アルコール依存症患者の家族として、実践した3つの接し方とは?【プリームみどりさん】

2018.04.23公開 2018.10.02更新
 
シェア
ツイート
はてブ
あとで見る

「一体どうしたら、お酒を止めてくれるんだろう?」

 

アルコール依存症患者の言動に振りまわされている家族は、いつもこの問いを、頭の中で巡らせているのではないでしょうか?

 

そして実際に、なんとかお酒を飲ませまいと、ありとあらゆることを、やってみたのではないかと思います。

 

そして残念ながら、何一つうまく行かず、心身ともに疲れ果て、無力感だけが残る…

 

私自身もまさに、そのような感じでした。

 

>>【夫のアルコール依存症】家族の接し方・子供への影響・相談先【体験談まとめ】

 

 

家族が味わう絶望感

病気の初期、周りも本人もまさかアルコール依存症とは思いもしなかった頃、アルコール依存症患者の変化に、家族は困惑します。

 

その変化が大きくなるにつれ、困惑が混乱となり、さらに病気が進行して行くと、家庭よりも何よりもお酒を優先しているように見える、アルコール依存症患者の態度に、家族は絶望感を味わいます。

 

また、アルコール依存症患者は、お酒を飲んでいる時と素面の時では、態度も言うことも違うため、家族は「どちらが本当のその人なのか?」と混乱し、その都度異なる言動に振りまわされます。

 

涙ながらに「もう酒は飲まない」と約束したのに、その数時間後には酔っ払って怒鳴ったり、酔いつぶれているのを見て、ますます信じられない気持ちが強まります。

 

こうなると、アルコール依存症患者の言うこと、為すことすべてが信じられず、敵意を持って見るようになります。

 

親しい相手の言葉を信頼できないというのは、本当につらいですよね。

 

 

適切な接し方を知る前に…

今回のコラムでは、アルコール依存症患者に対する適切な接し方について、お話しします。

 

ですが、その前に。

 

もしかしたらあなたは、

 

「どうして適切な接し方を知らなくてはいけないの?」

「彼がお酒を止めさえすれば済む話でしょう?」

 

と思われるかも知れませんね。

 

もしかしたら、本人も悔い改めてお酒を止めてくれるかも知れない。

 

けれど、それは誰にも分からないし、何年も何十年も先かも知れません。

 

あなたがその「いつか」をただ待っている間、アルコール依存症は着実に進行します。

 

そして、あなたの人生もどんどん過ぎ去ってしまいます。

 

とてももったいないと思いませんか?

 

あなたが相手を変えようとする限り、相手は決して変わりません。

 

状況を変えるのに一番確実な方法は、「あなたが変わること」です。

 

 

接し方を間違えた時のリスク

接し方を間違えるというのは、おそらく、実はすでに経験済みのはず。

 

お酒を止めさせようとして、以下のいずれかをやったことがありませんか?

 

・責め立てる

・説教する

・泣いて訴える

・離婚すると脅す

・お酒を隠す

・見つけたお酒を捨てる

・飲んだ量をはかる

・もう飲まないと証文を取る

・飲まないように、とにかく見張る

 

私も、とにかく飲ませまいと必死だったので、よく分かりますし、アルコール依存症患者のお酒に振りまわされている家族は、皆そうだと思います。

 

そして、上記のことをやった結果、何もうまく行きませんでしたよね。

 

それどころか反対に、逆ギレされてしまったり、もっと巧妙に隠されたり、お互いの信頼関係はもっと悪化したのではないでしょうか。

 

これらは、アルコール依存症患者を精神的に追い詰めて、病気を良くするどころか、反対に悪化させてしまいます。

 

良かれと思って必死にやったことが逆効果だったなんて、大ショックですよね。

 

けれど、それはあなたが、アルコール依存症がどんな病気なのかを知らなかったから。

 

なので、今ご自分を責める必要はありません。これからを考えていきましょう。

 

 

接し方を変えると何が変わる?

では、接し方を変えることで、何が変わるのでしょう?

 

まずは、あなたの苦しみがずっと軽くなります。

 

それは、アルコール依存症患者を、そして自分自身を、責め続けなくて良くなるから。

 

怒りを溜めこんだり、相手や自分を責め続けるのって、ものすごくエネルギーを使いますね。

 

だから、今まで怒ることや責めることに使ってきた、あなたの貴重な時間とエネルギーを、自分自身の回復のために使えるようになります。

 

そして、あなたがアプローチを変えることで、状況も自ずと変化します。

 

では、実際にどのような接し方をすれば良いのでしょうか。

 

ここでは、家族の適切な接し方を3つ挙げたいと思います。

 

 

家族の適切な3つの接し方

お酒を飲む飲まないは本人に任せる

家族の適切な接し方1つめは、お酒を飲む飲まないは、すべて本人に任せて、干渉しないこと。

 

「でも、放っておいたら、もっとひどくなるのでは?」と心配になるかも知れませんね。

 

「このままでは大変なことになってしまう!」と心配だったから、今まで必死に頑張ってきたんですものね。

 

けれど、本人がコントロール出来ないものを、他の人がコントロールできるはずがないのです。

 

家族には、飲むのを止めさせたり、飲む量を少なくさせる力はないことを、まずよく理解して下さい。(たとえ認めるのが悔しくても!)

