うつ病のどん底から復活。「普通の働き方」から逃げた先で見つけた自分
目次
退職後の引きこもり生活と死を意識した理由
退職後は実家に帰り、自室に閉じこもりました。
母が過干渉気味だったこともあり、家族ともできる限り、会わないようにする生活が3ヶ月ほど続きました。
「それまでいい子で来れたのに。兄や姉はちゃんとしてるのに…」と。
当時はじっとしていられないくらい、焦燥感や死にたい気持ちが強くありました。
薬を飲んでいるときは、好きだった漫画すら読めない、アニメも見れない状態。
テンションが妙に上げってしまって、自分が自分でなくなる感覚がありました。
「薬が抜けたら良くなるんじゃないか」
と、二週間ほど断薬してしまったんです。絶対にお勧めはしませんが。
当時死ななかったのは、単に死ぬ勇気がなかったから。
それでも地獄の二週間をなんとかやり過ごすと、体調が少しずつ落ち着いてきたんです。
ベースとなる身体を農作業で整え、将来の経済的な不安や感情の波を整えるために心理学を学び、自分に合うか色々と試しました。
私に合っていたのは認知行動療法。
これは現在の伴走支援でも非常に役に立っています。
当時は反すう思考で悪いところに目がいきがちでしたので、認知行動療法で視野を広げられたのは良かったです。
これは、「もし〜なら、・・・する、(しない)」と、行動をおこすために自分の中で条件づけをするものです。
「面倒くさいなと思ったら、作業を始める」
「朝起きたら、自分が楽しいことをしよう」
といった感じですね。
出来なかった時も「もし出来なかったら、◯◯する」と、出来なかった分のリカバリーも含めることで、継続出来ていました。
どれだけ改善していったかを記録していくことで、モチベーションを高めていくことにも繋がったと感じます。
いきなりドンと変わるわけではないですが、まずは体調を整えるという基本中の基本をやることからが大切でしたね。
さらに「仕事を探せ」と言ってきたり、農作業を無理やり手伝うように言うなど、関係がよくありませんでした。
「自分たちの息子やから大丈夫や、信じて見守ろう」
と言ってくれたおかげで、自分のペースで療養できるようになり、関係も良くなっていきました。
うつやひきこもりの改善に役立った「梅作業」
幼い頃から手伝いをさせられ、「農家にはなりたくない」と正反対のSEを選んだくらい嫌だったんです。笑
仕事を終えた後のご飯は美味しくなりましたし、風呂に浸かることの喜びを再認識できるようになりました。
1ヶ月半ほど経ってから、食事が美味しく感じるようになり、梅の実がなったり、木が成長したり。
目に見える達成感を味わえるようになっていましたね。
日本人は元々農耕民族ですしね。マイナスの状態からプラスに持っていくには持ってこいだと思います。
身体の調子を整えたことによって、本が読めなかった状態から、読書ができるようになり、メンタルの改善にもつながりました。
自分にあった正しい戦略を持てば改善する方法は必ずあると、この時学びました。
自分に自信が持て、新しい何かに挑戦してみようという気持ちになれました。
そのおかげで、趣味だった時計をビジネスとして立ち上げることが出来ました。
自分の無理のない範囲で「give」することで必ず返ってくることも知りました。
人に親切にすると、人に頼られるようになる。この実感の繰り返しで自己肯定感も高まったように感じます。
趣味の時計と農業を商いとして自立
しかし、それでは結婚することもできないですし、将来の不安を拭うことは出来ない状態でした。
とはいえ、いきなりそうなった訳ではなく、これも小さな改善を繰り返し、より良い方法を探ってきた結果でした。
「本当に嫌と二回思うまではやってみる」
などのルールを設けて、いかに続けられるかの工夫はしていました。
モチベーションが下がった時に、好きなアニメや漫画を上手く活用したり、ストレスの乗り越え方の勉強も役に立ちましたね。
そして、お金に執着が無くなった今の方がお金が入ってくるようになりました。
ここまで来るには、強い不安やストレスが多くありましたが…。
シェアハウス、居場所作りについて
2018年5月、最初は一人暮らしをしていた自分の家から居場所作りを始め、2019年6月にシェアハウスをオープンしました。
自分の能力を最大限発揮することができれば、自身が満足いく生活や仕事が出来ると思うようになったことがきっかけでした。
それから…
そして、「和歌山に戻ってきていたら…」というご遺族の言葉も頭に残っていました。
だったら、自分がその「戻ってこれる場所」を作ろうと。
そこでまずは、地域の方々との関係作りを大切にするところから始めようと、日頃の挨拶はもちろん、困り事があればお手伝いをさせてもらっています。
その地道な積み重ねが居場所作りには必要だと考えているので、今も地域との調和をとても大切にしています。
そして、お金のことについては「2階建て」で一緒に考えるようにしています。
現実と理想、それぞれの視点からバランスを意識して選択肢を相談し選んでいくイメージです。
そのバランス感覚を身につけていくことで、自分の人生に納得感を持っていただけたらなと。
「僕たちは世間体やお金が欲しいのではなく、仲間が欲しい」
ということ。正論では響かないことも多いので、横視点で上下関係なく仲間として伴走することは、これからも続けていきたいですね。
1人ではなかなか継続出来なくても、仲間と一緒に支え合い、科学的根拠に基づきながら乗り越えていければいいですね。
そして、それぞれが自分の人生の主人公。
小さな積み重ねによって、生きづらさを前向きな選択肢に変えていける人を増えるお手伝いができたら嬉しいですね。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年7月5日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。