【家族向け】うつ病初期の接し方とは?うつ病当事者の看護師が解説

2016.11.30公開 2017.03.29更新
 
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大事な家族がうつ病かもしれないと感じたとき、あるいは病院に行ってうつ病と診断されたとき、戸惑う人がほとんどではないでしょうか。

 

きっと、「うつ病」という病名は知っていても、わからないことだらけだと思います。

 

具体的にどんな症状が現れるのか?

これからどんな経過をたどるのか?

家族として、どんなことをすればいいのか?

 

聞きたいことがあっても誰に聞いたらいいかわからない、そんなこともあるかもしれません。

 

そこで、私自身の患者・家族、両方の立場での経験を交えながら、家族がうつ病になったときにできることについて、3回に分けてお話ししてみたいと思います。

 

今回は、うつ病と診断される前後のことについてです。

 

 

うつ病かもと思ったら…

一緒に暮らしていると、家族の異変に気がつくことがあると思います。

 

眠れていない、食事量が減った、元気がない…そんな、いつもとは違う状況に、「もしかしてうつ病では?」と思うこともあるかもしれません。

 

あるいは、本人から「調子が良くない」「何か変だ」などと言ってくることも考えられます。

 

そんなときに、まずできることを考えてみましょう。

 

まずは休養を勧める

調子が悪そうなのに、無理して会社や学校に行こうとする人もいると思います。そんなとき、まずは休養を取るよう進めると良いと思います。

 

責任感の強い人は、「仕事に穴は開けられない」と休むことを拒否するかもしれません。しかし、自身の健康を守ることが大切であること、心配だから休んでほしいということを伝えててみてください。

 

病院探しを手伝う

休養を取っても改善しなかったり、症状が長引いたりする場合は、精神科や心療内科の受診を検討したほうが良いでしょう。

 

精神科と言っても、小さなクリニックから大きな病院まで、いろいろなタイプのものがあります。

 

うつの症状があるときに、これらの中から自分で選ぶことは難しいこと。「こんな病院があるけどどう?」と提案してみたりして、病院探しや受診の予約を手伝うと、本人はとても助かることが多いです。

 

受診に付き添う

病院を決めて予約をして、いざ受診となると、抵抗を感じる人も少なくありません。精神科の受診自体が初めてで、緊張することもあるでしょう。

 

もし1人で行くことに不安があるのであれば、受診に付き添うのもひとつの方法です。信頼している家族が一緒であれば、少しは安心につながったりします。

 

また、本人が医師にうまく話ができないときに、代わりに家族が症状を伝えることもできます。

 

私も実際に、家族がうつ病になったとき、初診からしばらくは付き添いましたし、私が受診するときも付き添ってもらったことがあります。

 

自分の受診に付き添ってもらったとき、待合室で診察を待っている間はとても心強かったです。初診は特に抵抗を感じやすいですから、可能であれば付き添ってみると良いでしょう。

 

 

うつ病と診断されたあと

次に、実際に受診して「うつ病です」と診断されたあとにできることについて、お話ししてみたいと思います。

 

会社への連絡の代行

うつ病と診断されたとき、多くは「しばらくお休みしましょう」と休職を進められるのではないかと思います。

 

休職するには、会社への連絡が必須です。本人が自分でできればいいのですが、症状が重いと難しいことも。そういったときは、連絡を代行してみても良いと思います。

 

私は家族がうつ病になったとき、症状がある程度改善するまでは、本人の代わりに連絡をしていました。

 

会社によっては、本人でないと、というところもあるかもしれませんが、そういったやり方もあるので試してみるといいかもしれません。

 

各種手続きの手伝い

休職するにあたっては、手続きが必要になる場合があります。休むのに届けがいるところもあるかもしれませんし、傷病手当金を申請するにも書類が必要です。

 

また、条件を満たせば、自立支援医療の申請ができるのですが、これも書類が必要になります。

 

そういった作業は、うつ状態の人にとってはかなり厳しいもの。文字を読むことも億劫になりますし、判断力や理解力も低下するので、何をどこに書けばいいのかなどがわからなくなってしまうからです。

 

本人と一緒に確認をしながら、準備や記入を手伝ってあげると良いでしょう。

 