 

では、家族が干渉しなくなることで、どのようなメリットがあるでしょう?

 

まずは、今まで見張ることに使っていた多大なエネルギーと時間ができます。

 

それを、自助グループや家族教室などに通うなど、自分自身の回復に使うことができます。

 

また、干渉や監視をされなくなったアルコール依存症患者の状態が、良くなることもあります。

 

家族の干渉や監視に腹を立てたり、敵対する必要がなくなるからです。

 

そもそも、干渉されたり監視されて、モチベーションが上がる人はいませんね(笑)

 

 

飲酒の理由に振り回されない

適切な接し方の2つめは、飲酒の理由に振りまわされないこと。

 

飲酒が原因で、次から次へと問題が起きているのに、アルコール依存症患者は、どうして飲み続けるのでしょうね?

 

「仕事のストレスがあるから」

「家族の態度が悪いから」

「心配事があるから」

 

アルコール依存症患者本人から、そんな理由を言われたかも知れません。

 

でもね、違います。

 

こういう理由があったから飲んだのではなく、飲んだことを正当化するために理由を考え出すのです。

 

本当の理由は、ただひとつ。

 

病気だから。

 

なので、「これさえなければ、飲まないでいてくれる」と思って、本人の言う理由を、あなたがなくそうと努力する必要はありません。

 

お酒が入った時の言動は、病気によるもの。

 

あなたはすごく傷ついたかも知れません。恨みたくなったかも知れません。

 

でも、それは「あなたに対して」しているのではなく、「あなたがいるにも関わらず」していることなんです。

 

その人はたまたまアルコール依存症という病気になり、苦しんでいる。

 

そして、あなたもちょうどそこにいた、ということなんです。

 

病気だからと言われて、完全に納得はいかなくても、少しは楽になるのではないでしょうか。

 

まずはあなたが楽になることが大事なのです。

 

 

病気の時と健康な時の言葉を見分ける

3つめは、病気の言葉と健康な言葉を見分けること。

 

アルコール依存症は、心の病気でもあります。

 

比較的心の落ち着いた状態の時と、病的な状態の時とがあります。

 

そのため、涙を流して断酒を誓ったかと思うと、「酒を飲んで死ねるなら本望だ」「自分の金で飲んで何が悪い」と平然と豪語したりするのです。

 

これはそれぞれ健康な心と病気の心が表に出ているんですね。

 

健康な心と病気の心の区別ができていないと、家族は二重人格ではないかと理解に苦しみ、振り回されて疲弊してしまいます。

 

病気の心から出ている言動は、病気がそうさせているのであって、その人本来の性格ではありません。

 

また、飲酒していない時でも病的な症状が出ることがありますので、飲んでいる時と飲んでいない時とだけで区別しないで下さいね。

 

病気の心からの言動は、まともに受け取る必要はなく(ただ、バカにした態度を取るべきでもありませんね)、その時は病気の症状が出ているのだと受け止めて下さい。

 

 

さいごに

以上、家族の適切な接し方を3つ挙げました。

 

アルコール依存症患者に対する適切な接し方を考える時、その前提となり、最も重要なのは、アルコール依存症は病気だと知ることです。

 

アルコール依存症が病気だと認識していないために、また、どういう病気なのかを理解していないために、本人も家族も、必要以上に苦しんでいることが多いのです。

 

アルコール依存症患者も、好き好んで病気になったわけではありません。

 

わざわざ病気になることを選ぶ人なんていませんから。

 

アルコール依存症が病気であり、目の前の人は病気で苦しんでいる病人だという視点を持つと、自ずと接し方も変わってくるのではないでしょうか。

 

家族が見方を変え、接し方を改めると、アルコール依存症患者にも何かしら変化が現れると思います。

 

まずは、自分自身が少しでも楽になるように、上に挙げた接し方を心がけてみて下さいね。

 

>>【夫のアルコール依存症】家族の接し方・子供への影響・相談先【体験談まとめ】


profile photo2プリームみどり

ベルギー在住。夫がアルコール依存症になり家庭崩壊の危機に直面するが、 病気について学び自分自身を取り戻す。 自身のブログ「私から始めよう」では、周りに振り回されずに、 幸せに生きるためのメッセージを発信している。

blog: https://ameblo.jp/beyouandshine/

 

プリームみどりさんの連載一覧

【Part 1】夫がアルコール依存症に…私が自分の人生を取り戻すまで

【Part 2】アルコール依存症で家族が崩壊…家族を救った3つのきっかけとは?

【Part 3】アルコール依存症患者の家族として実践した3つの接し方とは?

【Part 4】アルコール依存症患者の家族向け支援!活用できた3つの支援とは?

【Part 5】アルコール依存症患者の家族の相談先って?私のおすすめ3選

【Part 6】アルコール依存症の子供への影響…我が家での3つの対処法

【Part 7】アルコール依存症患者の家族がうつを予防する3つの心がけとは?

 

関連記事