人間関係と断捨離!子育てに活かす方法をチャイルドカウンセラーが解説

2017.02.21公開 2019.05.16更新

洋服を断捨離しようと思ったこと、一度は経験があるのではないでしょうか?

 

人間関係は、洋服の断捨離同様、「あいまいさ」の引き出しがあれば上手く行くかもしれません。

 

そこで今回は、人間関係における「あいまいさ」の重要性をクローゼットの断捨離に例えながら解説しました。

 

 

人間関係での「あいまいさ」

子ども達は学童期(小学生低学年)が始まるころから、親の人間関係のモデルをみて学習し始めます。

 

人間関係のモデルとは、

 

・人との付き合い方

・人との距離の取り方

・対人トラブルの処理の仕方

・困ったときの対処の仕方

 

などです。

 

これを学童期の場合に言い換えると、

 

・友だちとの距離の取り方

・ケンカの仲直りの仕方

・いやなことがあったときの対応

・困ったことが起きたときの処理の仕方

 

などで、この頃のほぼ全ての人間関係に関わります。

 

親は会話の中で、「それは○○だったね。」と子どもの気持ちを受け入れながら、「こんなときは、こうしてみたら?」とモデルを示します。

 

その際、できるだけ子どもが自分で対処できるように促すことが大事です。

 

学童期前期の7歳ころまでには、人間の考え方のスタイルが決まると言われています。

 

このころに親から見て学習した対人関係のモデルが、子ども達の今後の対人関係のパターンを形作るのに大きな役割を果たします。

 

 

「あいまいさ」の重要性

しかし、子ども達の中には考え方に余裕が無く、白か黒かしかない子が多く見られます。

 

「白か黒かはっきりさせないと気がすまない。」と考える子が増えてきています。

 

そして、そんな風に考える子ども達の親にも、また同じような傾向が見られます。親のモデルを見て学習しているのですね。

 

実は、そこにはとても大事なモデルが一つ抜け落ちているのです。それは、「あいまいさ」のモデルです。

 

あいまいさとは、「宙ぶらりん力」「曖昧耐性」ともいい、曖昧さに耐える力のことです。

 

すぐに答えを出すことに比べて、あいまいな状態は実はとても不安です。

 

その不安をそのまま受け入れ、不安に耐える力がないと、違いを受け入れられず、安定した人間関係が築けなくなります。

 

あいまいさのモデルを親が示すことで、子ども達が柔軟性を身につけて、グレーな社会の中を生き抜いていく力を間接的にサポートすることに繋がります。

 

 

人間関係と洋服の断捨離は同じ

これをクローゼットに眠る洋服の断捨離に例えてみると、よくわかります。

 

断捨離をするときに、私たちはまず2つの箱を準備して一気に仕分けようとします。

 

一つは「要るもの・とっておく物」(白)、もう一つは「要らないもの・捨てる物」(黒)です。

 

しかし、2つの箱に全ての衣類を入れるとなると、作業が意外とはかどらなかったなんて経験はありませんか?

 

なぜなら、二者択一の判断が難しいからです。そして、時間も気力も労力も使い、とても疲れてしまい、結果、時間内には終わらないなんてことに。

 

これでは、整理整頓がさらに億劫になりますね。

 

しかし、テレビや本でよく見る整理整頓のプロは、二つの箱はそのままに、もう一つ箱を追加し三つ準備します。

 

必要(白)、とりあえずキープ(あいまい)、捨てる(黒)です。

 

すると、仕分けの作業が思いのほかスムーズに進み、結果あいまいの箱の中身が一番多かったりしますね。

 

あいまいの箱の中身は「捨て時のタイミングを計っている」ということだそうです。要するに、決断を先延ばしにしているわけですね。

 

しかし、断捨離としては、結果的にこちらのほうが効果的に進んでいますね。

 

 

不安定な人間関係が生まれる背景

白か黒か(勝ち負け、正誤、0か100)のモデルしか知らずに育つと、引き出しは2つです。この中に全てを入れようとします。

 

「白でないなら黒」

「好きじゃないなら、嫌い」

「100点じゃないと意味が無い」

「ちょっとでも出来ないなら、ダメだ」

「失敗したら、終わりだ」

「必ず誰かが悪い(自分以外)」

「お前が悪くないなら、全部俺のせいかよ(開き直る)」

「こいつ味方、こいつ敵。(自分と違う人間とは付き合わない)」

 

白か黒の世界では、「二者択一的な考え方」で、自分の価値観だけで結論づけて行動してしまいがちです。

 

その結果、自分と同じ人は良いけど、自分と違う人は排除したり、違いを受け入れられずいじめに繋がったり、安定した人間関係を築く事が難しくなります。

 

 

あいまいさを取り入れるためのフレーズ

そこに、3つ目の引き出し、「あいまいさ」の引き出しを加え、引き出しを3つにしてみると、

 

「はっきりさせなくても、いいんだ」

「自分だけでは決められないこともある」

「他の人の意見もきいてみよう」

「もうちょっと考えてみよう」

「時間が解決してくれる」

「まあ、いっか」

「こんなこともある」

「こんな人もいる」

 

と白黒以外のグレーゾーン、決着をつけない、問題を先延ばしにする、他者に委ねる、時間をかける、といったことができるようになります。

 

そして、実はこのあいまいさの引き出しが1番収納力が多いように思えます。

 

 

まとめ

このように、日常生活においても、あいまいさの引き出しを持っておくことで、選択の幅を広げ、柔軟に物事を決断する事ができます。

 

マイペース、

マイルール、

自分らしさ、

人と違う、

逃げ道

 

といった世間一般の常識や多くの人が使うルールに属さない独自の価値基準を持つことで、極端な自責や他責にならず、違いを受け入れ、他者との境界線を引く事が出来ます。

 

そして、いろんな人間関係をスムーズに受け入れ、安定した関係を続ける事ができるようになります。

 

この「あいまいさ」のモデルをお子さんが小学校に入る頃から意識して、是非プレゼントしてあげてください。

 

この先、長い彼らの人生をきっと豊かにしてくれることでしょう。

 

 

【執筆者】

佐藤真由美 チャイルドカウンセラー

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  • 本記事は2017年2月21日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。