【臨床心理士解説】アダルトチルドレン…13つの性格/行動のパターンとは?
アダルトチルドレンの人の特徴は〇〇と言い切ることはなかなか難しいところです。その一方で、
自己犠牲や自分への批判
自分について価値がないように感じる
自己嫌悪してしまう
といった、
という特徴がみられる傾向は一定程度あるようです。
そこで今回は、米国の心理学者のジャネット・ウォイティッツ(Janet G. Woititz)によるアダルトチルドレンに関する行動や性格の特徴について、臨床心理士にご紹介いただきました。
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※アダルトチルドレンは診断名ではなく医学的な概念ではありません。
アダルトチルドレンに共通する13の特徴
今日、アダルトチルドレンと呼ばれる人は、アルコール依存症の親のいる環境で育った人のみならず、家族になんらかの機能不全があり、安全ではない家庭で過ごした人にも適用されるようになり、生活の中で生きづらさを感じている人を説明する概念として一般に認知されています。
米国の心理学者、ジャネット・ウォイティッツ(Janet G. Woititz)は、1983年に著書「アダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス:Adult Children of Alcoholics」で、多くのアダルトチルドレンに共通する特徴について、
・常に何が正しいかを推測していて、なかなか「これで良い」と確信を持てない
・最初から最後まで物事をやり遂げることが困難である
・本当のことを言った方が楽なとき・ささいなことでも嘘をつく
・変なところでまじめすぎる
・他者と親密な関係を持つことが難しい
・他者からの【肯定】【受容】【承認】を常に求める
・衝動的であり、他の行動の可能性を考えることなく、一つの選択肢に自分を閉じこめる
などの13項目をまとめています。以下にそれぞれご紹介していきます。
①Guess at what normal behavior is.
「普通の行動って何?」と自問自答する。
育ってきた環境のため、これまで正しいのロールモデルがなかったことから、大人になって生活する中でも他の人の行動や正しいと思う人の行動を見て行動をする。
自分で決断をすることへの困難さがあり、他の誰かがしていることや考えていることを知り、間違っていないかを推測して取り入れる。
②Have difficulty following a project through from beginning to end.
物事を最初から最後までやり遂げることが難しい。
計画的に、処理しやすい量で問題を解決する方法を教えてこられなかったため、全か無かの思考になりがちで、筋道を立てて考えることの困難さがあり、いつもぐずぐずと物事を先延ばしにしてしまう。
失敗を恐れるあまり、担っていた仕事も「やっぱり無理だ…」と感じてしまったり、プレッシャーや恐怖感に耐え切れなくなったりしてしまうことがある。
③Lie when it would be just as easy to tell the truth.
本当のことを言ったほうが楽なときでも嘘をつく。
否定的な嘘をつくことで、アルコール依存症の家族の中で利益があった経験がある。
とっさに嘘をついてしまうことがあるが、それは嘘をつくことで嫌なこと(怒られる、悲しませるなど)が回避出来たり、喜ばれたりした経験がある。あるいはその場を丸く収めるため、面倒な状況を回避するために嘘を利用し成功したことがある。
小さくてもとっさに嘘が出てしまうため、あとでバレて怒られたり問題になってしまうことがある。
嫌いなのに「好き」と言ったり、「具合が悪い」と噓をつき優しくし接してもらう、など。
④Judge themselves without mercy.
容赦なく自己批判をする。自分に厳しい。
これまで達成できたと感じられる機会がほとんどなかったため、大きくなってから自分で設定した基準でもそれを下回ってしまうことになりやすい。
多くのアダルトチルドレンには自尊心の低さがみられ、物事に成功したときでも「これは簡単だった」などと考えてしまう。謙虚と思われがちだが、自尊心の低さがある。
たとえば、結果を出したり周囲から褒められても、それを素直に受け取れず「これではだめだ」「もっと頑張らないと」などと考えてしまうようなことがある。
⑤Have difficulty having fun.
楽しむことがなかなかできない。
こどもの頃の家庭環境では、敵意や恐怖感、緊張感にとらわれていたため、安心感をもつことが難しい。
そのため、大人なっても感情表現が苦手であったり、人に不信感を抱きやすかったりするところがあり、孤独感を感じてしまうこともある。
⑥Take themselves very seriously.
真面目すぎる。
緊張感に満ちた子供時代を送ってきたために、子供らしさを発揮できず、常に警戒し真剣でいる姿勢が身についてしまっている。
良い子であることが受け入れられてきたために、他者に認められることを求め、
「ちゃんとしないといけない」
「いい子でいなければ」
というような考えが根付いてしまっている。真剣で居なければならなかったために、楽しむことが出来ず、肩に力が入ったような、真面目な態度となってしまう。
⑦Have difficulty with intimate relationships.
