【家族向け】うつ病回復期での対応方法とは?うつ病当事者の看護師が解説

2016.12.01公開 2017.03.29更新
 
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
5

前回の記事では、家族がうつ病と診断される前後の時期にできることについて、お話しさせていただきました。

 

今回は、主にうつ病回復期に家族ができる対応方法について、私の患者・家族、両方の経験をもとにお話ししてみようと思います。

 

 

うつ病の回復期こそ注意

患者のそばにいる家族としては、うつ病が回復してくると「よかった」と安心するかもしれません。うつ病になった本人も、「良くなってきた」と活動的になってくるかもしれません。

 

でも実は、そんな回復期こそ、注意が必要なのです。

 

うつ病の回復期には、症状が良かったり悪かったりを繰り返します。

 

振り子のように、うつの症状が揺れては戻ってを繰り返す中で、「もう大丈夫」と思ったり、「やっぱりダメだ」と思ったり、感情も揺れます。これが、本当につらいんです。

 

うつの症状が良くなったと希望を持った翌日に調子が悪くなると、谷底に突き落とされるような絶望感に襲われます。私も経験しましたが、このショックは相当なもの。

 

症状が悪くなったことで絶望した結果、「もう自分はダメだ、死のう」と自殺行為に走ることもあるのです。

 

うつ病の回復期は、初期に比べて動くことができますので、実際に行動に移してしまうこともあり得ます。

 

うつ症状が回復してきたからと安心しないで、引き続き注意しなければならないのです。

 

 

うつ病回復期での家族の対応

では、そんな回復期に家族ができることとは何なのか、考えてみたいと思います。

 

行動・発言に注意する

上にも書いた通り、うつ病の回復期は注意が必要と言われています。

 

調子が良さそうだなと思った翌日には寝込んでいたり、意気揚々と出かけたと思ったら落ち込んで帰ってきたりと、症状は日や時間によってまちまち。

 

ちょっとしたことでふさぎこんでしまうことも、少なくありません。そんなことがあるからこそ、注意して様子を見ることが大切です。

 

おかしいな、と思ったら無理をさせないこと。

 

症状が悪くなって落ち込んでも、死にたくなったとしても「それは病気のせいだ」と、本人も家族も考えるようにするといいと思います。

 

「昨日は調子が良かったのにどうして」とか、「死にたいなんて言わないで」なんて言葉をかけると、本人がつらくなってしまいます。

 

「今日は悪かったけど、明日良くなってるかもしれないよ」という気持ちで、長い目で経過を見る姿勢でいてもらえると、患者である本人も、少し安心できるでしょう。

 

薬の管理に気をつける

前回の記事でも触れましたが、薬の管理は回復期でも大切です。

 

初期の段階では、薬の飲み忘れがないかや、正しく飲んでいるかを確認すると良いという話でした。しかし、回復期においては、少し観点が違ってきます。

 

それは、「勝手に薬をやめたりしていないか」ということです。

 

うつの症状が回復してきて、少し症状が落ち着くと、「もう大丈夫、薬はいらない」と勝手に判断して、やめてしまうことがあるのです。

 

勝手に薬をやめてしまうと、せっかく落ち着き始めた症状が悪くなり、結果的にダメージを受けることになってしまうことになりかねません。

 

精神科に受診する、精神科の薬を飲むということには、負い目を感じることもあるでしょう。早く治さなきゃ、回復しなきゃという思いもあるでしょう。

 

私も、回復期には相当焦っていましたし、いつまで薬を飲まなきゃいけないのかと悩んでいたこともありました。

 

ですが、ここで焦るのは禁物。

 

せっかく症状が落ち着き始めたのだから、安定して生活ができるようにすることが大切かなと思います。

 

急かさない

本人の症状が回復してくると、そばにいる家族にも少し焦りが出てきたりします。

 

もうそろそろ仕事に行けるんじゃないかとか、もう薬はそろそろいらないんじゃないかとか、考え始める人もいるかもしれません。

 

ですが、先ほども書いたように、焦りは禁物です。それは、家族にとっても同じこと。

 

