【コロナ自粛】メンタルを癒やす自宅での過ごし方を臨床心理士に聞きました

2020.04.20公開 2020.05.07更新

コロナ疲れ、コロナヘイト、コロナ離婚、デマの拡散、買い占め問題…

 

外出自粛という非常事態が続くだけでもストレスなのに、ネガティブなニュースに触れてさらにイライラが募ってしまっている人も少なくないと思います。

 

コロナ疲れで、空の青さや人の温かさまで見失っていませんか?

「世の中に安心できる場所はない」と感じてしまってはいませんか?

 

新型コロナウイルスに伴うメンタルヘルス相談はRemeにもたくさん届いています。

 

そこで今回は、非常時におけるメンタルケア方法について、日本赤十字社や日本心理学会などの情報に基づいて臨床心理士の三瓶真理子さんに教えていただきました。

 

三瓶真理子さん

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臨床心理士・公認心理師。大学・大学院でロジャーズのカウンセリングを主に学び、その後は認知行動療法のトレーニングを受ける。約13年間にわたって精神科クリニックの心理カウンセラー、企業内の産業保健スタッフ(心理職)、外部EAP(従業員支援サービス)機関の臨床心理士として従事。2016年にEASE Mental Managementを開設

 

>>三瓶真理子さんの詳しい情報はこちら

〈インタビュアー 近藤雄太郎〉

 

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非常時に起こりやすいメンタルの状態

近藤
最初に非常時に起こりやすいメンタルの状態について教えてください。
三瓶さん
未来の不確かさや、ウイルスそのものの得体の知れなさからくる「不安・心配・恐怖」といった感情があります。例えば…

【不確実性からくるネガティブな感情の例】

・この先はどうなるのか、この状態はいつまで続くのかという漠然とした不安

 

・自分や家族が感染してしまうのではないか、感染してしまったらどうすれば…といった心配

 

・仕事や収入がなくなったり、生活に必要なものがなかなか手に入らなかったり、持病の通院ができなくなったなどの現実的な心配

 

・うまくいっていた活動や仕事、期待していたことが突然なくなってしまった「悲しみ」や「落ち込み」

 

・繰り返されるネガティブなニュースや情報に繰り返し触れることでの「疲れ」や「気分の沈み」

 

・体を動かすことが減り、日々のルーティンが崩れることでの「だるさ(倦怠感)」

 

・今まで話ができていた人と話せなくなった、社会的距離が離れてしまったことによる「孤独感」

近藤
うわ…めっちゃある…
三瓶さん
そうですね…。

 

こうした不安や心配が、不眠や息苦しさ、そわそわして落ち着かない感じとして現れる方もいらっしゃいます。

近藤
正直、ここまで大きい問題になるなんて思っていなかったので、余計精神的に落ち着かないですよね。
三瓶さん
自分の意思で自由に動くことができないことが続くと、当然フラストレーションやイライラも溜まります。

 

そして、そのイライラが身近にいる人やSNS上の他人にまで向くこともあるかもしれません。

近藤
外出自粛のイライラが家族に向かってしまう…。
三瓶さん
家族とは言え、普段はほどよく距離が保たれていますからね。

 

実際に、「イギリスでは、DVに関する電話相談が65%増加し、フランスでも配偶者間の暴力が36%も増加している」(NHK 国際報道2020)という報告もあります。

【主な相談先】

DV相談ナビ(内閣府)
0570-0-55210(全国共通の電話相談窓口)
平日の午前9時から午後4時までは、この番号から各地の配偶者暴力相談支援センターにつながります。

 

DV相談+(プラス)(内閣府)
0120-279-889
※4月20日からはドメスティック・バイオレンス相談+(全国共通・午前9時から午後9時まで)の対応が始まり、4月29日からは24時間受付とのことです。

 

※最新情報は上記リンク先等でご確認ください

近藤
ウイルスに感染しないことも大切ですが、いかにこの非常時を乗り切るためにメンタルを保つかもとても重要ですね。
三瓶さん
これだけ普段とは異なる状況が続いているので、不安や気持ちの沈み、イライラなどの気持ちの変化が起こってくるのは、人の気持ちとしてとても自然なことではあります。

 

しかし、毎日憂うつな状態が続いたり、以下の状態が続いているようなら注意が必要です。

【注意すべき抑うつ状態の例】

・毎日気分が沈んでいる
・毎日眠れない、または寝過ぎてしまう
・いろいろなことに興味がなくなり、好きなはずのことも楽しめない
・毎日自分についてネガティブに考えたり、自分を責めたりしてしまう
・毎日何かに集中して取り組むことが難しく、些細な決めごとにも時間がかかる

近藤
これらの状態が要注意な例ですね。たしかにこれが「毎日」だとつらい…
三瓶さん
こういった状態が2週間以上続いていたら、自分で抱えるのではなく、医療機関を受診したり、臨床心理士などの専門家に相談してほしいと思います。

 

感染者などを責める心理的な背景

近藤
SNSを中心に感染者などへの心無い非難の声も見られます。

 

この状況下で、感染者をはじめとする他人を責めてしまうのもやはりストレスなどが理由でしょうか?

