家族のために生きようとしすぎていた自分との決別【クローバー さん第6回】
前回のコラムでお話したように、なんとか就職活動を終え、無事に社会人になるわたしですが、目標がないまま入社したため、またモヤモヤした日々を過ごすことになります。
今回は、就職後に悩んだこと、転職、これからのキャリアについてお話します。
思いも寄らない新潟での新生活
知り合いのBさんからたまたま勧められた会社へ就職しましたが、総合職採用であったため、全国転勤があり、初任地は新潟の営業所になりました。
しかし、静岡で生まれ、大学時代は東京で過ごしていたので、全く縁もゆかりもない新潟での新生活は、正直かなり苦しく、物理的にも精神的にも孤独な日々でした。
友だちもいない…
家族のもとにはすぐに帰れない…
大事な友だちにも会えない…
自分の人生、どうなるんだろう…
本当にさびしく、つらかった。
親に心配かけてはならない。だから絶対に働かなければならない――
その気持ちだけで入社したわたしは、就職後どんなキャリアを歩みたいか、どう成長していきたいかなど、全然描けていませんでした。
自分が就職活動でいかに自分自身に向き合えていなかったのかを痛感しました。
そして、遅ればせながら就職後にやっと、「自分のやりたいことってなんだろう」と真剣に向き合うようになりました。
同期のメンタル不調と退職
悩みながら過ごしていた入社半年ほどの頃のことです。同期がメンタル不調に陥り、退職したとの知らせを聞きました。
それを聞いて、父のことを思い出し、
「やっぱりうつ病は誰でもかかるものなんだ」
「なんにも助けてあげられなかった…」
と激しい後悔の念が湧きました。
同期への想い、カウンセラーへの道
しかし、わたし以外の他の同期は、そのことに一切触れもせず、何事もなかったかのように振る舞っており、
「ああ、世の中ではまだまだこういう意識が根強いんだな…」
と、わたしは愕然としました。
「辞めた同期に何かしてあげられればよかった」
「話を聴いたり、サポートしたかった…」
そんな悔しさと怒りの気持ちを知り合いのBさんに伝えたところ、産業カウンセラーの資格取得を勧められました。
「わたしの道はこれかもしれない」と直感的に感じ、すぐに受講申込をし、約1年間新潟から東京へ通い、資格を取得しました。
うつ病の父が言った言葉
途中、実はわたし自身も体調を崩しかけたことがありました。
慣れない新潟での暮らし、仕事、さらに資格取得で目まぐるしく、いっぱいいっぱいだったのだと思います。
改めて、仕事が原因でうつ病を患った父のつらさ、苦しさを感じることとなりました。
そして、実家で休んでいるときに父からこう言われました。
「焦らず、マイペースに。気楽にね。人生どうにでもなるよ」と。
痛みや苦しみを乗り越えてきた父だから、言えた言葉だったと思います。本当に、ありがたいなと思いました。
家族のために生きようとしすぎていた
私自身は幸いにも、1ヶ月弱で復帰できましたが、辞めた同期のこと、父のこと、そして自分のキャリアのこと…休みの期間に、じっくりと向き合うこととなりました。
「やっぱり、わたしは苦しんでいる人たちのサポートがしたい」
「キャリアとメンタル、どちらも大切にして、人の気持ちを支えられる人になりたい」
このときに強く思いました。
同時に、自分が家族のために生きようとしすぎていたことにも気づきました。
「親の期待に応える人生ではなく、自分が自分のために生きる」
そうやって生きていかないと結局苦しくなる。
長い道のりになるかもしれないけど、絶対いつか自分のやりたい仕事をできるように、少しずつでも進んでいくことを決意しました。
失敗を繰り返したからこそ
その後、わたしは新潟から東京へ異動になりましたが、やはり自分のやりたいことをやるため、力をつけていくために、3回の転職をしました。
正直、きれいな経歴ではありませんし、人に語れることではないと思っています。
でも、やりたいことが見つからなかったわたしが、今こうしていられるのは、本当に幸せなことだと思っています。
失敗を繰り返したからわかったこと、見つけた道です。
確かに器用な生き方ではないですが、少しずつ前に進んでいっていると自分では感じています。
何の目標もなく親のために生きていたわたしですが、これからは自分の目標のため、夢を実現させるために、少しずつ歩んでいきたいと思っています。
ペンネーム:クローバーさん
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- 本記事は2017年8月1日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。