心理学の勉強の面白さは?河合塾で心理学を教える先生に聞きました!
「心理学を勉強したいけど方法が分からない…」「臨床心理士を目指したいけど、どうすれば…」
なんとなく心理学や臨床心理士に興味を持ちながらも、次の行動になかなか踏み出せない方も多いと思います。
今回は、そんな方でも「一歩踏み出したくなる」お話を、河合塾KALSで心理学を教えるベテラン講師の方に伺ってきました。
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河合塾で心理学を教えて13年
最初に自己紹介をお願いします
はじめまして。宮川純といいます。河合塾KALSで心理学を教えています。
臨床心理士になるためには、臨床心理士指定大学院の修了が必要となりますので、まずは大学院への合格を目指す方を主な対象として、心理学の授業を担当させていただいております。講師としては、今年で13年目になります。
あとは、臨床心理士指定大学院入試に関する書籍などを出していたりします。
講師を始めたきっかけは?
学生の頃、もともとは大学の教員を目指していました。ただ、大学教授や大学の教員は、研究論文などを通じて、研究の業績を上げていくことが求められます。
大学院修了の段階で、「果たして自分は研究と教育、どっちをやりたいんだ」と天秤にかけた時に、「教育のほうをやっていきたいな」という気持ちが強くなったんですね。
「教育に専念できる所、教育に自分の力を傾けられる所はどこだろう」と探していた時に、河合塾KALSと出会ったことがきっかけです。
講師を始めた頃の失敗ってありますか?
心理統計という科目を担当していた時のことです。「この計算で、なんでAとBの関係性の強さが示せるのか」ということを数式的に証明しているのがすごく美しいと思っていました。
それで、「数式の美しさを授業の中でみなさんに伝えたい」という気持ちが先行しちゃったんですね。
ただ、受講生の反応は、「訳の分からない計算や数式をいっぱい並べられて、訳の分からん授業が行われてる…」みたいな感じになってしまったんです。
当時は、自分が「大学教員になりたい」という延長上で授業をしていたところがあり、あとになって「自己満足だったんだな」と思い知らされました。
それ以降は、予備校である以上、受かる授業、点が取れる授業といったものをより強く意識するようになりました。いわゆる「塾屋」としての意識が芽生えたのは、その経験があってからですね。
そもそもなぜ「心理学」?
心理学を勉強しようと思ったきっかけは、大学に入る前ですね。高校生の時に文系か理系かっていうのを決めなきゃいけない時でした。
今でも覚えてるんですけど、ぼーっと天井の蛍光灯を眺めてて、「この蛍光灯の電気がつく仕組みとかどうでもいいなぁ」とふと思ったんです。
もちろん、「なぜ蛍光灯のボタンを押したら電気が点くのか」に興味を持つ人たちもいると思います。
ただ、僕はそれよりも、実は良く分かっていない「人間」の仕組みを知りたいなと思うようになり、心理学に興味を持つようになりました。
あの時、なんで蛍光灯と人間を比べたのか、今でも良く分からないんですけども、その時の体験はすごく強烈な印象として残っています。
心理学を勉強し始めてどうでしたか?
実際、勉強し始めてからは、「こんなことまで心理学なんだ」ということがすごく多くありました。
例えば、録音した時、人の声以外にすごく雑音とかいっぱい入っているのに、なぜ我々は普段の会話の中で、雑音をノイズカットして、人の声や好きな音楽だけを聞けるのか」といったことも心理学の領域です。
あとは、「なんで人間が言葉を使えるのか」や「言葉をどうやって思考に変えて理解しているのか」、さらには「生まれてから、死んでいくまで」の一連の人間の変化を追っていく分野も心理学にはあります。
最初は、「そんなことまで知ろうと思ってなかった」というのが正直なところだったんですけど、心理学をやればやるほど、いろんな視点から人間というものを理解できる感覚がありました。
視点の豊かさと言うんでしょうか。心の問題を1つのカメラではなく、たくさんのカメラで、上から見たり、下から見たり、斜めから見たり…。
視点が変わると、同じ風景でも変わって見えるように、モノを捉える視点が豊かになれるところは、心理学をやっていて良かったなと感じます。
もう1つ挙げるとしたら、思い込みや意見の押し付けではなくて、きちんとしたロジック、根拠がある説明やデータを通じて科学的に成り立たせようとしているところも、僕が心理学を好きなところですね。
視点の豊かさ、大切ですね
視点の豊かさや科学性は、将来的に臨床心理士目指す人なら、必要になってくる部分だと思います。
例えば、カウンセリングを受けに来た人に「あなたはうつ病です」と決めつけてくるカウンセラーがいたとしたら、嫌じゃないですか。
そういった決めつけと言うか、一方的なものの見方しかできない臨床心理士さんは、本当にクライエントさんのことを理解できるのでしょうか。
「こうかもしれないし、ああかもしれないし、ひょっとしたらこうかもしれない」と、いろんな可能性を考えた上で、一緒に悩む姿勢がクライエントさんの問題解決に伴走する上で大切なことだと思っています。
心理学の面白さ
心理学の理論ってどんなものがありますか?
