自分が分からなくなる…自分を見つめ直すための3つの方法を解説

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「あなたは、どんな人ですか?説明してください」 ―この質問にみなさんは、どれくらい「自分」を説明できますか?

 

「自分が何者か、どんな人か」を表す言葉をアイデンティティと言い、アイデンティティは全ての人にあります。

 

しかし、自分が何者か分からないとき、自分が何を必要としていて、何をすればいいのかが分からず迷うことがあります。

 

自分のアイデンティティを知ることは、自分の軸となるものを見つけ、自分のしたいことに向けて活動するために大切なことなのです。

 

今回は、自分のアイデンティティを見失ってしまう原因、その時の対応についてお伝えします。

 

 

「自分を見失う」とは?

まず、自分を見失うといことは、「自分」という人を説明する言葉が分からなくなることです。

 

アイデンティティとは、社会的なアイデンティティや独自のアイデンティティを指し、いくつかの構成要素があります。

 

社会的アイデンティティは親族関係や民族性などを指します。

 

一方、独自のアイデンティティとは自分の見た目、話し方や振る舞い方などの表現方法(スタイル)、性格、考えや感情などのことです。

 

「何が好きか嫌いか、何を大切にしていて、どのような生き方をしているかなどを全く説明できない…」

 

「そういったことを考えれば考えるほど苦しくなる…」

 

こういった状態は、自分の正体が分からない状態、または自分の正体を認めたくないということが考えられます。

 

 

自分を見失う人と見失わない人の違いって?

では、なぜ自分のアイデンティティを見失う人と見失わない人がいるのでしょうか。

 

理由は複数考えられると思います。

 

・育ってきた環境により、自分の正体に気づいていないこと

(気づく機会がなかった)

・自分自身についての自己理解と他者からの認識に違いを感じること

・自分自身の状態に違和感があること

 

などの理由で「自分」を見失う可能性が高くなります。

 

具体的には、育ってきた環境において、自分で自分のことを考える機会がなかったり、周囲から考え方や物など全てを与えられ、考える機会を持つことができなかった場合は、自分の正体に気づくことができないことがあります。

 

よく聞く話かもしれませんが、親が決めた道をそのまま素直に従って進むことで過ごしてきた場合があります。

 

自分の興味のあること、したい事に目を向ける必要がなく、仮に気づいたとしても、その家族環境が原因で、自分のしたいことができないことがあります。

 

これらは、成長して自分の進路を考える時や、引っ越しなどで過ごす場所や関わる周囲の人たちが変わることで、今までの自分にとって「当たり前」と思っていた環境との違いから気づくことも多いかもしれません。

 

また、自己理解と他者による自分への理解が違う場合があります。

 

例えば、自分では自分を「柔軟で、ほとんどの人と仲良くなれる」と理解していたのに、他者からは「八方美人で自分の意思がない」、または真逆の「頑固で敵を作りやすい」などと言われるケースです。

 

自分で考えていた自分自身とは異なることを他者から言われると、そのギャップに自分自身のことが分からなくなり混乱してしまうことがあります。

 

 

アメリカで見たアイデンティティの揺れ

私がアメリカでカウンセリングをしていた時、この混乱に陥る20代前半のクライアントが多くいました。

 

原因は人種や文化の違いでした。

 

移民が多く、多文化で多民族のアメリカで生まれ育った子供にとって、家族の背景は非常に複雑です。

 

様々な国の血筋が混ざりあっており、その結果、生まれてきた子供の見た目にも影響が出ます。

 

あるクライアントが

 

「私は自分をラテン系アメリカ人だと思っているのに、他のラテン系アメリカ人には、あなたはラテン系ではないと言われた。

 

「でも、家では家族がラテン系アメリカ人と認識している。私は自分がいったい何者なのか分からない。」

 

と嘆いていました。

 

自分や家族は自分たちを「ラテン系アメリカ人」と認識しており、家庭の文化もそのように過ごしているにも関わらず、片親が黒人や白人だったりすると、そのことで他者の認識では「ラテン系アメリカ人ではない」と認識されることがあります。

 

記憶に新しい代表的な例で言うと、オバマ元アメリア大統領がそうです。

 

彼の親は白人と黒人であることで、黒人初の大統領という言葉に対して、彼は黒人ではないと主張する人たちがいました。

 

 

自分を見失い、依存状態に

このように自分の認識と他者の認識が違う場合、本人に混乱を招いてしまいます。

 

いずれにしても、これらが原因で自分を見失うことが多いのは、成長において自我を確立する前や、途中段階で多感な時期である思春期です。

 

「自分」という独自性に自信がなく、あやふやなところに、「自分」を揺るがすようなショックな言葉や場面に直面すると、自分が何を求めているのか、自分が何者か分からなくなります。

 

その結果、周囲の親しい人に頼ることが増え、その人なしでは何も決められない、できない、という依存状態になることもあります。

 

また、逆のこともあります。

 

自分のことを知っているけれど、他者との違いに気づき、違うことに不安や恐怖を感じ、人に合わせることを選ぶこともあります。

 

思春期は特に、周囲の反応に敏感になり、そればかりに目が向いてしまうことが多く、自分を隠すなど、自分をないがしろにしがちです。

 

このように、自分を無視しつづけると、どんどん自分が何を好きで、何を求めていて、何を大切にしたいかが分からなくなります。

 

 

自分自身に違和感がある場合

自分を見失う理由の3つ目である、「自分自身の状態に違和感がある」ことは、前の2つとは少し異なります。

 

