【臨床心理士解説】何もしたくない状態=怠け?不安や自己嫌悪が止まらない場合は?
「やらなければならないことはあるけれど、もう何もしたくない…」
そんなふうに感じた時、心行くまで何もせず休めたらいいですよね。
ただ、忙しい生活の中では、そうはいかないことがほとんどでしょう。
頭ではわかっているけれど手が付けられない状態が続けば、「自分は怠けものだな…」と自己嫌悪に陥ってしまったり、「周りにも怠けものだと思われているだろうな…」と不安になったりするのも無理はありません。
思いつめすぎると気持ちの落ち込みが大きくなり、精神的に不調をきたしてしまうことも考えられます。
それでは、このような状況から抜け出すには、どのような方法があるのでしょうか。
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考え方を切り替えてみる
実は、やらなければいけないと思っているのに手がつかない状態は「怠け」ではありません。
もし「怠け」であれば、「何もしたくない」と思ったら、罪悪感なく何もしません。
「何もしたくない」という現状に不安や自己嫌悪を抱くのは、「やらなければいけない」と思っているからなのです。
そのため、真面目な人や責任感の強い人ほど、なんらかの影響で「何もしたくない」という状態になった時、自分を責めてしまったり思い悩んでしまったりすることがあります。
「やらなければならないことは頭ではわかっている、でも身体が動かない…」
「何もしないままでは周りに迷惑をかけてしまう。でも手が付けられない…」
そんな時は、
「自分は怠けているわけではない」
「むしろ何とかしなければと真剣に考えているんだ」
と考え方を切り替えてみましょう。
自分を責めてしまう辛い気持ちは、多少なりとも和らぐのではないでしょうか。
「できたこと」をしっかり意識する
一時的に「何もしたくない」状態になることは、誰しもよくあることでしょう。
ただ、それが長く続くと自信をなくしていってしまうことがあります。
例えば、風邪をひいてしまったことをきっかけとして、身体がだるく、「何もしたくない」状態になったとします。
風邪が回復した後も、しばらくは体力が落ちているでしょうし、完全に元の調子を取り戻すまでには時間がかかるかもしれません。
そんな時に、休んでいた分を挽回しなければ!と自分の限界を超えて頑張ってしまうと、どうなるでしょうか。
やらなければならないことは多いのに、焦って空回りしてしまったり、オーバーワークによる疲労でさらに調子が悪くなってしまったりする可能性があります。
こういったことが繰り返されるうちに、「またできなかった…」と自信がなくなり、不安や自己嫌悪が強まってしまうと考えられます。
「自分は何もできていない」と感じてしまう時は、積極的に「できたこと」を意識するようにしましょう。
「会議に必要な資料のコピーはした」
「勉強をする気にはならなかったけれど、志望大学のサイトを見て情報収集はできた」
「今日は買い物ができた」
「今日は本が読めた」
など、どのようなことでもOKです。
やらなければならないことと関係がなくてもかまいません。
「できたな」「やれる」という感覚を積み重ねることで自信を徐々に回復することが期待できます。
「やらなければいけないと思っている」と周りに打ち明ける
周りに怠けと思われているのでは…という不安が特に強い人もいるでしょう。
その場合は、怠けと捉えられることで「誰にどう思われるのが心配か」を振り返ってみてください。
例えば、親に嫌な顔をされるのが心配な方もいるでしょう。
職場であれば、上司に評価を下げられるのが心配な人もいるかもしれません。
また、実際に「怠けている」「甘えだ」と言われてしまった…という方もいるかもしれませんね。
自分では「やらなければならないと思っている」「やりたいのに手が付けられないんだ」と思っていても、周りの人からすると、「やっていない」という結果だけが目についてしまうものです。
「この人には怠けと思われたくない」という人がいれば、あえて「やりたくないわけではない」「やりたいのに何もしたくない気持ちになってしまう」ということを打ち明けてみるのもいいでしょう。
もし、「そうだったんだね、知らなかった」と理解してもらえれば、怠けているわけではないということが伝わって安心できるのではないでしょうか。
その後、どうしたらよいかを一緒に考えてくれるかもしれません。
ただ、「打ち明けたらもっと怒られてしまいそう…」という人が相手である可能性もありますよ。
「この人に打ち明けるのはちょっと不安だな」と感じるのであれば、無理に話さなくてもかまいません。
まずは「この人なら話せそう」という人に相談してみることを優先してください。
味方を増やしていけると心強いですし、あなた自身の不安や自己嫌悪もやわらいでいくのではないでしょうか。
さいごに
今回は、何もしたくない状態に不安や自己嫌悪が強くなってしまっている状況から抜け出す方法についてお伝えしてきました。
もし今このような状態にある人は、とても困っているでしょうし、つらい気持ちになっていると思います。
今回取り上げた方法の中に、参考になることが見つかれば幸いです。
もちろん、無理に試す必要はありません。
やってみることができそうだな、と思うことがあったら、トライしてみてくださいね。
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【参考文献】
●森川那智子(2007)『なんにもしたくない! ちょこっと、自分を、休ませてあげる本』すばる舎.
●大芦治(2013)『無気力なのにはワケがある 心理学が導く克服のヒント』NHK出版.
●田中正人編著(2020)『図解心理学用語大全 人物と用語でたどる心の学問』斎藤勇監修,誠文堂新光社.
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2023年1月14日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。