【第14話:くやしい】〜お父さんうつ日記〜
リビングの壁に、父の飲む薬を貼る作業を始めて以来、父は順調に薬を飲み続けていました。
私はその状況を嬉しく思っていたのですが、ある夜、母とプチ衝突がありました。
プチ衝突があった時、母と私は二人でリビングにいました。確か、母はお風呂上がりで、自分の足揉みをしていました。
私は壁に貼った薬が毎日減っていっている様子を見て、母に「お父さんちゃんと薬飲んでるね」と言いました。
「そうだね。よかったね。」という言葉が返ってくるかと思ったら、反対にとても冷たい返しだったので、とても驚きました。
「私、薬飲まなくていいって言っちゃったわよ。どうせ飲んだって変わらないんだから。」と。
この時、私が心底ガッカリしたのは言うまでもありません。
「せっかく薬を飲むようになったのに、なんでそんなこと言うんだろう?」
「飲まない時も怒ってたのに、何が気に入らないんだろう?」
「また飲まなくなっちゃったらどうするんだろう?」
「治ってほしくないのかな?」
と、一気にたくさんの疑問が湧きました。
父のために頑張ろうとしていた私の気持ちが、母の心無い言葉によって、一気に崩されてしまったような思いがしました。
この時の母の気持ちは、全く理解ができませんでした。
今になっても、別に分かるようにはなってないですが、何となく想像はできるようになった気がします。
母も母で、父の服薬状況について心配していなかった訳ではないし、父に対して、全く働きかけをしていなかった訳でもありません。
そんな中、「休職延長の手続きの期限が近づいてきたから」という理由で、ちょろちょろっとクリニックに行き、その流れで服薬もするようになっている、という状況は、母にとっては面白くなくて当然かなと思います。
母の中では、
「それくらいでクリニック行けるなら、最初から自分で行ってよ!」
「私の心配は何だったの!」
と、行き場のない苛立ちが生まれていたのかなと今は想像できます。
まぁどんなに想像をめぐらせても、本当のところはどうなのかっていうのは分からないんですけどね。
そういえば、患者家族のメンバー同士って、「うつ病を患った本人についてどう思っているか」ということについてお互い話し合ったりするんでしょうか?
私たちは、していなかった(できなかった?)けれど、本当はそういう機会を設けた方が、お互いのためにもよかったんでしょうね。
【第15話:どうなることやら】を読む
【執筆】
シブ子
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- 本記事は2017年4月15日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。