DVや乳がん…「なぜ私ばかり?」という悔しい気持ちです(40代・女性)

2017.11.08公開
村松真実

回答者
村松真実
看護師 心理相談員

 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
52
ご質問

早速のアドバイス、本当にありがとうございます。今の私の症状が出るまでの出来事は、一言では説明できないほどの複雑な経緯があります。

 

今の主治医に出会って長く話していくうちに、「あなたはすごく強い魂の持主だ。こんなに強い人を見たことがない。今、生きていることが奇跡だ」と言われたくらいです。

 

私は一見、幸せそうな、ごく穏やかな家庭に見えていると子どもの頃から思っていました。所謂「優等生」でした。

 

「運動だけは誰にも負けない」と言っていた友だちと体力テストで一緒に走ることになり、私の方が速かったため、そこからいじめが始まりました。

 

いじめのことを母に相談しました。母は「そんな話は聞きたくない」と言って話を聞いてくれませんでした。

 

次に父に相談しました。父は「俺が教師をしていることでお前が得をすることはあっても損をすることはない」と言って話を聞いてくれませんでした。

 

私は中学校三年までの間、友だちから無視されたり、教科書に落書きされたり、物を捨てられたりのいじめが続きました。

 

小学校中学年の時に、既に私は両親に対して心を閉ざしていました。

 

いつ頃からか、私は自分がいじめられている姿が天井のあたりから見えるようになり、自分に起きていることが他人事のように感じられるようになりました。

 

離人感はその頃から始まっていたと思います。

 

夫の暴力は、私が下の娘を生んだ直後に始まりました。

 

家庭を持つことに向かない夫は、私との結婚が既に2度目でしたが、次の結婚がしたくなったことを隠すために、私を暴力で脅して、離婚届にサインさせたかったようです。

 

その時も、私は暴力を受けている自分の姿が天井のあたりから見えていて、常に他人事のように感じていました。

 

冷静に話をしようとする私のことが気に障る夫の暴力は増し、私は渋々父に相談しました。

 

ところが父は「今、実家はお前の妹の結婚でお祝いムードだから、しばらくその話は実家に持ってくるな」と言いました。

 

両親の前で私に暴力をふるう夫を見ても、両親は助けてくれることはなく、私の心は両親に対しても夫に対しても閉ざしたままです。

 

20年近くが過ぎて、夫とは最低限の会話だけは穏やかにできるようになりました。

 

でも、夫は家に立ち寄ることはあっても、どこか別の場所で寝泊まりしています。私は何も聞きません。

 

子どもも大きくなり、私には夫の必要性がないんです。両親は、人間がまるくなった夫に安心しているのか、特に私や娘を心配しません。深い考えに至らないようです。

 

主治医の気持ちはわかるんです。私も、いつまでも今の上司に頼りきりはダメだとわかっています。上司ともそういう話は何度もします。

 

私は子どもの頃から、人に構われることが少なく育ったため、私に近寄りすぎてくる人に嫌悪感を持ちます。

 

今の上司は、私のPTSDや解離性障害を理解してくれていますが、必要以上に私を構わないので、私は適度な距離を保って見守ってくれることが心地好いんです。不安定な気持ちが落ち着くんです。

 

主治医は治療方針に乗れない私に焦りを感じてるようで、「話を聞いてあげる以外何もできない。お手上げ状態です」と言われ、主治医に対する信頼感をちょっと見失っています。

 

だからここで相談してみようと思いました。

 

今の上司にはこのことを話しています。

 

何とか自分の力で這い上がりたいと思っていることを、上司は理解してくれているんですけどね。

 

両親や夫には私の心の病気は理解できないと思います。

 

原因が自分たちにあることを絶対に認めない人たちだからです。

 

そこを味方につけろと言われても、死んだ方が楽だと思えてしまいます。

 

私は今、乳癌の闘病中です。心も体も病気になり、落ち込む気持ちもありますが、「なぜ私ばかり?」という悔しい気持ちでいっぱいです。

 

▼前回のご相談はこちら▼

回答

ご返信、ありがとうございました。

 

メールを何度も読み返し、本当に大変な体験を頑張って乗り越えてこられたのだと思いました。

 

