【臨床心理士解説】愛着障害でカウンセリングってあり?どんな効果があるの?
(質問)愛着障害を克服するためのカウンセリングにあまり具体的なイメージが持てないので少し抵抗感があります。カウンセリングを通じて期待できることってなんですか?
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愛着障害のカウンセリングで期待できること
愛着障害を克服したいと考えたときに、さまざまな方法があるかと思いますが、その中のひとつに臨床心理士や公認心理師など専門家への相談、カウンセリングを受けることが挙げられます。
カウンセリングを通じて期待できることとしては、
①守秘義務と安全な空間が保証されるため、家族や友人などにはなかなか言えないことも相談できる
②自分の中にある不安感やモヤモヤ感、ネガティブな感情はなにかを探り、軽減していく方法を探していく
③自分では気が付かなかった新しい視点や考え方の発見が期待できる
④困りごとや悩み事への対処方法を専門的な知見を踏まえて一緒に検討できる
ことが挙げられます。
以下に、それぞれについてより具体的な説明を交えてお伝えしたいと思います。
カウンセリングのメリット①
守秘義務と安全な空間が保証されるため、家族や友人などにはなかなか言えないことも相談できる
専門家は一定の知識や技術を心得ており、秘密を守ること(守秘義務)と、相談される方が安心安全の中でお話が出来る環境を提供することを大切にしております。
そのため、どのようなことでも、専門家にお話をいただいて大丈夫です。
家族や友人、知人など身の回りの人にはなかなか言いにくい、他の人に知られたらどうしようなどと気になることがある場合もあるかと思いますが、専門家との相談の場では守られた空間であるため、お話が外に漏れることはまず考えられません。
普段誰かに言いづらいこと、自分の中で引っかかっていること、怒りや悲しみなど、自由に自分のペースでお話ができます。
どのようなお話でも、専門家はしっかりと耳を傾け、あなたの思いを受け止めます。
言いたくないことは言わなくても良く、疑問やご不明点があった際には気に病むことなくそれをお知らせしていただくことも歓迎されます。
愛着障害のことで悩んでいらっしゃる方の中には、普段自分の考えや気持ちを抑え込んでしまっていたり、不安や恐怖感に苛まれて苦しんでいらっしゃる方も少なくありません。
そのような気持ちを解放し、よりあなたらしくお話をしながら、お困りごとについてどのようなことが考えられるか、どのようにしていけるかなどを考えていくことが出来ます。
なによりも、愛着障害に悩む方のなかには、安心し信頼できる場所や人がいないお辛さをかかえていらっしゃる方が少なくありませんので、安心し、信頼できる場所として私たちを活用していただくことも期待できるでしょう。
②自分の中にある不安感やモヤモヤ感、ネガティブな感情はなにかを探り、軽減していく方法を探していく
先にもお伝えしたように、愛着障害のことで悩んでいらっしゃる方の中には、ご自身の中にネガティブな感情や記憶があり、なかなかそれから逃れることが出来ずに苦しんでしまわれる方が少なくありません。
お話を重ねながら、それぞれのネガティブな気持ちや記憶の絡まった糸を少しずつ、丁寧にほぐしていくような作業をしたり、よりお困りごとや苦しさを軽減していくためにはどのようなことができるかについて、専門的な知見を交えながら一緒に考えていくことができます。
③自分では気が付かなかった新しい視点や考え方の発見が期待できる
②のような作業を重ねていくことで、あなたにとって抑え込んでいて見えなくなってしまっていた自分の考えや気持ちが見えてくることがあったり、自分で考えるだけでは見えてこなかった新しい見方や考え方がみえてくることが期待できます。
場合によっては専門的なトレーニングや技法を取り入れることを提案することもあります。
そのような気づきや発見を得ることで「これが原因で辛かったんだな」というような理解ができたり、
「次はこんな風にしてみようかな」
「自分は△△と考えがちだったけど、○○とも考えられそうだな」
「このトレーニングや習慣を取り入れてみよう」
とこれからの生活への工夫が見えてきたりすることがあります。
④困りごとや悩み事への対処方法を専門的な知見を踏まえて一緒に検討できる
愛着障害でのお悩みに、ある程度の傾向があるにしても、実際のお困りごとや、その背景、これからどうなっていきたいかなど、詳細はその人ごとに異なりますので、まさに千差万別です。
私たち臨床心理士や公認心理師などのカウンセラーはその一つ一つを教えていただきながら、専門的な知識を踏まえて、
お困りごとや今の苦しさはどのようなところからやってきているのか、
どのような対処方法があるか、
お困りごとを軽減するにはどのような方法が考えられるか、
などについても一緒に考えていくことが出来ます。
愛着障害でお困りの方の中には、人を頼ることに抵抗があったり、なかなか気持ちを言えずにつらい思いをされている方も少なくないでしょう。
焦らなくて大丈夫です。
何とかしたい、変わっていきたいと思われたそのお気持ちは、なによりあなたの強い力の証。
ある程度時間はかかるものだとどっしり構えつつ、あなたのペースを大切に、確実に愛着障害の克服へ向かって行くことはいつでも出来るのです。
私たちはいつでもあなたの勇気あるご相談を全力で受け止めたく存在しています。
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【参考】
米澤好史 愛着の視点からの発達支援 -愛着障害支援の立場から- 発達支援学研究第2巻第2号 2022
友田明美 アタッチメント(愛着)障害と脳科学 児童青年精神医学とその近接領域 2018
川本薫, 後藤和史 愛着スタイルと境界性パーソナリティが恋愛依存に与える影響 - 日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第 77回大会
伊福麻希・徳田智代 2006 恋愛依存傾向尺度作成の試み-男女観における恋愛依存傾向の比較- 久留 米大学心理学研究
やさしくわかる!愛着障害 ―理解を深め、支援の基本を押さえる 米沢好史 2018 ほんの森出版
愛着と愛着障害: 理論と証拠にもとづいた理解・臨床・介入のためのガイドブック ビビアン・プライア , ダーニャ・グレイサー
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2023年7月5日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。