家族から「仕事行ってみたら」とか、「薬減らしてみたら」などと言われると、無理をして仕事に戻ろうとしたり、薬を自己判断で減らしたりしてしまうかもしれません。

 

私の場合、無理に仕事をしようとしたとき、家族が無理をしなくていいからと止めてくれました。もし、あのとき止めてくれなかったら、無理を重ねて回復がずっと遅くなっていたのではないかと思います。

 

急かさず、焦らず、気長に構えて見守ること。

 

うつ病の回復はゆるやかですし、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

 

1日ごとの症状に一喜一憂せず、悪くなっても「そんな日もあるかな」くらいの気持ちでいるように心がけるといいと思います。

 

 

うつ病と付き合う家族の心構え

うつ病の経過は長期に渡ります。ある程度回復するまでに、短い人で数か月、長い人では数年かかることもあります。

 

うつ病になった本人は当然つらいのですが、そばにいる家族もかなりつらいものです。

 

先の見通しがつかない状況の中で、ずっと患者のことを気にして生活をするということは、想像以上に大変なこと。

 

支える立場の家族自身が、追い込まれてしまうことも少なくないです。

 

実際に私の家族がうつ病になったときは、先にうつ病になった私を支える中でのストレスであったことが大きな要因でした。

 

そうならないために、家族がどんな心構えでいたら良いのか、考えてみましょう。

 

 患者のことを「自分のこと」にし過ぎない

大切な家族が病気になったとき、「大変だ」「なんとかしなくちゃ」と思うことでしょう。

 

ときには、自分のことを投げ打ってまでも、家族のことを優先することもあるかもしれません。

 

しかし、そのような状況が長期に渡ると、徐々に負担となってきます。

 

家族といることをストレスに感じるかもしれませんし、自分のことのように看病することが、逆に本人にとってもストレスになるかもしれません。

 

うつ病に限らず、病気を治すのに必要なのは、本人の意思です。それを、家族が肩代わりすることはできません。

 

家族ができることは、見守ること、できないことを手助けすること、悩んだ時に一緒に悩むことだと、私は思っています。

 

「私がなんとかしなきゃ」と思い込まず、本人がどうしたいのかを尊重して、客観的に状況を見られるように心がけると良いでしょう。

 

自分の時間を持つ

長きに渡るうつ病との付き合いですから、そばにいる家族が自分のストレスを発散することも大切です。

 

ずっと気が張り詰めている状態では、必要なときに正しい判断もできませんから、適度に緩める時間を持つようにしましょう。

 

私が支える側にいたときは、仕事の行き帰りにちょっとだけカフェに寄ったり、お風呂にゆっくり入る時間を作ったりして、リラックスするようにしていました。

 

ストレスへの対処方法は、人によってさまざまだと思います。自分の時間を意識的に取るようにして、うまくメンタル面のコントロールができるように心がけましょう。

 

話せる場所を見つけておく

家族としてうつ病と付き合っていくには、話せる場所があるかどうかも重要です。

 

患者本人には、診察時に医師と話す機会があります。場合によっては、カウンセラーや看護師といったスタッフと話せることもあります。

 

しかし、家族にはなかなかその場所がないのが現状です。

 

病院のスタッフと話すことができないわけではないのですが、やはり接するのは患者がメインになってしまいますし、家族としても気が引けるところはあるでしょう。

 

ですので、病院以外にも話せる場所があると、悩みや思いを発散させられるので良いと思います。

 

愚痴だけなら友人でもいいですし、何か具体的にアドバイスが欲しいなら、市役所や保健所を訪ねるのも良いでしょう。

 

「私は大丈夫」と無理をせずに、意識的に話す機会をつくれると良いと思います。

 

 

さいごに

うつ病は、本人だけでなく家族にとっても、長く付き合わなければならないもの。

 

焦らず、ゆっくりを心がけながら、本人の回復を見守っていきましょう。そして、自分自身の事も、いたわって欲しいなと思います。

 

 

 

【執筆者】

小松亜矢子 看護師

小松さんのインタビュー記事はこちら

LINEバナー
シェア
ツイート
はてブ
お気に入り
共感
5

関連記事