【傷病手当金】退職後の申請・任意継続の手続きを精神保健福祉士が解説

2018.06.06公開 2019.05.16更新

企業で働く方には、病気になったとき、収入を保障してくれる「傷病手当金制度」があります。

 

これは加入している健康保険から保障されるものです。

 

病気によって働けなくなってしまったとき、必ずしも復職できるとは限りません。

 

退職後も治療が続くときのために、手当金の申請について知っておきましょう。

 

【関連記事】

>>傷病手当金の申請期間・書き方・金額・申請先

 

傷病手当金の退職後の申請

退職日に就業不可であること

退職後に傷病手当金を申請するときは「退職日に就業不可であること」が条件になります。

 

退職日に出勤してしまうと、傷病手当金の計算は退職日前日までになりますので退職日の設定には注意が必要です。

 

引継や退職のあいさつなどが気になる場合もあるかと思いますが、どうしてもということであれば、退職日より前に行っておきましょう。

 

3日以上連続して就業不可があった場合

また、休職中の傷病手当金申請と同様に、3日以上連続して就業不可の日があることも必要になります。

 

土日や有給休暇など、会社の休みがあってもかまいません。働くことができない状態が続いていることがポイントです。

 

そして、1年以上の被保険者期間があれば申請することができます。

 

これは申請者がひとつの企業に1年以上勤務したということではなく、協会けんぽに1年以上加入していたということが条件なので転職していても申請は可能です。

 

申請のしかたは、会社に在籍している期間が含まれているかどうかで変わってきます。

 

傷病手当金は、けがや病気によって就業できなくなってから最長で1年6ヶ月受給できるので、就業できないまま退職になるとそれ以降も手当金は支給されます。

 

健康保険への加入期間がポイント

傷病手当金は申請者が健康保険に加入している期間がポイントです。会社に所属していなければ受給できないというわけではありません。

 

実際の申請は退職日まで給与が支払われており、傷病手当金を申請していなかった場合と、けがや病気をしてから退職日まで期間が短い場合に分かれると思います。

 

就業不可になってから1年6ヶ月間受給できるので、その前の12ヶ月間の収入を基準として、いつからいつまで傷病手当金を申請できるか計算してみるといいと思います。

 

どちらの場合も、収入の計算基準は在職中の給与となり、退職日からの算定になるため、初回申請時は在籍していた企業からの申請書への記入が必要です。

 

無給での欠勤が続いており、退職後に在職期間分を遡って申請したい場合には、傷病手当金を申請できる状態になってから、2年間までは遡って申請することができます。

 

会社が申請へ協力的でなかった場合は、申請書を自分で記入し全国健康保険協会へ直接請求することもできます。

 

 

退職後に傷病手当金を貰える要件とは?

退職時に就業不可であり無給であっても、傷病手当金を受けられる対象でない場合は、手当金を受け取ることができません。

 

傷病手当金を受け取れる状態とは以下のような状況です。

 

退職日に傷病手当金を支給されている

退職日の前まで傷病手当金を受け取っており、1年6ヶ月の期間内である場合、そのまま対象期間内は傷病手当金をうけとることができます。

 

退職日に傷病手当金以上の給与が支払われていない

傷病手当金を受け取るには無給の状態でなければならないため、給与が発生していた場合、傷病手当金の対象期間にはなりません。

 

退職日を無給期間始まりの日として申請することができます。

 

退職日が有給休暇として処理されていない

休職が有給休暇として処理されていた場合は、その間、給与があったことになりますので、手当金の対象とはなりません。

 

有給休暇として受け取れる金額の方が多いのでそちらを優先してよいと思います。

 

退職日までに出産手当金を支給されていた場合

なお、休職期間中に協会けんぽから出産手当金を受け取っていた場合、無給状態としては計算されません。

 

出産手当金を支給されていた期間を含む1年6ヶ月が傷病手当の対象期間となります。

 

 

退職後の継続給付について

退職してからの申請は、当然ながら申請者本人が行います。

 

この期間については事業主がいないので、事業主について記入する必要はありません。

 

繰り返しになりますが、申請者が協会けんぽへ加入していた期間が基準です。

 

その間に退職していても、支給には関係ありません。

 

退職後は失業手当を受けられるため、傷病手当金の申請を迷う方もいると思います。

 

傷病手当の支給期間が終わってから、失業手当に切り替えることができるので、長期にわたって働けない場合は、傷病手当金の支給期間が終わってから、失業手当を受けるとよいと思います。

 

そもそも、失業手当の給付を受けるには「就職活動をしていること」が条件となるので、就業不可の場合は無理に就職活動をする必要がなくなります。

 

 

さいごに

在職中から傷病手当金の申請をしていなかった場合、自分が手当を受けられるのかわからないことが多いです。

 

失業保険申請のためにハローワークなどで気づいた、または自分で気づいたけれど申請の仕方がわからないという方も多いと思います。

 

病気によって収入が途絶えてしまったのに、必要な保障が受けられないとお金の心配ばかりが募ります。

 

ハローワークや協会けんぽの窓口に問い合わせてみるなど、まずは受給できる状態にあるかを調べてみましょう。

 

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菊池恵未

精神保健福祉士

精神保健福祉士として、都内NPOにて精神障害者の支援を行う。就労支援担当として面接同行や就職後の業務メニュー作成などをしてきた。障害年金や生活保護受給の相談にものっている。JCTA日本臨床化粧療法士協会認定のもと臨床化粧アドバイザーとしてメイクアッププログラムを実施。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年6月6日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。