

でも、その考えることすら、楽しもうと思っています。

 

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「日本の普通」に苦しみながらも、懸命に自分と向き合ってきたYAMATOさん。原体験を掘り起こす活動をしているからか、自分の意見をとてもはっきりと、よどみなくお話する姿が印象的でした。
 
「自分らしさ」がわからない人でも、「自分ってなにが好きなんだっけ?」と考えてみると、意外と答えはすぐに見つかるかもしれません。
 
知らない誰かの声に惑わされないように、「自分はどうしたいのか」を軸に物事を考えることが大切だと、YAMATOさんに教えていただきました。

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YAMATOさんの笑顔が素敵なのに、なぜかカメラマンさんの指が主張している写真でお別れです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

YAMATOさんのTwitterはこちら>> @yamatokomura
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くまのなな

ライター

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年6月26日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。