日常生活の手伝い

うつ病になると、日常生活行為ができなくなってしまいます。

 

食欲はないから、放っておくと何も食べなかったり、動く体力も気力もないから、着替えや入浴をしなかったり。そういった、日常生活に関することを手伝うことも大切だと思います。

 

しかし、「お風呂は毎日ちゃんと入らなきゃダメ!」「食べないと体に良くないから、ちゃんと食べて!」などと押し付けるようにすると、余計に落ち込んでしまいます。

 

こんな当たり前のこともできないなんて…と自分を責めてしまうことにもなりかねません。

 

「自分の食事と一緒に、あなたの分も作ってみたから、気が向いたら食べてね」

「もし気分が良ければ、お風呂に入ってみない?今日ダメなら、明日でもいいよ」

 

などと、選択に余裕を持たせておくと、プレッシャーに感じにくいのではないかと思います。

 

薬の管理

うつ病の治療が始まったときに気をつけたほうがいいこととして、薬の管理があります。

 

「そんなの簡単だし、自分でできるでしょ?」と思う人もいるかもしれません。けれど、うつ症状がある人にとって、薬の管理が難しいこともあります。

 

理解力や記憶力の低下によって、「あれ、薬飲んだっけ?」「何錠飲むんだっけ?」などとわからなくなってしまうこともあるのです。

 

薬をすべて預かって管理する、というところまでしなくてもいいです。忘れずに飲んでいるか、数を間違えていないかなど、見守っておくだけでいいと思います。

 

もし、自分で管理するのに不安を感じているようであれば、預かって管理をすると良いでしょう。

 

うつ病に関する本を読んでみる

うつ病だと診断されても、「こうするといいよ」と言われても、なかなか不安は消えないでしょう。

 

それは、うつ病の患者が辿る経過や、具体的な症状、治療方法などを知らないことが、原因のひとつではないかと思います。

 

そんなときは、うつ病に関する本を読んでみるといいと思います。医師が書いた病気の知識に関する本や、患者の体験など、さまざまな本が出ていますので、読みやすいものを選ぶと良いでしょう。

 

私は、「ツレがうつになりまして。」をよく読んでいましたよ。

 

うつ病の症状や経過はここで違いがあるので、書いてある通りに進むとは限りません。けれど、知識を身につけたり、似たような事例を知ったりすることで、不安の軽減につながります。

 

 

「いつも通り」が嬉しい

うつ病になったからといって、態度を特別に変えたりする必要はないと思います。過剰に反応した方が、きっと本人は気にしてしまうでしょう。

 

患者としては、「いつも通り」が1番嬉しかったり、安心したりするんです。

 

例えば、家族が熱を出したら、「ゆっくり休んでね」と声をかけるでしょう。それと同じで、「心がちょっと調子を崩してしまったから、元気が出るまで休んでね」、ということなんです。

 

病気になったというだけで、本人であることに何も変わりありません。あまり気を使いすぎずに、いつも通りを心がけるとよいでしょう。

 

 

困ったときの相談先

とはいえ、心配なことはたくさんあると思います。病気のこと、治療のこと、今後のこと、考え出すとキリがないかもしれません。

 

家族も1人で抱えていては辛くなってしまいますので、適宜相談するようにするとよいでしょう。

 

相談先としては、都道府県の精神保健福祉センターや、市町村の保健所(地域によっては、保健センター、保健福祉センターなどの名称の場合もあり)などがあります。

 

また、病院のスタッフ(看護師や精神保健福祉士など)も相談に乗ることができます。

 

公的な機関は敷居が高いと思われるかもしれませんが、情報はたくさんありますし、保健師などの専門職もいますから、困ったときは無理をせずに相談しましょう。

 

 

さいごに

「うつ病」と聞くと、「どうしよう」と身構えてしまって、不安になる人がほとんどではないかと思います。

 

回復するまでに時間がかかることも多いですが、全く良くならないわけではありません。

 

できること、必要なことをひとつひとつ一緒に乗り越えながら、家族のそばに居られると良いのではないでしょうか。

 

次回は、「家族がうつ病になったときにできること・中期編」として、主に回復期のことについてお話しします。

 

 

 

【執筆者】

小松亜矢子 看護師

小松さんのインタビュー記事はこちら

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