この違和感というのは、自分自身の状態(事実)と自分の認識が合わないことを指しています。

 

代表的なものでは、性同一性障害がそれにあたります。

 

自分は生物学的に男性または女性として生まれてきたけれど、育つ過程において、身体的な性別と自覚している自分の性別が合わず、混乱することが起こります。

 

例えば、身体が男性のため、男子トイレに行くけれど、とても恥ずかしい気持ちになる、などの体と心の違いが表れます。

 

このような違和感は、早い人では幼少期に気づき、心に正直に生きようとする人もいれば、なんとなく違和感があることに気づいていても気づかないフリをし、結婚して家庭を持つまで、自分の心を無視し続けることもあり、人により大きく異なります。

 

 

他者に相談しづらいアイデンティティの悩み

自分のアイデンティティに悩みを持つことが多く、また他者に相談できない人も多くいます。

 

自分のアイデンティティを見失うと、自分の人生をどのように生きていけばよいのか分からず、自分が進む先を見失うことにも繋がります。

 

何をしたいか自分で分からない時、自分の価値が分からなくなり、自尊心や自信が極めて低くなります。

 

そのような状態で日々を送ることは、辛く、空しく感じることが多くなることを容易に想像できると思います。

 

だからこそ、少しでも「自分」とは何物なのかを見つけることがとても大切です。

 

では、どのように対応していけばよいのか見ていきましょう。

 

 

「自分」を見つめる方法

まず最初に、自分の安心できる相手を思い浮かべてください。

 

次に、その人のどのような部分が安心できるかを10個ほど書き出してみてください。

 

そして、なぜその部分が安心できるかを説明してみてください。

 

自信が低い人は、自分のことを見つめるとマイナス面に目が向いてしまい、プラス面を認められなかったりします。

 

一方で、他者のことであれば、プラス面を認めやすい傾向があります。

 

自分が一緒にいると安心できる相手の要素を書き出すことは、そう難しいことではないと思います。

 

そして、その書き出した要素が、実はあなた自身の正体に近いものなのです。

 

 

安心できる人を通じて自分を知る

安心できる人というのは、自分の要素と似ている部分が多いため、安心できると感じられることが多いといわれています。

 

また、書き出してもらった要素は、自分にとって特に大事な要素であることが多いです。

 

つまり、自覚はしていなくても、自分なりに大切と感じている部分が表れているものなのです。

 

他者を自分の写し鏡として、自分のアイデンティティを見つめなおすことで、自覚できるきっかけになります。

 

 

「これだけは譲れないもの」を思い浮かべる

また、「これだけは譲れない」というものを明確にすることで、自分が何にどのくらいの価値を置いているかを知ることができます。

 

まず、他者が自分について説明をするとしたら、どのように表現するかを考えてみてください。

 

その表現を思いつく限り、書き出してみてください。

 

次に、自分にとって大切な要素を5つ選んでください。

 

そして、それらが自分にとってどのように大切かを考えて書いてみてください。書き出していくと、自分自身がどこに価値を置いているかが見えてきます。

 

 

「理想の自分」を思い浮かべる

 

最後に、理想の自分について考えてみましょう。

 

なりたい自分を思い描いた時、どのような要素が思い浮かぶでしょうか。最初はなかなかイメージしづらいかもしれません。

 

見た目でも振る舞い方などの表現方法でも性格でも構いません。

 

自分にとっての理想の自分をできるだけ具体的に書き出すことで、自分が何を望んでいるかを明確にしてみましょう。

 

今の自分がその要素を持っているかどうかは分からないかもしれません。

 

しかし、今からその理想の自分に近づくために、それらを意識した行動を取ることは可能です。

 

 

さいごに

自分の正体が明確になり、自分が何を大切にしているか、何を求めているかが明確になることで、自尊心と自信が出いてきます。

 

そして、それらの要素を基に、どのような環境で誰と関係を築き、何に取り組み、何を大切にしたらよいのかが分かります。

 

自分を見失ってしまっている人も、そうでない人も、改めて「自分」を見直してみることで、自分を大切にしていきましょう。

 

 

【執筆者】

髙田尚恵

ニューヨーク州立大学プラッツバーグ校大学院カウンセラー教育学部メンタルヘルスカウンセリング学科にて修士号取得。メンタルヘルスカウンセラーとして勤務し、個別カウンセリング、カップルカウンセリング、心理教育などを提供。帰国後、メンタルヘルス不調による休職・離職者の社会復帰を支援。

 

米国認定カウンセラー認定証取得

(National Certified Counselor Certification)

ニューヨーク州基準臨床メンタルヘルスカウンセラー国家試験合格

(National Clinical Mental Health Counselor Examination for New York)

臨床トラウマプロフェッショナル認定証取得

(Clinical Trauma Professional Certification)

 

 

普段、支援の現場にいらっしゃる方へ

最後までコラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。

 

Remeでは、支援の現場にいらっしゃる方にコラムという形で一般ユーザーに向けて情報発信をいただいております。

 

臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、保健師、産業カウンセラー、支援機関の職員などの方で、ご自身の活動内容を含め、幅広くお書きいただき、読者の皆さまに有益な情報を発信いただければと思っています。

 

コラム執筆にあたってノルマや納期はございませんので、ご本業にご迷惑がない範囲でお願いできればと思います。詳細につきましては、お問合せ後にお知らせさせていただきます。

 

Remeのミッションである「こころの専門家へのアクセスの向上」「こころの健康に関するリテラシーの向上」の実現のために、お力をお貸しいただけますと幸いです。

 

 

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