看護師のうつ病割合は多い?4つのうつ病リスクを紹介【小松亜矢子さん】

2018.06.17公開 2019.05.16更新

看護師として勤務していた頃、うつ病で休職した方や精神科に行ったことのある方は、私の周囲でも何人かいました。

 

看護師でうつ病になる、あるいはうつ病のような症状が出る方は、比較的多いような気がしています。全体で見ても一定の割合はいるのではないでしょうか。

 

時折、ニュースでも新人看護師が過労で命を落としたという話を聞くこともあります。そのような話からも、うつ病のリスクは少なくないと言えるでしょう。

 

そこで今回は、看護師という仕事に潜む4つのうつ病リスクについてご紹介します。

 

>>【看護師とうつ病】休職・復職・転職・新人看護師の悩み【体験談まとめ】

 

看護師がうつ病を引き起こすパターン

あくまで私のまわりで聞いた範囲ではありますが、いくつかうつ病に至ったパターンをご紹介します。

 

燃え尽き症候群になってしまった

仕事を頑張りすぎたり、思うように患者さんを救えない現状に疲弊したりして、燃え尽き症候群になってしまったという話を耳にすることは多くあります。

 

看護師をはじめとした医療従事者は、日々厳しい現場に向き合っているからこそ、バーンアウトしやすいのかもしれません。

 

 

職場と自分の適性のミスマッチ

看護師とひとことで言っても、たくさんの職場があります。

 

スピードが求められる急性期病院、

 

比較的ゆっくりと患者さんに関われる回復期や慢性期の病院、

 

日々多くの患者さんが訪れる外来や診療所、

 

生活の支援がメインとなってくる施設…

 

それぞれで、求められるスキルや技術、適性も異なります。

 

この適性が、職場が求めているものと、自分が持っているものでミスマッチが起きたために、うつになってしまったという話も多いです。

 

実力があったとしても、働くペースや内容が合っていなければ、うまく発揮することはできません。

 

それによってフラストレーションを感じ、精神面が落ち込んでしまうのです。

 

中には、職場を変えることでうまく適応できて、うつにならずに済んだという人もいました。

 

早めに職場環境を変えることも、うつの予防には大切なのかもしれません。

 

 

職場の人間関係

どこの職場にもありがちな、人間関係によるストレス。

 

看護師の場合、女性がまだまだ多い職場ということで、そこにストレスを感じてうつになってしまうこともあるようです。

 

知り合いの中には、上司や同僚から理不尽なイジメにあい、休職に追い込まれてしまったという人もいました。

 

できるだけ、そうなる前に部署を変えてもらったり、転職したりという対応が必要なのかなと思います。

 

 

命を預かる緊張感

医療現場は、患者さんの命や健康と向き合う場所。

 

その緊張感から、精神的に疲れてしまったという人もいました。

 

私が新人の頃、同期が「夜勤が終わってもモニターの音が頭から離れなくて…」と疲れ切った表情で言っていたのを覚えています。

 

重症な方が多くない病棟だったので、モニターが始終鳴り響くような状況に慣れておらず、緊張していたのだろうと思います。

 

この緊張感は、慣れれば切り替えることもできるでしょう。

 

しかし、人によっては終業後も気にしてしまい、心が休まらずに病んでいくということもあるようです。

 

うまく思考を切り替える、誰かに話すなどして感情を整理する、といった対応が必要ではないかと思います。

 

 

私がうつ病を発症した理由

ここまでご紹介した4つのパターンは、あくまで私のまわりでよく聞かれたものです。

 

私自身もうつ病を経験していますが、同様のパターンはありました。

 

私の場合、学生のときに「看護師になること」そのものを目標にしていたため、資格を取った時点でややバーンアウトしていました。

 

自分のキャリアややりたい看護が見えていなかったこと、それに加えて職場の特徴が合っていなかったことも、精神的に疲れてしまった原因だったと思います。

 

結果的に、新卒で休職してから、そのまま退職することとなってしまいました。

 

しかし、いったん休んで、自分のやりたい看護を見直せたこと、職場のストレスから離れられたことは、その後の私にとっては良かったかなと思っています。

 

キャリアが途絶えたことによる苦労はあったものの、自分にあった職場を見つけて、自分らしく働くことができるようになりました。

 

今では、思い切って休職・退職した過去の自分は「えらいな」とさえ思っています。

 

 

自分を見つめ直す習慣を

もちろん、今回ご紹介したパターン以外にも、うつ病を引き起こす要因となるものはあるでしょう。

 

大事なことは、さまざまな要因がうつ病を発症するきっかけになりうるということ。

 

そして、それは誰にでも起こりうるということを、理解しておくことだと思います。

 

その上で、定期的に自分を見つめ直す習慣を持つことが大切ではないかな、と感じています。

 

それによって、自分の些細な変化に気がついたり、何かにストレスを感じていないか、体力的にも精神的にも無理をしていないかを振り返ったりすることができます。

 

私がどうかはさておき、まわりの看護師仲間を見ていると、他人への思いやりがステキだったり、頑張り屋さんだったりする人が多いように感じます。

 

周囲の人を大切にするのも大事なことですが、自分のことも同じくらい大切です。

 

うつ病予防のためにも、毎日を幸せに生きていくためにも、まずは自分自身を大切にしてほしいなと思います。

 

>>【看護師とうつ病】休職・復職・転職・新人看護師の悩み【体験談まとめ】

 

看護師とうつ病連載一覧

【Part  1】看護師のうつ病割合は多い?4つのうつ病リスクを紹介

【Part  2】看護師でうつ病から復職する際に注意したい3つのこととは?

【Part  3】新人看護師は悩みにどう対処する?悩み解消のための3つの実践例

【Part  4】新人看護師がうつ病にならないために!3つのポイントをご紹介

【Part  5】看護師のうつ病は夜勤が原因?夜勤の健康リスクと対処法をご紹介

【Part  6】看護師がうつ病で休職…休職の手続きや休職中の過ごし方とは?

【Part  7】うつ病と看護師転職…3つのポイントと職場選びで大切なこととは?

シェア
ツイート
ブックマーク

小松亜矢子

元看護師のフリーライター

1984年生まれ、自衛隊中央病院高等看護学院卒。福岡県出身、現在は神奈川県横須賀市在住。22歳でうつ病を発症し、寛解と再発を繰り返し今に至る。自分自身のうつ病がきっかけで夫もうつになり最終的に離婚。夫婦でうつになるということ、うつ病という病気の現実についてもっと知ってほしいと思い、ブログやウェブメディアを中心に情報発信中。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年6月17日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。