執着は良い意味?悪い意味?良し悪しの3つの違いとは?臨床心理士が解説
良い意味での執着とは?
安心感や気持ちの安定につながる
「プレゼン場面ではお気に入りのタオルをもっているとうまくいくので、毎回ポケットにいれている」
「家の中をかならず朝掃除することで、気持ちがすっきりする」
いつも同じ状態であることは、安心感などのポジティブな意味をもたらします。
逆に、いつもと違うことをすることや変化が伴うことは、緊張や不安が生まれます。
特に、スポーツ選手などは、試合前にいつも決まったことをするといわれています。
野球のイチロー選手が毎朝カレーを食べていた、という話は有名ですね。
執着とは、一見わるものにも見えますが、見方を変えると、習慣やルーティンといわれるものにもなります。
忍耐強さや我慢強さ
「1位で居続けることにこだわり、努力し、新たな記録を樹立した」
「相手に理解をしてもらうために、何度も時間をかけて説得した」
執着には、一つのことにエネルギーをむけるという面があります。
目標や目的に執着することで、忍耐強さや我慢強さにつながり、良い結果を生むかもしれません。
悪い意味での執着とは?
周囲の人が困っている
「ラッキーカラーが赤色だと聞くと、家族にも赤色の服を着るように強要してしまっている」
「好きな人の私生活が気になり、毎日その人が何をしているかチェックしないと気が済まない」
など、自分は善意や興味などポジティブな気持ちで行っていることも、周囲の人が困っている、迷惑している場合があります。
執着の対象が「人」であったり、自分の中だけでなく、周囲の人にも自分の執着やこだわりを同じように行ってしまう場合は、周りの人は困っていないか考えてみましょう。
日常生活に支障が出ている
「お気に入りのキャラクターを全種類そろえることにこだわっていて貯金がつきた」
「毎朝、同じ電車に乗らないと気が済まず、予定外の出来事が起こると対応できない」
など、執着やこだわりのために、なにか不自由さを感じる場合もあるかもしれません。
また、日常生活に支障が出ている場合、「強迫性障害」という精神的な病が隠れていることもあります。
強迫性障害は不安障害と呼ばれるものの1つです。
自分でも不合理なこととわかっていても、
・何度も考えてしまう
・繰り返し確認してしまい、自分でも困っている
と感じている症状です。
代表的な例に、
「手が汚れている気がして手洗いをやめられない」
「机の上がいつも同じ配置でないと落ち着かない」
「戸締りの確認を何度もしないと気が済まない」
などが挙げられます。
この障害は「悩み」との線引きが難しいのですが、「やめたいのにやめられない」と困っているのであれば、一度医療機関や相談機関に話してみるのもよいかもしれません。
良い執着・悪い執着の違いは?
良い意味も悪い意味もあわせもつ執着ですが、それぞれの違いは、
「自分自身でその執着をコントロールできているか」
という点になってきます。
具体的には以下のポイントになります。
・止めたいのに止められない
・「やらないといけない」「~すべき」という強制的なものになっている
・止める・離れると気持ちが過度に不安になる
当てはまるかどうかチェックしてみてくださいね。
さいごに
形や対象は違うものの、きっと誰しも持っている「執着」の気持ち。
悪い意味もありますが、良い影響をもたらしてくれることも確かです。
自分自身で線引きをして「ちょうどよい付き合い方」を探っていけるといいのかもしれません。
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- 本記事は2019年1月20日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。