思春期のサイン・3つの特徴・親としての接し方とは?臨床心理士が解説

2018.07.25公開
 
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思春期は子育て最大の難関とも言えます。成長には個人差がありますが、多くの子ども達は小学校の高学年くらいから思春期に突入します。

 

「子ども達と話す機会が減ってきたな~」

「まったく、あの子は何を考えているのやら?」

「いつもそっけない態度ばかり」

「まったく、あんな口のききかたをして」

「本当に理解できない」

 

と思うことが増えてきたと感じていませんか?

 

そこで今回は、思春期における子どもの心模様について解説していきます。

 

 

子供が出す思春期のサインとは?

実は、思春期の子ども達が親をうっとうしく感じ、「親なんてどうでもいい」と思えることは、子育てが上手く進んでいるサインの一つです。

 

逆に、いつまでも親の言うことを素直に聞いて、親の言うとおりに育っている子の方がどこかで無理をしている可能性があるので要注意です。

 

思春期の最大のテーマはズバリ「親離れ」です。

 

子ども達は不安や恐怖を抱えながらも、必死で親から離れようとし、「自分さがし」を始め、自分の力で自分の世界を切り開いていくための準備を始めます。

 

親としては、これまでに培ってきた「子どもを信じて、待つ力」が試されてきます。

 

この時期の子ども達のこころの発達と傾向を親がしっかり理解した上で、適切に子ども達に対応することで、子ども達の健全な自己形成を応援していただければと思います。

 

 

思春期は「さなぎ」の時期

思春期の子ども達は親から離れて「大人」へと成長するために、いろいろな努力をしなければなりません。

 

蝶が成長する過程での、いわば「さなぎ」の時期なのです。

 

この時期の子ども達は、体がどんどん成長し、大人に変化していくことを実感しながらも、心の中は、大人と子どもの間を行ったり来たりします。

 

体の成長の方が心の成長よりもスピードが速く、しかも不可逆的なものであるため、心の成長が追いついていかず、一時的に心身が不均衡で不安定になり、悩みを抱えることがあります。

 

それくらい、成長の速度が速く不安定な時期なのです。

 

時に、子ども達の努力はどれを取っても、親にしてみれば「なぜこんなことをする必要があるのか」と、理解不能ではた迷惑な行動であることがあります。

 

しかし、思春期を「さなぎ」だと想像すれば、親がやってあげられるのは、蝶になろうとあらゆる手段でもがいている子ども達を「信じて待つ」ことだけだと理解できると思います。

 

いちいち口を出すと大きな反発を招きかねないので、「人様に迷惑をかけないでね」くらいにしておきましょう。

 

 

思春期の発達の3つの特徴とは?

思春期の発達課題は大きく分けて3つあります。

 

・親から離れて、(親からの精神的な自立)

・仲間をつくり、(社会性の獲得)

・自分らしさをみつけること(アイデンティティの確立)

 

 

親からの精神的な自立(独立)

親離れするには、想像以上の苦悩とエネルギーを必要とします。

 

まず、健全な親離れをするための前提条件として、親子の関係にしっかり安心感を抱いていることが必要です。

 

安心できる環境があって、そこでエネルギーを充分に補充できて、初めて外へと向かっていけるのです。

 

「親離れ」とは言い換えれば、「親を超える」「親に勝つ」ことです。

 

親とは違う自分らしさを獲得するために、自分のプライバシーを守り、親とは口をきかなくなり、親の価値観全般に対して批判的で、否定的になります。

 

親と無理にでも離れようと、親に反抗する必要があるのです。

 

男の子は、中学生くらいから父親に挑むようになります。

 

「初めてお父さんに勝った!」

「やっと親父を抜いた!」

 

親側からは、「クイズ番組を見ながら答えを言い合っているうちに、子どもの正解の方が多かったときに子どもに負けた~と感じた」なんてのもありました。

 

父親は徐々に勝ちを譲りながら、

 

「お前もなかなかやるようになったな~」

「もうどこに行ってもやっていけるよ」

「そんな考え方ができるようになったのか~」

 

と息子の背中を後押ししてあげましょう。

 

また、女の子も中学生ころから、母親を超えたような気がしてきて、

 

「どうしてこんな簡単なことができないの?」

「お母さんはダメね~」

 

などと言うようになります。

 

お母さん以上にできることを主張し始めて、お母さんの手が届かないところを見つけては、家を片付けたり、トイレをぴかぴかに掃除したり、お母さんが作らない料理やお菓子を作り始めたりします。

 

子ども達の「超えるべき相手」として同性の親の役割がとても重要になります。

 

「親を超えた」と実感した子どもたちは、男の子は母親とは違うタイプの彼女を、女の子は父親とは違うタイプの彼氏を選びます。

 

 

仲間を作る(社会性の獲得)

親から離れた子ども達は、どういう友達が自分に一番ぴったり合うかを見つけ出し、自分と似た仲間と深く狭く付き合うようになってきます。

 