三瓶さん
それもひとつあると思いますが、Melvin J. Lerner(ラーナー)が提唱した「公正世界信念」でも説明してみたいと思います。
近藤
公正世界信念…?
三瓶さん
聞き慣れない言葉だと思いますが簡単にご説明すると、

 

「悪いことをした人には悪いことが起こり、良いことをしていれば良いことが起こる、といった決められたルールがあると考える」

 

という認知バイアスのひとつです。

近藤
つまり、「悪いことをした人だからウイルスが感染するという悪いことが起きた」と思い込んでしまう可能性が?
三瓶さん
あり得ると思います。

 

でも実際、ウイルスへの罹患だけでなく、天災や犯罪被害など望まないことが起こることは誰にでもあるものですよね。

近藤
思い込みが強くなって正義感が暴走してしまうこともありそうですね…。
三瓶さん
現在のように、自分の健康や生活が安心できないと感じているときには、余計に安心できるものや何かしら決まったルールにすがりたくなるものです。

 

先が見えない状態で、この公正世界信念がネガティブに働いている人が多いのかもしれません。

近藤
そういう状況において私たちはどうすればいいでしょうか?
三瓶さん
意識しておきたいこととしては、

 

・私たちは、このようなこころの働きを持ちやすいことを知っておくこと

 

・責められている人を見たときに、責める側の「公正世界信念」というこころの働きが働いているかもしれないと想像してみること

 

が大切になります。

近藤
「そういうこともあるか」と知っておけば、自分のメンタルを落ち着かせられるかもしれませんね。
三瓶さん
また、相手を責めることで自分の世界観や安心感を守ろうとするのでなく、

 

「感染した人が教えてくれることから学び、どうしたら自分を守れるかに目を向けよう」

 

と思うことの方が、長期的にみて安心感に繋がるはずです。

近藤
そうですね。まずは断片的な情報に煽られないように気を付けたいですね。

 

怒りや攻撃的な言動でストレス発散って有効?

近藤
そもそもですが、怒りや攻撃的な言動によってストレスを発散させることって有効なのでしょうか?
三瓶さん
自分が実際に不当な攻撃や被害を受けたときにはとても大事なことです。

 

怒りや攻撃的な言動は自分の身を守るための表現でもあるからです。

近藤
なるほど。
三瓶さん
「コロナのアホー!」と叫んでスッキリするようならそれでもいいかもしれません。
近藤
怒りの矛先がウイルスですしね。
三瓶さん
そうですね。

 

ただ、「何に対しての怒りか」を履き違えてしまうと、それを聞いた人との関係の悪化や、自己嫌悪などにつながりかねません。

近藤
怒りでスッキリするどころか、ネガティブ感情を助長させると。
三瓶さん
コロナウイルスの影響で思うようにいかないストレスが怒りに影響しているときに、たまたま目の前にあらわれた不快な出来事を攻撃してみても、不快な気分は晴れないでしょう。
近藤
厄介な怒りの感情と上手に向き合う方法ってありますか?
三瓶さん
怒りのコントロール方法として例えば、どのくらい不快な気持ちが強いかを数字で表してみる、という方法があります。
近藤
怒りを数字で?
三瓶さん
Max怒っている状態が100だとしたら、今は60くらいかなと考えてみるという方法で「スケーリング」と言います。
近藤
怒りを客観的にみようとすることで冷静にはなれそうですね。
三瓶さん
あとは、

 

「こんな状況でも自分の気持ちに対処しようとしている自分は偉いな」

 

などと自分を褒めてあげると、気持ちがおさまるのを感じられるかもしれません。

近藤
なるほど。もしそれでも怒りが収まらない場合はどうすれば…?
三瓶さん
そうですね…。他には、怒りたい・攻撃したいエネルギーを、

 

・体を動かすことで発散させたり、場所を変えてみる

・自分の気分が変わる行動をしてみる

・自分が何を守ろうとしているのか考えてみる

 

といった方法で、ストレスに対処することもあります。

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近藤
色々挙げてくださり、ありがとうございます!

 

怒りでスッキリできてもその効果は一時的とも聞いたことがあったので、ぜひ実践してみたいと思います。

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近藤雄太郎

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2020年4月20日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。

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