被害者が加害者に好意を抱く?ストックホルム症候群を臨床心理士が解説
凶悪犯罪や事件の被害者が加害者に対して好意を抱く…。
「なんでそんなことが起こるのだろう」と疑問に持つ方、「そんなことはまず自分にはあり得ない」と思う方もいるでしょう。
しかし、ストックホルム症候群のような状況は身近なところにも存在します。
今回はストックホルム症候群と身近な例についてご紹介します。
ストックホルム症候群とは?
ストックホルム症候群とは、
誘拐事件や監禁事件など、大きな事件の被害者が生き残るための戦略として、犯人との間に心理的なつながりを築くこと
です。ストックホルム症候群は、うつ病などの精神障害ではなく、強度のストレス状況で起こる「心的外傷後ストレス障害」として扱われています。
好意を持つ、好きになってしまうのではなく、生き残るための手段として半ば無意識的に行動してしまうものです。
犯人に対して反抗的な態度を取るより、好意的な態度を取っていた方が、自分の命が助かる確率は高くなります。
極限の状況だからこそ、起こる現象といえます。
なぜ、ストックホルムという名前がついているかと言いますと、1973年8月にストックホルムにおいて発生した銀行強盗人質立てこもり事件がきっかけとなっています。
犯人が寝ている間に人質が警察に銃を向けるなど、犯人に協力して警察に敵対する行動を取っていたり、解放後も人質が犯人をかばい、警察に非協力的な証言を行いました。
被害者が加害者に好意・信頼を感じる理由
生き残るための戦略
自分が生き残るための手段として、犯人とコミュニケーションを取り、友好な関係を築こうとするものです。
戦略といいましても、意識的だったり、無意識の場合もあります。
同情や共感
犯人と時間を共にする間に、犯人やその境遇に同情を抱き、好意的に捉える場合もあるかもしれません。
また、明らかに悪いことをしている犯人が時々見せる優しさや気遣いなどから、「本当は良い人なのでは…」と好意的に捉える場合もあるかもしれません。
共依存
自分の命は犯人に委ねられているので、自分は犯人にある意味、依存した状態です。
また、「自分がいないと犯人はどうなるんだろう」と被害者としての役割意識など(ある意味犯罪者を支えている)から、お互いに依存している状態となる共依存に近い関係性となっている可能性もあります。
パラフィリア障害群(性嗜好障害)
常識的な性道徳や社会通年から逸脱した性的嗜好のことです。
あいまいな概念なので、診断基準が時代や文化、個人の価値観によって左右されたり、とても難しい障害ではあります。
ここでは、凶悪犯など犯罪者を対して、性的な興味や嗜好を持つ場合を指します。
犯罪者に対してラブレターを書いたり、ファンクラブを作ったり、獄中結婚したケースはいくつも存在します。
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- 本記事は2019年1月11日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。