心理学の理論は本当にいっぱいあります。挙げればきりがないほどです。
その中で1つ、僕が心理学をよく知らない方向けに「こんな理論があるよ」とご紹介することが多いのが、ハイダーという人の「バランス理論」になります。
バランス理論には、「自分」と「他者」と「対象」という3つの要素が出てきます。
仮に、「自分」が僕だとして、「他者」は仲良しの友人だとします。「対象」は映画ということにしましょう。
その時に、僕と友人は仲良しなので、プラスの関係です。そして、僕は映画がとても好きだったとします。これもプラスの関係です。
一方で、友人は映画があまり好きじゃない場合、友人と映画の関係はマイナスになります。
そうすると、「自分」と「他者」の関係がプラス、「自分」と「映画」の関係がプラス、「友人」と「映画」の関係がマイナスとなりますよね。
そして「プラス×プラス×マイナス」という掛け算をすると、トータルでマイナスになっちゃうんですよね。
僕と友人は仲良しなのに、映画の好きと嫌いとで意見が分かれている…。このトータルでマイナスになった状態を「バランスが取れていない状態」と呼びます。
この理論が面白いのはここからで、バランスが取れていない状態に対して、3つの要素やそれぞれの関係が変化することによって、バランスの取れた状態に移行していくんですね。
例えば、僕が友人と「あの映画、面白かったでしょ」「いや、つまんない」と言い合ってるうちに、「俺も映画がつまらない気がしてきた」となったとします。
その場合、「自分」と「映画」の関係はマイナスになりますが、全体として、マイナスの関係が2つ、プラスの関係が1つになります。
「マイナス×マイナス×プラス」の掛け算をすると、トータルではプラスになりますよね。
あるいは、僕が友人に「映画面白いから、一度きちんと観てみなよ」って言って、友人が「確かに面白かった」となれば、僕と友人、僕と映画、友人と映画の全ての関係がプラスとなり、整っていきます。
こういった、人間関係や物の好き嫌いの関係を、感覚的・経験的ではなくて、きちんとロジックで説明しているというのが心理学の理論としての醍醐味であり、面白さであると思います。
ハイダーのバランス理論でいえば、この理論そのものに対する反論はありますが、プラスやマイナスを使って論理的に説明するアイデアも面白いですよね。
心理学で日常に使えるテクニックってありますか?
まず1つ目にご紹介したいのが「自己成就的予言」と呼ばれる理論です。
すごくざっくばらんに言ってしまえば、「できる」と言った人ができるようになるという理論です。
例えば、受験の話で言うと、「合格します」と周りに言うと、言ったからには受からなきゃいけなくなっちゃうんですよ。
もちろん、絶対受かるとは限らないですけど、やっぱり合格率は高くなります。オリンピックのメダリストでも、出発前に「金メダル取ってきます」と言う人は多いですよね。
たとえ、「金メダルを取れるわけがない」と思っていたとしても、言わなきゃできないですし、言ったからにはやらなきゃいけなくなるということに、つながってくるのだと思います。
これの逆もあって。「セルフハンディキャッピング」と言うのですが、やる前から「できない」って言っちゃうと、できなくなっちゃうんです。
何かをやる前から弱音を吐き始める人っていますよね。なぜそうなるかと言うと、できなかった時の自分を守るために、ついつい「できない」っていう風に言っちゃうんですよね。
実際にできなかった時に、「ほら、言った通りにできなかったでしょ」と言う。
すると、できなかったはずなのに、言った通りになったことで満足感が得られてしまいます。
ですので、つい「できなくてもいいか」という感じになってしまう。結果として「できない」と言う人は、物事を達成できないことが多くなってしまうんです。
このことは受講生のみなさんにもお伝えしていることでもあります。特に「受験が近づいた頃には『もうだめかも』って言っちゃだめだよ」とお話します。
自分の弱さをさらけ出すことは悪いことではないですが、「できなくてもいいか」「だめでもいいか」となってしまうからです。
どれだけ「だめかもしれない」と思っても、親しい人や親には、きちんと「受かってきます」と言ってくださいねとお伝えしています。
予備校講師という立場
どんなところに講師としてのやりがいがありますか?