「大変でしたね」と一言で済ませてしまうには、心と体が受けた傷に対して、何の慰めにもならないと感じました。

 

乳がん治療も継続されておられるのですね。

 

がんと告知されたことだけでも、一部の方は適応障害うつ病を発症するきっかけにもなります。

 

その体験を両親や夫のサポートもなく、乗り越えなければならなかったあなたのことを考えると、とても切なく感じました。

 

私は、がん患者さんの支援も担当しており、「なぜ、私が?」という気持ちに押しつぶされ、病気と向き合うことがなかなかできない方ともお会いすることがあります。

 

ですが、あなたは、体のご病気だけでなく、辛い過去の経験の苦悩も抱えた中で、心のバランスを保ちながら病気と向き合うまでになる過程は、本当に苦しかっただろう、そして今も苦しいのだと思います。

 

私には、仕事・子育て・乳がんの闘病を同時にこなしているあなたは、十分に今の人生と向き合い生きようと頑張られていると思います。

 

「這い上がろう」というのは、過去の体験から「自由になりたい」「負けたくない」という気持ちなのでしょうか。

 

だとした、どんなに傷つけられても頑張ってきた自分のことを、愛して受け止めてあげて欲しいと思います。

 

誰がなんと言ったとしても、あなた自身が自分を愛おしんであげることが自分の自信となり、自分の強さになるからです。

 

ですが、同時に誰かに心の辛さを吐き出して、荷物を軽くして欲しいと思います。頑張りすぎることは、頑なになりすぎる面もあるからです。

 

過去の辛い体験から抜け出すためには、主治医のいう「誰かサポートしてくれる家族が必要」になる場合が多いと思います。

 

両親や夫に理解してもらうためでなく、家族関係を変化させることで、家族の抱えている問題を修復していくためです。

 

あなたにとっても、過去と決別し、自分自身の未来を生きるきっかけになることがあります。

 

そのため、医師はあなたを苦しめる精神症状の治療として何かを「してあげたい」と考えて、家族を連れてくるように薦めるのだと思います。

 

医師と患者さんの考え方の相違は、どうしても生まれてしまうこともあります。

 

「話を聴いてくれるだけでよい」と願う患者さんにとっては、自分の技術を使って治したい医師は受け入れにくい存在になってしまうのだと思います。

 

妹さんとは過去の家族について、話し合ったことはありますか?

 

家族には姉妹も含まれますし、話しうことで心強い味方になってくれることもあります。

 

また、病院にカウンセラーの方はいますでしょうか?

 

カウンセラーの場合、医師とは違う立ち位置で話を聴いて医師と調整してくれるため、「今はまだ、両親や夫と話ができない。私の辛い気持ちを聴いてくれるだけで気持ちが救われる」と伝えてもらうことも良いかもしれません。

 

医師は、きっとあなたの辛さを早く楽にさせてあげたいと焦り、あなたの受け入れがたい気持ちに気が付いていないだけなのだと思います。

 

今は、話を聴いてもらえるだけで良いと、主治医に伝えて欲しいと思います。

 

話を聴いてもらえる場所があることも、気持ちの開放になり、自分自身の力で症状が落ち着いていく方もいます。

 

医師の前でも「良い子」であり続ける必要はないのです。自分の気持ちを素直に伝えて頂きたいと思います。

 

そして、同時に、「変わらないもの」はなく、両親や夫も少しずつ変化していきます。

 

過去を振り返り、反省したり、考えを深める時が来ないとは限りません。

 

あなたの気持ちが安定し、両親や夫も変化の兆しが見えてきたようなら、医師の提案を話してみてはいかがでしょうか。

 

過去の事実は変わりませんが、未来の関係を変えることはできるかもしれません。

 

頑張って生きてきたあなたを、理解することはできるのではないかと思います。

 

ちょっと強引な面がある医師のようですが、気持ちをきちんと伝えて治療を継続して頂けたらと思います。

 

私は、気持ちを受け止めることしかできませんが、がん治療のことを含め、あなたを応援したいと思います。

村松真実

村松真実

看護師 心理相談員

LINEバナー
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
52

関連記事