このときに、広く浅く、誰とでも遊んでいた小学校低学年(1,2年生)と他者意識を養ってきた小学校中学年(3,4年生)の経験が役に立ってくるのです。

 

特に同性の仲間を作り始め、モヤモヤした気持ちや体の変化から生まれる不安や悩みを仲間と共有することで、

 

「自分だけじゃないんだ」

「みんな同じなんだ」

 

と確認することで、安心できます。

 

類は友をよび、お互いを評価し合えるような価値観の似た、つながりの強い仲間の中に入っていくので、親から見て好ましくないグループに入っていても、なかなか抜け出ることは難しいです。

 

社会的に健全なグループに入っている子たちは、アイデンティティもしっかり確立でき、自立して社会へと巣立っていくことが比較的スムーズです。

 

しかし、そうでないグループでも、承認してくれる仲間がいる子は、不安を共有したり、価値観を受け入れてもらえることで生き生きとしています。 

 

彼らもできることなら社会に役に立つことをしたいという気持ちを持っていて、それなりに安定しています。

 

しかし、最近はこの時期に仲間に入ることができない子ども達が増えてきていて、彼らは、アイデンティティの確立がスムーズに行かずに、大人になって苦労することになりかねません。

 

この時期にどんな形でも「仲間に入っていること」が自己を形成する上でとても重要になってきます。

 

 

アイデンティティの確立

また、「自分とはいったいどういう存在なのか」「何のために生まれてきたのか」ということを考え始め、自分の本質を自覚し、他人との違いを認めることが、思春期の一番大きな達成課題です。

 

これを、難しい言葉で「アイデンティティ(自己)の確立」と言います。

 

今までに養ってきたゆるやかな自我(自分)をもとに、仲間との間で自分の考えや主張を展開し、いろいろな意見の言い合いをするようになります。

 

仲間の感想、評価、反応を見ながら、自分はどんな個性、特徴、技能、特性を持っているのか、どんな弱点や欠点を持っているのか、を見つけ、確認しようとします。

 

この時期に「自分がよく分からない」と訴える子ども達がたくさんいますが、本来、それはとても自然な感情です。

 

しかし、最近の学校事情の中に「スクールカースト」と呼ばれる見えない階級制度が存在し、そのカーストの中で様々なキャラを演じ、無理して疲れきって、自分を見失うケースが増えてきています。

 

アイデンティティが健全に形成されないことを「アイデンティティ・クライシス(危機)」と言いますが、近年、それが起こりやすくなっている背景にはこのような事情が隠れているようです。

 

「自分がよく分からない」ことで彼らは大きな不安を抱えますが、仲間の中で、自分は「こういう人間なのだ」と知ることができると、とても安心できるのです。

 

「仲間」とは、客観的に自分を見てくれる、いわば「自分を認識するための鏡」の役割を果たす、必要不可欠な存在なのです。

 

この仕事は、「親」ではできない仕事なのです。

 

この頃の子ども達は、自分を「肯定的に評価してくれる仲間」の中で、もがきながらも、ゆっくり「自分らしさ」を獲得しようとしているのです。

 

 

思春期の子どもへのNGワードとは?

思春期の子ども達は、体と心がすごいスピードで成長することや、「自分さがし」を始めることで、大きな不安を感じています。

 

その不安をどうにかしようと、安心できる関係(仲間)を求めてさまよいます。

 

そして、自分さがしをする中で、たくさん失敗して、たくさん迷います。

 

でも、それはとても自然で、大人になる上で必要なことなのです。

 

この人間形成の最も大切な時期に、

 

「お前は何をやってもダメだな」

「ほら、また失敗したじゃない!」

「やっぱり三日坊主か!」

「あなたはいつも間違ってる」

「だから、言ったでしょ!親の方が正しいのよ」

 

と、子どもの失敗や迷いを否定し、自己肯定感を下げるようなことを言い続けると、健全な自己が形成されず、「自分は本当にダメな人間なんだ」と自信を無くして行きます。

 

 

思春期の子どもへのOKワード

自信を無くしたまま自己を形成してしまうと、外の世界へ出て行くことが難しくなるだけでなく、後で自信を取り戻すことも非常に難しくなってきます。

 

やたらと口や手を出したり、子どもの問題を横取りせずに、

 

「いつでも君の味方だよ」

「上手く行かなかったら、いつでも帰っておいで」

「お前なら大丈夫だ。安心して、任せられるよ」

「気が済むまでやってごらん」

「失敗してもいいんだよ」

「不安なんだな~」

 

と、親が子どもの力を信じて、見守っている姿勢を伝えることを心掛けましょう。

 

 

さいごに

安心できる家族がいる、いつでも帰れる場所があると確認できて初めて、子ども達は仲間を作り、自分らしさを確立し、外の社会へと羽ばたいていけるのです。

 

親としてできることは、子ども達にとっての最大のサポーターは「家族」であるということを理解して、この時期までに「子どもを信じて待つ」姿勢を身につけることだけだと思います。

 

【執筆者】

おやこ心理相談室 佐藤文昭 臨床心理士

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