人と親密な関係を築きにくい。
子ども時代に、アルコール依存症の親のもとで、あるいは虐待などの機能不全のある家庭で過ごしたために、本来一番初めに参考にし、安心感や信頼関係を結ぶはずの親とその関係を結べていないことが多い。
むしろ「見捨てられないか」という恐怖感の中に過ごしたために、他者と近づくこと、親密な関係を結ぶことに恐れを感じ、近づけない。
⑧Overreact to changes over which they have no control.
自分がコントロールできない変化に過剰反応する。
こどもの頃から年齢不相応に家事や仕事を担って家族の維持に貢献してきた。
そのため、「自分なしでは生きられない相手」を世話することで存在意義を感じたり充実感を得るような共依存の傾向を持つことがある。
このように自分がコントロールすることを手段としてきた場合、自分が制御できない変化は、絶望的で攻撃を受けやすい(傷つきやすい)ように感じられてしまう。
⑨Constantly seek approval and affirmation.
常に他者からの肯定や承認を求める。
こどもの頃に親から受けた愛情は非常に不安定なもので、認めてもらえる経験が少なく、否定的であるように理解され、自己イメージが低くなっていく。
また、「良い子」でいるときだけ受け入れられた、あるいは物事がスムーズに運ばれた経験がある。肯定や承認を得るために、我慢や無理をして働いたり、いい人を演じてしまったりすることがある。
⑩Usually feel that they are different from other people.
自分は他の人たちと違っていると感じる。
アダルトチルドレンの方の中には誰も自分(たち)と同じように感じることが出来ない、ように感じられることがある。
そのため、自分は独特な存在で、グループの一部(ほかの人たちと同じ)ではないように感じられ、境界を通してみているような感覚を持つ。
⑪Are super responsible or super irresponsible.
責任感が強すぎるか、責任感がなさすぎるかのどちらかである。
こどもの頃に親を喜ばせるものはなにもないことに気づき、何もしない、または人に喜んでもらえるまで、自分が燃え尽きるまで取り組むことがある。
自分の能力について現実的な感覚をもっていない、「No」というと自分の不十分さを人に知られ、自分のことを好きでなくなってしまうのではないかという恐れを抱いているところがある。
⑫Are extremely loyal, even in the face of evidence that the loyalty is undeserved.
報われないとしても、忠誠心も持ち続けてしまう。
他者と人間関係を始めることは非常に困難で恐ろしいことであるため、その関係は永続的なものとなると思ってしまうところがある。
忠実さは見捨てられることへの恐怖によって引き起こされる。
⑬Are impulsive. They tend to lock themselves into a course of action without giving serious consideration to alternative behaviors or possible consequences. This impulsively leads to confusion, self-loathing and loss of control over their environment. In addition, they spend an excessive amount of energy cleaning up the mess.
衝動的で、他の行動や結果を真剣に考えずに一つの行動に固執しがち。
そのため、混乱、自己嫌悪を招きやすく、環境をコントロールできなくなる原因に。その上、混乱の後始末に余分なエネルギーを費やしてしまう。
こどもの頃、親は自分の衝動性を否定するなど、その衝動性を止めることはなかった。
そのため、大人になっても衝動的な行動(深く考える前に行動に移してしまう、など)が生じてしまうことがある。
なにかアクションを起こす際にも、いろんな方法を考えることなく、一つのやり方に自分を閉じ込めてしまう。それがうまくいかない(コントロールから外れた)ときには混乱や、自尊心の低さから自己嫌悪などが生じてしまう。
さいごに
各項目の説明に関しては、Characteristics of Adult Children of Alcoholicsを主に参考とし、例は広くイメージされやすいような日常生活の例が組み込まれています。
これらの特徴は、Woititzのアルコール依存症の方への臨床経験から導き出されています。
そのため、今日広く知られているアダルトチルドレン(アルコール依存症の家族だけでなく、機能不全家族で育った子)の中には、必ずしもこの13項目がみられるという訳ではなく、このうちのいくつかの特徴がみられることがあります。
反対に当てはまる項目があるからといって、アダルトチルドレンであるというわけでもありません。
これまでどのように過ごされてきたかなど、様々な要素が複雑に関わってくるので、アダルトチルドレンの人の特徴は〇〇と言い切ることはなかなか難しいところです。
一方で、自分の苦しさや生きづらさについて「アダルトチルドレン」という言葉が説明し、共有できる人とその概念を分かち合えることは、アダルトチルドレンの困難さを抱えている方の支えや回復していく力にもなりえます。
こういった項目のみからの自己診断にはリスクが伴いますので、ご参考程度になさってくださいね。
アダルトチルドレンにはこのような特徴がみられることがあり、そのために生きづらさを感じることがあるということ、そういった悩みを持つ人がいるのだという理解や生きづらさを和らげるための参考にしていただけたらと願っています。
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【参考】
*引用 “Adult Children of Alcoholics –Janet G. Woititz (1983)”
*参考 “Characteristics of Adult Children of Alcoholics”
→https://ct-aca.org/wp-content/uploads/2018/11/Th-13-Characteristics-1.pdf
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2023年4月25日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。