娘の過食嘔吐で悩む…克服するために家族ができることとは?

倉本梓

回答者
倉本梓
臨床心理士

ご質問

19歳の娘の過食嘔吐で悩んでいます。高校2年位から過食嘔吐が始まった様です。

 

2人暮らしで通院歴はありません。

 

何度か本人と話し合いを重ねて参りましたが、未だ続いており途方に暮れております。

 

一浪中なのですが、学業よりも先に、どうしても過食嘔吐を克服させる必要があると思っております。

 

どの様な段階を踏めば良いのか教えて頂けたらと思います。

回答

はじめまして、ご相談ありがとうございます。

 

2年前からお嬢さまに過食嘔吐がみられるのですね。

 

お母さまにとっては気が気でなく、とてもご心配されていることとお察しします。

 

お嬢さまの今後とご家族の支援について、ご一緒に考えさせてくださいね。

 

過食嘔吐のような摂食の問題は、若い女性には少なくありません。

 

「体重が増える恐怖感」が強いことから、周囲の働きかけにも拒否的であることが多く、回復までの道のりが長期におよぶ場合もあります。

 

お嬢さまの場合も、すでに親子で何度か話し合いをされているものの、なかなか変化の兆しが見られないとのことですね。

 

ご本人もお母さまも、焦る気持ちが日々強くなっておられるのではないでしょうか。

 

過食嘔吐からの回復には、ご本人の意志はもちろん、それと同じくらいご家族の理解や支援が不可欠です。

 

お母様には、どうか長い目で向き合っていただきたいと思います。

 

さて、回復までの道のりですが、やはりまずは医療機関などにかかり、専門家とともに取り組みをスタートさせるというのが一般的です。

 

同時に、ご家族の理解を深め、ともに回復を支援していただくことも重要となります。

 

*専門家とともに取り組む

 

摂食の問題は、「痩せたい」という身体面へのこだわりだけでなく、心理面、対人面の問題が複雑に絡み合っています。

 

ですから、単に過食や嘔吐行動をストップさせたり、体重を増やしていくだけでは、十分な回復とはいえません。

 

衝動をコントロールできなくなる、過食による後悔や自責感、そして強い抑うつ感や虚無感などに対しては、心理面でのケアが必要です。

 

なにより、摂食に問題を抱える方に特有の「誤ったボディイメージ」(少しでも食べると太ってしまうという恐怖感がある、自分の身体状態を顧みず際限なく痩せることを目指す)へのこだわりを、健康な状態まで修正していく必要があります。

 

そのため、専門家の支援は、ご本人にとってもご家族にとっても心強い味方です。

 

医療機関では、医師の指導によって適切な食事習慣を定着させ、身体の健康回復を目指します。

 

同時に、カウンセラーによる心のケアを並行して行います。食事に対するこだわりや偏ったとらえ方を修正するため、「認知行動療法」というカウンセリングを行う場合もあります。

 

*ご家族の理解と支援

 

過食嘔吐を目の当りにし、だんだんやせ細っていく姿を見ると、ご家族としては心配と焦りが募ります。

 

しかし、ご本人には体重が増えることへの強い恐怖感があるため、「食べることを強制されるのではないか」と治療に抵抗したり、消極的な場合がほとんどです。

ご家族の心配に対しても、「分かってもらえない」「否定された」と感じたり、「食べた」とその場を取り繕い、隠れて嘔吐しているというケースも少なくありません。

 

ですから、「過食嘔吐を止める」ために医療機関を勧めるのではなく、まずはご本人の苦しさに思いを寄せ、「つらさに一緒に向き合いたい」という思いを共有できるとよいと思います。

 

具体的には、過食嘔吐や摂食障害について情報収集し、ご家族も一緒にカウンセリングを受けたり、経験者の話を聞いたりして、ご本人への理解を深めていくことからスタートします。

 

*治療に抵抗がある場合

 

医療機関にかかることについて、お嬢さまご本人はどう感じておられるでしょうか。

 

もし少しでも治療の意志が見えるようであれば、摂食障害の治療を扱う医療機関を選んで、お二人で受診されることをおすすめします(もちろん、お嬢さまが希望される場合はご本人だけでもかまいません)。

 

治療に抵抗があるようであれば、まずはお母さまがお一人で相談されるのも方法のひとつです。

 

医療機関によっては、ご家族のみでの来院やカウンセリングを受け付けているところもあります。

 

また、精神保健福祉センターなどの相談機関では、電話相談や相談窓口を開設してご家族のサポートにも対応しています。

 

無料で専門家に相談できるので、気軽に利用しやすいメリットがあります。

 

摂食障害の自助グループや「家族の会」も心強い味方です。

 

同じ悩みを持つ立場だからこそ分かり合える部分がありますし、経験者の話を直接聞くことができるメリットは大きいと思います。

 

医療機関についてもリアルな情報が集まっていたりします。

 

ご家庭の中で抱え込もうとすると、変化が見えにくくどうしても焦りが募ります。

 

まずは、お二人のつらさを理解してもらえる様々なサポーターとつながることから始めてみられてはいかがでしょうか。

 

ご家族の明るい未来を応援しています。

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