好意の返報性とは?3つの例と効かない2つの原因を臨床心理士が解説

2018.11.15公開 2019.05.16更新
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多くのビジネスシーンや、日常のちょっとした瞬間にも活用される「好意の返報性」。

 

・メール返信が早い方には、自分も早く返したくなる

・試食をもらうとついつい買おうとしてしまう

・いいね!をたくさんくれる人には自分もいいね!をつけたくなる

 

など、ふとした日々の情景にたくさん溶け込んでいる心理原則です。

 

「好意の返報性」を上手に取り込むことで、快適なコミュニケーションを築いていくために、今回は「好意の返報性」の例と効かない原因などについてお伝えします。

 

好意の返報性とは?

心理学には、コミュニケーションに関する研究を専門とした「社会心理学」という分野があります。

 

社会心理学では、「人間同士はコミュニケーションにおいてお互いに何かを“返し合う”傾向がある」という風に考えています。

 

どんなものを返し合うのかと言えば、例えば

・自分の情報量(自己開示量)

・相手への援助行動

などが挙げられます。具体的にイメージしてみましょう。

 

例えば、

・友達が昔話を始めたら自分も似たような昔話を始める

・困っている時に同僚が手伝ってくれたら、次は自分が手助けをしてあげたいと思う

といったことはよくあることではないでしょうか。

 

人間は無意識のうちに、相手が投げかけてくれた行動や言動、態度や思いに反応し、同じものを同じだけお返しする傾向があるのです。

 

こういった「返報性」の中で,「相手の好意」に焦点を当てた返報性が「好意の返報性」です。

 

つまり「好意の返報性」とは、「相手から好意を寄せられると自分も相手に好意をお返ししようとする心理」のことを指します。

 

 

好意の返報性の例

さて、好意の返報性にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

ビジネスや家庭、友人や恋人など、様々なシチュエーションで応用可能な好意の返報性を紹介します。

 

1.物で好意を伝える

イメージしやすいのは試食販売です。

 

スーパーやデパートで一口サイズの試食をもらった時、「何か一つくらい買わないと悪いかな…」と言う気持ちになったことはありませんか?

 

これを応用すると、

・お中元やお歳暮を贈る

・会社のロゴが入った文具などを営業先へたくさんプレゼントする

・ゴルフや飲み会へ招待する(接待)

・クライアントやその家族の誕生日を覚え、プレゼントを贈る

・アポの時はお土産を必ず買う

といった方法が挙げられます。

 

人から物を贈られた場合、「相手の人は自分のことを気にかけてくれているんだな。自分も何かお返しをしよう」という心理が働きます。

 

何もしていない人に比べ、好意を贈ったあなたは相手にとって特別な存在です。

 

仕事で有利な位置に立つことができるかもしれません。

 

また、これらの行動を友達や家族関係において取り入れた場合どうなるでしょうか。

 

なんでもない時に美味しいケーキをもらえたり、自分の記念日を覚えてくれて、プレゼントを贈られたらとても嬉しい気持ちになりますよね。

 

そして、そんな相手には、特別に良くしてあげたいという心理がはたらくものです。

 

2.言葉や態度で好意を伝える

贈れる物は目に見える物だけではありません。

 

言葉で伝える好意ならば、お金もかからず、日常のあらゆる側面で活用することができます。

・メールや電話は用件以外だけでなく、感謝への気持ちを伝える

(例:「先日は〜といったことを教えていただきありがとうございました。とても勉強になりました。」)

・話をする時は気持ちを込め、ゆったりと優しい雰囲気で話をする

・自分の主張だけでなく、相槌をよく打ち相手の話にしっかりと耳を傾ける

1番取り入れやすい方法は、「感謝」を伝えることを意識することです。

 

誰でもそうですが、人から感謝をされて嫌な気持ちになる人はいません。

 

そしてその感謝はなるべく具体的である方が、より強く相手に伝わりやすいことが心理学では明らかになっています。

 

また、日常的に相手への感謝を伝えるためには、ポジティブな側面に目を向ける必要があります。

 

こういった「ポジティブ探し」の習慣は、自分自身の考え方もポジティブにしていくため、結果的に自分も明るい気持ちになります。

 

また、相手の方もあなたと会うことで心地よく過ごせるので、素晴らしい相乗効果が期待できます。

 

「情けは人の為ならず」ですね。

 

3.話し方の態度で伝える

次に取り入れやすいのは「話し方の態度」です。

 

人はどんな話し方をされると心地よいでしょうか?

 

例えば、一流ホテルの従業員や客室乗務員さんなどを想像してみるとわかりやすいと思います。

 

皆さん、相手の方の話に耳を傾け、そして穏やかな声で話し、微笑んでいらっしゃいます。

 

こういった方々に対し、ネガティブな気持ちは湧きにくいものです。

 

なぜなら、「お客様を大事にしています」という相手からの好意を感じ取っているからです。

 

日常生活のすべてにおいて、接客業のような素晴らしい対応を取り入れることは難しいと思いますが、少し意識してみるといいかもしれません。

 

丁寧で寛容なあなたに対し、周りの人も「私も丁寧に接してあげたい」といった気持ちが必ず湧いてくるでしょう。

 

広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

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