【家族向け】うつ病で社会復帰するまでの心がけとは?うつ病当事者の看護師が解説

2016.12.02公開 2017.03.29更新
 
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家族がうつ病になった時にできることについて、初期編・回復期編に分けてお話ししてきました。

 

シリーズ3回目の今回は、社会復帰までの過程で、家族に何ができるのかを、考えてみたいと思います。

 

シリーズ第1回:うつ病初期の接し方とは?

シリーズ第2回:うつ病回復期での対応方法とは?

 

 

完治がゴール?

大切なことは自分の症状をコントロールできること

うつ病で闘病中の人の中には、「治す」ことを目標に頑張っている人もいるのではないでしょうか。

 

しかし今回、私はこの記事を書くにあたり、うつ病のゴールは「完治」とはしていません。

 

なぜなら、うつ病をはじめとした精神疾患に「完治」という言葉はほとんど使わないからです。

 

薬を飲まなくてもいいくらいに症状が良くなることはありますが、それは「完治」ではなく「寛解」と呼びます。

 

「寛解」とは、簡単に言うと、症状が改善した状態が続いているということ。

 

その状態は、一時的か永続的かは問いません。それは治ったわけではなく、また悪くなるかのうせいもあるのです。

 

精神疾患は、症状とずっと付き合わなければならない慢性疾患であると、私は認識しています。それは、他の医療従事者も同じだと思います。

 

うつ病も、一旦良くなっても再発する恐れは十分にあります。

 

そういった意味では、薬を飲む必要性がなくなるか、通院しなくても良くなるかということが重要なわけではありません。

 

薬の力を借りながらでも、自分の症状をコントロールできるかどうか。

 

日常生活を問題なく送れるようになって、社会復帰できるかどうかということが大切ではないかと思っています。

 

 

社会復帰までに家族ができること

では、具体的に社会復帰(復職、就職など)することを視野に入れる段階になったときに、家族ができることについて考えてみたいと思います。

 

 リワーク施設の利用を検討してみる

うつ病の症状が良くなったら、復職してもといた会社に戻る、あるいは新しく就職先を探すなどして、社会復帰の場所を検討し始めると思います。

 

そのときに気をつけて欲しいのが、焦ってすぐにフルタイムで戻らないこと。

 

しばらく仕事を休んでいた状態から、いきなりフルタイムでの仕事に戻ってしまうと、かなりの負荷がかかってしまいます。

 

おすすめなのが、社会復帰を希望する人向けのリワーク施設の利用です。

 

リワーク施設では、社会復帰に向けたさまざまなプログラムを用意しています。

 

うつ病が再発しないための心理プログラムや、オフィスで使うスキルを学んだり、職場体験をしたりする実践的なプログラムなどを、施設に毎日通いながら行っていきます。

 

その中で、「通勤する」という感覚に慣れていったり、ストレスへの対処方法を身につけたりすることで、スムーズに社会復帰ができるように自分自身を整えていくことができるのです。

 

このリワーク施設を実際に利用するかどうかは、本人の判断によるので強制はできません。

 

ですが、家族がこのような方法があると知っていれば、本人が迷っているときに助言をすることができます。

 

社会復帰へ向けてのプロセスのひとつとして、知っておくと良いでしょう。

 

焦らず見守る

社会復帰に向けてリワーク施設に通ったり、会社で時短勤務をしてみたりと、新たなチャレンジをしていくことになります。

 

これがうまくいく人もいれば、なかなかそうはいかない人もいます。

 

私は後者で、何度も就職しては辞めてを繰り返してました。そのくらい、うつ病の人が社会復帰することはハードルが高いのです。

 

家族としては、数か月単位で休んでいたぶん、早く戻って欲しいという思いもあるでしょう。いつまで休んでいるのか、心配にもなるでしょう。

 

ですが、ここで焦ってはいけません。うまくいかないこともあるかもしれない、と思っておいた方が良いと思います。

 

あまり家族が「がんばって」「早く会社に戻ろう」とプレッシャーを与えてしまうと、調子が悪いことを言い出せなくなったり、うまくいかないことを負い目に感じたりしてしまいます。

 

家族に言い出しにくいあまりに、会社や施設に行くふりをして出かけて、実は行っていなかった、なんてことも起こってしまいます。

 

私の家族がうつ病になったときは、1日会社に行ったふりをして、別の場所で時間を潰して何も言わずに帰ってきた、ということもありました。

 

うまくいかなければ、また整えてやり直せばいい。そんな心構えでいると良いのではないでしょうか。

 

日常生活の様子と症状を観察する

初期・回復期に続き、社会復帰にトライするときも、本人の様子には注意して見るようにしておくことが大切です。

 

会社や施設に通い始めること、新しいことを始めることは、大きなストレスを伴います。症状が十分に回復していなければ、また調子を崩してしまうことも考えられます。

 

過度に心配して声をかける必要はないと思いますが、環境の変化でストレスを感じやすい時期だと捉えて、注意して様子を見るようにした方がいいでしょう。

 

社会復帰するには、日常生活を問題なく送れることが大切な条件です。

 

朝起きることが難しかったり、食欲がなくなったりなどの変化が現れていないか、うつ症状がひどくなっていないかなど、家族が見てわかることもあります。

 

気になることがあれば、「つらそうだけど、大丈夫?」と声をかけてあげるといいのではないかと思います。

 

 

本人が一番焦っている

家族は「焦らなくていいよ」と言ってあげる存在に

うつ病は、再発率が高いと言われています。

 

厚生労働省のHPhttps://kokoro.mhlw.go.jp/qa/)によると、初めてうつ病にかかった人が再発する割合は、約60%。これはなかなか高い数字です。

 

うつ病は、さまざまな要因が絡んで発症します。性格や考え方、環境の変化、過度なストレスなど、それぞれに対処して再発しないようにするためには、時間も労力もかかります。

 

うつ病という病気にはそんな特性がありますから、再び働く、責任のある仕事をするということは、大きな負荷。それに慣れるには、ゆっくりと進めていくことが大切です。

 

私個人の経験ではありますが、社会復帰をするにあたっては、本人が1番焦っているんです。

 

早く1人前に働けるようにならなければ、長く休んでいたのだから、早く迷惑をかけた分を取り戻さなくてはと、必要以上に考えてしまいます。

 

だからこそ家族の方には、「焦らなくていいよ」と言ってくれる存在であって欲しいなと思います。

 

本人を見守る家族だって、きっと心配するし、焦ることもあるでしょう。

 

でも、焦ったっていいことはありません。むしろ、再び悪化してしまい、逆に遠回りになることだって考えられます。

 

うつ病との付き合いは、「急がば回れ」。焦らずゆっくり、着実に。

 

行ったり来たりをすることもあるかもしれませんが、できるだけ急かさずに見守っていただければと思います。

 

 

さいごに

発症から社会復帰まで、長い長いうつ病との付き合い。そばにいる人のストレスも大きいものです。

 

うまく発散できる場所を持ちながら、ゆっくりと進んでいくことを、心がけてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

【執筆者】

小松亜矢子 看護師

小松さんのインタビュー記事はこちら

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