大学の授業ですと、知的好奇心や教養を満たしていくことが大事になっていきますが、予備校は入試での「合格」「得点力」といった結果に繋がらないと、面白い授業をしてもあまり意味はありません。
「どういう問題が出題されていて、どういう内容が問われていて、どういう用語が今よく出題されているのか」
といった、自分の興味だけではなく、出題分析や傾向分析をしなければいけないところは、大学の授業とはずいぶん違う部分なのかなということは思います。
だからと言って、つまらない授業をしていても、みなさんのやる気が逸れてしまいます。
いかに、やる気を出してもらいながら、同時に得点力もつけてもらう…という両方を追求するところは難しくもあり、予備校講師としてのやりがいの部分でもありますね。
実際の教室の様子はどんな感じですか?
教室の中は、大学生、20代・30代の社会人、子育てが一段落した40代・50代の主婦、定年を迎えた方など、とても多彩です。
「臨床心理士をずっと目指したいって思ってたんだけど、子ども優先の生活で、なかなか自分の時間を確保できなくて…」みたいな主婦の方もいらっしゃいます。
そういった意味で河合塾KALSは、お仕事や子育てが一段落して、「臨床心理士を目指そう」と勇気を出して一歩踏み出してきた方が集まってるフィールドでもあります。
いろんなバックグラウンドを持つ、いろんな世代の人と意見交換すると、僕自身も刺激になったり、思考がリフレッシュしたりする部分があります。
そういった、臨床心理士指定大学院受験を目指す予備校ならではの教室の独特な感じはすごく好きです。
生徒との接し方で大事にしていることは?
受講生のみなさんを常にリスペクトしたいと思っていることでしょうか。
僕は、心理学に関する知識については、とりあえず受講生のみなさんよりは持ってるかもしれません。
しかしその一方で、受講生のみなさんも、僕が知らないサラリーマン経験や主婦経験など、僕にない人生経験をいっぱい持ってるはずです。
リスペクトを忘れてしまうと、僕が大切にしたい「視点の豊かさ」が失われてしまうと思うので、受講生のみなさんへのリスペクトは大事にしたいと常々思っています。
心理学に興味を持つ方へ
心理学に興味を持つ読者へメッセージを
僕がすごく好きな心理学者の1人に、エリック・バーンという心理学者がいます。彼の理論はいっぱいあるんですけど、その中に「脚本分析」というものがあるんですね。
その脚本分析というのは、「誰もが人生の脚本っていうものを作っていて、その脚本に沿って生きている」という考え方なんです。
人生の脚本は、自分の人生の道筋を作ってくれるものでもありますが、脚本に縛られちゃうこともあります。
例えば、「どうせ、自分にはできっこない」とか「自分の人生にこんなこと起こらない」とか「自分にはこんなことは無理だ」とか。
しかし、バーンという人は、人生の脚本は自分で作るものだからこそ、「脚本は自分で変えられる」という考え方を持っているんですね。
なぜ今、バーンの脚本分析の話を挙げたかと言うと、
「心理学に興味を持ってる。でも時間がない」
「臨床心理士になりたいなと思ってる。でもそんなことできっこない」
というのは、ある意味自分の人生の脚本を、自分で決めちゃっているような感じだと思うんですよね。
「本当に、その通りなんでしょうか」と。
実際に社会人の受講生にお話を聞いてみると、「臨床心理士なりたいなって思ってたけど、一歩を踏み出せなくて2年、3年悶々していた」という方も多くいらっしゃいます。
それでも、「やっぱり、心理学を勉強したい」「臨床心理士になりたい」と、一歩を踏み出した方が集まっている場所が河合塾KALSです。
河合塾KALSという所は、まさに「自分の人生の脚本を変えよう」と思う人が集まる所なんですね。
ですので是非、「心理学に興味を持っている」「臨床心理士になりたい」という方は、ガイダンスやイベント、個別相談会に来てみてほしいですね。
みなさんの人生の脚本を変える手助けとして、ちょっと背中を押すことができるかもしれません。
実際来ていただいたら、みなさんの人生の脚本は変わると思います。
はじめよう。まだ、未来は変えられる
河合塾KALSの「はじめよう。まだ、未来は変えられる。」というキャッチコピー、僕すごく好きなんです(笑)。
「『未来を変えられない』と思いこんでいるだけかも」という気づきになるような言葉ですよね。
実際、「自分の人生を変えたい」と思っている人たちのパワーや熱意というのは、僕のような講師の熱意も引き立たせてくれるものになります。
是非、「心理学やカウンセリングに興味は持っているんだけど、なかなか一歩を踏み出せない」という方は、河合塾KALSの熱気を感じていただくと、踏み出せるかもしれないと思っています。
もちろん、ご家庭のことや経済的なことなど、超えなきゃいけない壁はあると思います。言うほど簡単じゃないことは百も承知です。
それでも、「できる」と言った人は出来るし、「やる」と言った人がやれると僕は信じています。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2017年2月27日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。